愚弟:3年目、陽月、23日
わざと自室の窓の鍵を開けておくこと一週間。
ようやく黒幕が俺の所に挨拶に来た。
ここから先は、後々見返せるよう、魔法で自動記録したログを貼っておく。
「久しぶりだなマメなお前らしくもねー」
「……食い千切られた手足を再生させるのに丸三年かかった」
「ははは!あのガキども良い仕事しやがるじゃねーか!」
「……魔王が赤子になったそうだな」
「勿体ぶった言い方してんなよ。どーせとっくに知ってんだろ?」
「……主は今だ復活の兆しを見せぬというのに」
「所謂生まれ変わりで、魔王も元のままの魔王じゃねえからな。ザマァ」
「……貴様余程、私に言わせたいらしい」
「それが礼儀だろクソ天使。こちとら大分頭に来てんだよ」
「意味が分からんな。善き霊の世を護るためにどちらが必要かと問われれば、それが主であることは明白。有する力の質は、この際問題ではない。絶大な力。それは魔王ではなく主として振るうべきだ」
「善き霊…な。手前らの尺の都合でかつての主まで屠っといてその言い草か。天使長様も偉くなったもんだ。で、奉る神輿が軽くなっちまったからって挙句の果てが度重なる幼児誘拐未遂か?相変わらずトチ狂った思考回路だな」
「主に必要なモノは、いつでも決まっている。変質し、ソレを忘れた主など、放逐されるが道理。……適切な処置であったと、自負しているよ。優しい兄さん。あなたはいつも感情論に走るから堕天なんかするんだ」
「……帰れ。もういい。次ツラ見せたら殺す。いいな」
「確かに、この場では分が悪いな。おっかない狼も居るし。まあ、気長に待つとするよ。じゃあまたね。兄さん」
………………読み返してて気分悪くなってきた。
昔はもうちょっとマトモだった筈なのにあの愚弟、何の拍子にか大分変質して来てやがる。
……警戒は、緩めず行こうと思う。
タマとタマの弟とできゅっとしてがぶっとやりました。
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