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剣の墓標、春の城  作者: 銀野
無印
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10049日目


坊主と娘が連れ帰って来たのは兄の配下、自身は最高位の熾天使のくせに力天使、大天使の長も兼任しているという(その他でも様々な役職を兼任している)中間管理職の鏡のような天使だった。

そして、流石というか、彼は一目で現状カナブンであったにもかかわらず私に気付いた。

気付いたにも関わらず驚きの表情を浮かべたのが一瞬であったところにまた感心した。

こういう人材のおかげでかろうじて兄の陣営は保っているのではないかと思う。


まあ、彼に対する賛辞はこれくらいにしておくとして、その後秘密裏に行われた話し合いについてである。

一般的に兄の配下は私とその配下を親の仇であるかのように敵視しているが、彼くらいの立場になると、度々の喧嘩の後処理の為に私の陣営に顔を出すことも間々あり、私とも顔見知りであるので、終始平和的に話し合いは進められた。

先ず、何故私がこんなところに居るのかということを礼儀正しく問われたので、私は今までの事情を掻い摘んで説明した。

話終えた直後は何故だか盛大に脱力していたようであったが、なんとか語った事が真実であることは信じてくれたようである。

「それならば」「くれぐれも内密に」

と、前置きしてから、彼は語り出した。


どうも、彼の現在の立場は兄の"天罰"を否定する一派の筆頭であるらしい。

またいらん役職を受け持ってしまうあたり、つくづく彼もお人好しであると思う。

本題である。

"天罰"否定派は今後、兄へのリコール(解職請求)、並びにボイコットを行うつもりらしかった。

しかし、天使達は性質として、兄に直接逆らう事が出来ないので、あの子らの力を借りたいということであるらしい。

天使達(特に彼は)は元来、人間達を自身の揉め事に巻き込むことを嫌がっていたはずなのに、そこまで思い詰めてしまっている事を私は可哀想に思った。

そして綿密に準備してみても、根本的なところで天使達と兄との力の差があり過ぎ、ましてやいくら配下がボイコットしたところで、気にするような性格の兄ではないという事がまた不憫であった。

因みに、方法についてはまだ具体的には決まっていないという。


とりあえず、どうも人里はゴタゴタしそうであったので、私は自身の配下にはしばらく城に疎開しておくように命令を飛ばしておいた。



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