(100)終わる
天気も涼しく頃合いなので、庭木の剪定でも…と思い、始めたまではよかったが、途中で急に暑くなり、ピショ濡れの汗を流しながら、やらなきゃよかった…と後悔するようなことはないだろうか?^^ この例えは剪定だが、どんな内容にも言える先読みをしなかったための判断ミスなのである。ただ、やり始めた以上は、そのまま中断することも出来ず、ともかく終わることを考えねばならないから、これほど疲れることはないだろう。別の日に…という程度の小さなコトならまだしも、放っておけば格好がつかないコトだって多くある訳だ。この短編集にしたって同じで、書き始めた以上、最後の100話が終わるまではっ! と意気込んで続けねばならないから余計に疲れる訳である。^^ では、終わるとホッ! とひと息、吐けるのか? と自問自答すれば、実はそうでもなく、前作が終わることで新たに次回作を模索せねばならないから、これはこれで、また疲れることになるのである。孰れにしろ辛い。^^
とある有名作家の家である。新聞社の番記者が、この日も作家の家を訪れていた。
「先生っ! 原稿、お願いしますっ!」
「ったくっ! 毎回毎回、君は慎みというものがない男だなっ!」
「そんなこと言われても、仕事なんですから仕方ないじゃないですかっ!」
社員も負けてはいない。
「それはまあ、そうだが…」
作家は逆襲され、撤退を余儀なくされた。
「ねっ! もう少しで終わるんですから、頑張って下さいよっ!」
「もう少しで終わるって、君、よく分かるねっ!?」
「そりゃ分かりますよっ! 毎日、読んでんですからっ!」
「そうか…分かるかね!?」
「ははは…分かりますよっ! 終わると楽になりますよっ! 私も来なくていいんですから楽になりますっ!」
「いつやらも君、そう言ってたよっ! 終わった途端、『先生、次回作をお願いしますっ!』だったじゃないかっ! ちっとも楽にならなかったぞっ!」
「いや、それはそうなんですが…。私も少し楽してもらえる…って思ってたんです。それが、編集長が…」
「編集長がどうしたっていうんだっ!」
「いやね。次回作を頼んでこいっ! って、こうなんですよっ! 仕方ないじゃないですかっ!」
「ああ、君も仕事だからな…」
「でしょ!?」
「ああ…」
「ということで、一つお願いしますっ!」
「ああ…まあそれなら何とか終わるようにするかっ! 応接室の方で待っていてくれたまえっ! 家内が何か出すだろっ!」
「分かりましたっ! 宜しくお願いしますっ!」
「ああ…」
作家は最終回を書き終わる作業にかかることになった。だが、終わることで疲れることなく楽になれるか? までは分からなかった。
あとで聞いた余談だが、その後、この作家は疲れることがなくなったそうである。…まあ、悪く言えば、お呼びがかからなくなった、ということなのだが…。ともかく、よかった、よかった!^^
終わることで、その先がどうなるか? までは誰にも分からないが、ともかく疲れることから解放され、一区切りがつくことだけは確かなようである。^^
さて、そういういうことで、この短編集も100話完結となり、終わることにしたいと存じます。拙い話の数々をお読みいただき、誠に有難うございました。少しの間、疲れることから解放されるとは存じます。^^
完




