裏切り
「ジョン・セロこい!」
警察官はドアを開けて入って来た。
「え?1人!?」
静は聞いた。
「口を合わせる隙を与えないために、こういうのは1人ずつじゃないの?」
星羅は言った。
「なるほどねー」
「とう言う事だ、行ってくる!」
セロは歩き始めた。
「黒い本はこれの事か?」
警察官はポリ袋の中に入っている黒い本を見せた。
「ええ!それです!」
「分かった、付いて来い。」
ドアからでおうとしたその時、
「待って!!」
2人が振り向くと、星羅が腕を組んで立っていた。
「まさか、あんた・・・1人で逃げるつもじゃないよね?」
冷たい目をした星羅はい言った。
「ど、どういう事!?」
鈴鹿は戸惑った。
「・・・この世界に来たのは本が光ったことが原因、つまり、もう一度本が光れば元の世界に戻れるかもしれない!!」
「ハッ!?確かに!」
鈴鹿と静は目を丸くした。
「だから、本を求めたんだよね?」
星羅はセロを睨んだ。
「いや!待て待て!そんな事考えてもいない!俺は全員が助かる事を考えているんだ!」
セロは真剣な表情で大声で言った。
「だったら、何でそのことを先に説明しなかったの!?」
「別にいいだろ!?結果的に全員がすかるんだから!」
「全員が助かる!?あんた、これから1人で何をしようとしていの?」
「それは、ちょっと実験をしようと・・・」
「実験!?もし実験がうまくいったら私達帰れなくなるけど!?本は1つしかないんだから!」
「チッ!」
セロは苦い顔をして舌打ちをした。
「この嘘つき!!」
静は怒鳴った。
「私のときめきを返せ!!」
鈴鹿は顔を真っ赤にして怒鳴った。
「フッ・・・だからなんだ?」
セロは鼻で笑った。
「え?だからって・・・」
星羅は言葉に詰まった。
「お前の言う通り、俺は嘘つきだが、それがどうしたんだ?」
「クッ・・・最低!」
星羅は歯を食いしばった。
「今から、別室で本を見せてもらえるんだよな?」
セロは警察官の方を向いた。
「ああ、そうだ。行くぞ」
警察官は歩き始めた。
「!!?」
星羅達は硬直した。
「ま、待って!そいつ噓つきなのよ!それに、今からここを逃げようとしているのよ!」
星羅は警察官に向かって走りながら怒鳴った。
「こいつがどんな嘘つきでも、真相を話すっていうんだったら、それを信じるしかない。」
警察官は言った。
「・・・!」
「あと、おとぎ話じゃあるまいし本を使用してここから逃げられるわけないだろう。」
警察官は鼻で笑った。
「・・・」
星羅は力なく膝から崩れ、床に手を付いた。
「そ、そうだ!私も真相を話すから、先に本を・・・」
鈴鹿は震え声で言った。
「順番だ!」
警察官は一言で返した。
(こ、こうなったら本を奪うしかない!!)
星羅は立ち上がろうとした瞬間、
鼓膜がいたくなるような激しい爆発音とともに、建物が揺れ、電機が落ちた。




