ふろむ・といれっと
私は学校へ向かう準備をしていた。
家の外からは悲鳴や爆発音が聞こえてくる。
テレビ画面の中では、ニュースキャスターが半ば狂乱状態で叫んでいた。
キャスターは、マイクロブラックホールが現れただの、怪獣が放射熱線で街を焼いてるだの、隕石が向かってきてるだの、宇宙人が攻めてきただの、未知のウイルスが猛威を振るっているだの、奇妙な虫たちが人を襲っているだのと、地球はおしまいだ~と騒々しい。
――準備を終え、玄関へ向かう。
玄関のノブに手をかけたところで、聡明草が私の右手に蔦をくるりと巻いてきた。
「お前も行きたいのか。ならば、一緒に行こう」
道中、襲い来る妖怪やら魔王やらモンゴリアンデスワームやらを、私と聡明草は力を合わせて追い払い、なんとか学校のあのトイレまで辿り着いた。
私はトイレットペーパーを片手に、大のトイレのそばで待つ。
トイレの扉は、あらゆる世界を救おうしていた。
ならば、次は……。
しばらくすると、トイレから一人の青年が現れた。
彼は顔を真っ青にして腹を押さえている。いかにも胃腸の弱そうな男だ。
そいつに向かって、トイレットペーパーを放り投げる。
「ほらよ、隣が開いてるぜ。用が済んだら…………世界を救う話をしよう」




