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(32)複雑(ふくざつ)

 複雑ふくざつな内容は、どんな場合でも疲れる。内容は簡略、簡単、簡潔に終息するに越したことはない。まあ、内容が複雑でなくっても疲れる場合はあるだろうが、普通一般にはそうだろう。^^

 とある小学校の教室である。3年2組と書かれているから3年生なのだろう。聞こえる声からすれば、どうも算数の授業が行われているようだ。中を少しのぞいてみることにしよう。

「お饅頭まんじゅう15個を、5人に同じ数ずつわけます。1人分は何個になるでしょう!?」

 生徒達が一斉に片手を元気よく挙げる。

「はいっ!」「はいっ!」「はぁ~~いっ!」「はいっ!! はいっ!!」

「… じゃあ、鹿口しかぐち君。鹿口君、返事は一回でいいんですよ」

 教室内が笑い声でにぎやかになる。

「先生! 僕はお饅頭が好きだから隠れて先に5個は食べると思います。すると残りが10個だから…10÷(わる)5で2個づつでぇ~~す!」

 教室内は笑い声が益々、大きくなり、爆笑ばくしょううずと化した。

「そうですね! 鹿口君は甘いものが好きだとこの前、先生に言ってましたね。でも、みんな同じに分けないと…」

「僕! そんなの嫌です!」

「そんなズルしちゃダメでしょ、鹿口君!」

「はいっ…」

 担任の女性教師、角切つのきりはすっかり疲れていた。算数の問題が饅頭話になってしまったからである。

「それじゃ、おミカン15個でもいいわよ、鹿口君」

「リンゴじゃダメですか?」

「いいわよっ!」

 角切とすれば、何でもいいわよっ! くらいの気分である。

「リンゴだと、まあ僕は普通に食べると思います。となると…15÷5で3個づつですかっ?」

「はい、そうですねっ! お饅頭は3個づつです」

「先生! リンゴですよねっ!?」

「はい、はいっ! リンゴ、リンゴっ!」

「先生! 返事は一回ですよねっ!」

「…」

 角切は複雑な質問で、すっかり疲れることになった。

 簡単な内容でも複雑に疲れることはある訳である。^^


                  完

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