(63)所作(しょさ)
世界各国には物事のやり方・・所作が存在する。例えばフランスなんかではスープをスプーンを使用して喉に通す場合[別にダジャレを言ったつもりはない。^^]、ズルズル…と、音を立てて飲んではいけないというマナーと呼ばれる所作がある。『大きなお世話だっ!』とばかりに音を出して喉に通せば、おそらく白い目[どういう訳か白い目で赤い目とは例えない。^^]で見られることだろう。^^ かといって、それで罰せられ、警察送りになるという性質のものでもないが…。
とある茶道家の庵である。何人かの客が招かれ、亭主が馴れた所作でお茶を点てている。柄杓でお湯を器へ注ぎ入れたあと、ガシャガシャ…と茶筅で賑やかに捏ねくり回し、^^ 家元はスゥ~~っと器を畳の上へと置いた。所作である。^^ 客は、これもまた馴れた手つきで器を手にすると何度か掌の上で回し、口へと運んだ。これもまた所作である。^^ ガブガブっと片手で飲んじゃいけないのか? と思えるが、所作なのだから致し方がない。^^ そのとき、どこからか一陣の風が舞い、客の鼻先を擽った。客は堪らず、ハックション!! と、やってしまった。と同時に、器の茶が零れ、畳を零らしてしまったのである。だが客は動じない。静かに器を畳の上へ置くと、着物の胸元から懐紙を出し、何事もなかったかのようにスゥ~~っと零れを拭い取った。そうして、ふたたび馴れた手つきで器を手にした。またまたこれも所作である。^^
私には疲れるような所作だが、馴れれば、さほど苦にもならず、楽しいようだ。^^
完




