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寒村の軍備とお金

9月4日の早朝に、軍資金600万ディルスと民間人自作のゴーレム80機がエルザス各地から自主的に寄付された事により、キートン派の軍事力は飛躍的に増大の一途をたどって行く・・・。

ご都合主義などでは断じてない。

寒村を失ったら、金持ち連中が、脱税と資金洗浄を出来なくなるからだ。

よって多少の寄付をしてでも、寒村を守った方が安上がりなのである。

「金持ち連中に好かれているようだな。まあ無税の村なら当然か?」

リサとシエルが、多少警戒を含んだ目でキートンを見た。

飼いならす努力をする心算でも、つい警戒してしまう。

「私も寄付金を貰った事はあるが、最近は謝絶しているな・・・」

最近のエルザスの税収は230億ディルスもあるし、最近はお金に困った事はないからなぁ。

「これでディールギス0より強かったら、泣くぞ・・・」

一応性能テストもしてみたが、これが案外強く、ディールギス0相手に7分持ちこたえて、破壊された。

奇跡的に、ディールギス0の左腕を道連れにしている。

「つまりこのゴーレムでも乗り手さえ優秀なら、ディールギス0を破壊出来ると言う事なのか?」

民間のゴーレム技術はここまで進歩していたのか・・・。

真一のゴーレムに頼りまくって技術の底上げを怠った報いだな。

「このお金で何をする?西方を支配下に置く軍事力を養うか?」

リサは尋ねた。

西方も脅威だが、キートンに軍事力を与えるのも不安なんだよな。

「陛下。アポロン1をこちらで開発する事は出来ないでしょうか?」

改造して、飛行タイプのアポロン1を造る事なら可能である。

そうなれば無敵のゴーレム兵団だ。

「俺は民の力を高める事にこのお金を使う。軍事力などこの程度で十分だ」

ファーリとファリがいれば、軍事的には1軍に匹敵する。

「また豚祭でも開催する心算か。そなたの料理は美味しい。エルザス帝国の専属料理人になってはくれぬか?」

報酬は前払いで、西方を与えたから、どんな無理でも要求できる。

「考えておこう。無謀な戦いで兵を失うのは、エルザスの損失だ。

キートンはゴーレム兵器を使って、1日で村を更に7つ併呑した。

キートンの名において、無税が宣言される。

ちょうど収穫期の直前の村が多く、住民に歓迎された。

占領地では、恒例の豚祭を行って人心を確保する。

更に民衆に20万ディルス程分配してやった。

こうなると、再び税金をかけられる恐怖から、キートンを敵に回せない。

寒村の人口も2万人に膨れ上がり、キートンの商売もやり易くなる。

「無税の筈なのに、寄付金がこんなに沢山集まるとはな。私も真似して税金を下げようかな。お金には困ってないし」

リサは決心して、税金は9月5日に、収入の1割と定められる。

元々民に信用のあるリサの下に、その日のうちに寄付金が届けられた。

減税のお礼に貢物をするのは、エルザス帝国の慣習である。

怠って、リサが怒れば税金が上がるかも知れないから、必要経費である。

税金安ければ、長い間にゆっくりと元を取れるからだ。

実際、商人の方もそれは分かっていて、100の団体を結成して、計画的に順番にリサに寄付をする事にしている。

「キートン殿のせいで、エルザス本国では住人が僅かに流出した」

リサ姫は苦情を言うが、キートンはそれを無視した。

「キートン様。占領した10の村には、罠を仕掛けておきました」

多分西方共和国が奪回に来ても、防ぎきれるだろう。

「私の自信の罠ですから、アポロン1でも破壊する事は出来ません」

時間を稼ぎますから、飛行タイプのアポロン1を作ってください。

「それは大丈夫。本国に部品を送らせて、突貫工事で造らせる」

需要なのは、一機でも多くのアポロン1を寒村に引き付ける事なのだ。

そうなれば、ダイヤの都を攻略する暇は無くなり、ダイヤの都は救われる。

「アトラスの部隊を地上に降下させる作戦も忘れるな」

この情報はわざと敵に教えてやった。

敵が警戒して、戦力を分散させてくれれば、儲けものである。

もし無視するなら、西方の重要拠点は、全てアトラスが支配下に収める。

そんな事を西方共和国が認める訳は無かった。


「何だと?アトラスを西方全土に降下させるだと?」

西方共和国の最高元首の馬頭元帥は、エルザス帝国の反抗作戦に頭を悩まされていた。

情報に嘘はないだろうとは、閣僚全員の一致した意見である。

エルザス帝国は、ダイヤの都近くに展開している西方共和国軍のアポロン1の戦力を可能な限り減らしたいのだ。

無視すれば、都以外の西方領は、全てエルザス帝国の軍門に下るだろう。

「狡猾なエルザス帝国めが」

馬頭はリサを敵に回した事を、後悔したが今更どうしようもない。

最後の切り札を用いて、敵の進軍を阻止する事にした。


「何だと?それが馬頭の返事なのか?」

エルザス帝国の捕虜を殺害するとの警告をうけた時、リサも頭を抱える。

明らかにアトラス降下作戦中止を求めた敵の蛮行だ。

「どうするんだ?リサ姫・・・」

キートンがリサに尋ねるが、そんな事は決まっている。

「無事に捕虜が解放されれば、降下作戦を中止する。捕虜を殺せば必ず私の手でお前の首をはね飛ばしてやるからな」

リサは利害が一致する限りは、約束を守る人だ。

利益にならないと、平気で嘘をつく人でもある。

キートンもそれで結構リサに騙された。

取り合えず降下作戦を中止して、馬頭と交渉する事にする。

「攻撃は中止したぞ。捕虜を解放しろ」

リサが捕虜の釈放を求めると、馬頭はあっさりと応じて釈放した。

捕虜は真一さえいれば十分である。

西方共和国は、正々堂々とリサを打ち破るのだ。

「人質とるのが正当な事だとは、初めて知りましたよ」

交渉の場に出席したキートンが、聞こえないように嫌味を言った。

リサにだけは聞こえている。

「余計な事は言うな」

リサに怒られて不貞腐れるキートンである。

「この際だから和平をしないか?真一をこちらに引き渡してもらおうか」

真一を解放しないと、ゴーレム技術がダダ漏れである。

「出来ると思うか?恒久的な和平を結ぶ気などないのは、分かっているぞ」

何とも信用のないリサであったが、彼女も負けていない。

「和平する気はないのか?私は西方共和国の逆徒を支配下におくまでは、戦いを止める気などないぞ」

降伏を前提とした和平かよ。

そんなの誰も同意しないぜ・・・。

「人質解放のお礼に、オリハルコン硬貨1万枚を差し上げる」

リサは怒って帰ろうとしたが、お礼だけは支払う約束をした。

お礼を怠ると、人質解放の交渉に、敵国が応じなくなるのである。

それにお金で解決するなら、30億ディルス位までなら出す用意はあるし。

「リサ姫金持ちだなぁ。敵に回したくないぜ」

キートンが言う。

今は敵対していませんと言うキートンのアピールである。

「こんな金持ち相手にどうやったら勝てるんだよ?」

エルザス帝国に不足しているのは、海軍力だけだ。

エルザス帝国は、宇宙にまで勢力を広げているのに、何故か海軍力を軽視して、ネルソン提督も肩身がせまい思いをしていた。

「キートン殿。解放した捕虜3千人はそなたの配下に加えるとよい」

人質解放で、上機嫌のリサはキートンに褒美を与えた。

キートンも喜んで、早速村の人口に加え、村民は2万3千人に膨れ上がる。

一度捕虜になった兵など、鍛えなおすのが面倒だ。

村民として、村の経済発展に貢献してもらおう。

「この村無税なんですよね?働いただけ収入を得られるのか?」

報酬は独り占めして構わない。

どうせ寄付金貰っているんだ。

だが不足分は、キートンが自腹で補填してるから確定申告はしてくれないとこちらが困る。

俺が脱税の罪で牢屋に放り込まれたら、次の領主は多分税金を徴収する。

「勿論申告しますよ。賭博の収入は申告するんですか?」

「出来るだけ申告してくれ」

寒村を守るには、2万の兵で十分だがゴーレムの訓練もしないといけない。

因みに補給物資は、サキ商店会に注文しているので、ポイントが4万ディルスまで貯まってしまった。

サキも最近イナゴ村に大型デパートを建設している。

「商業都の太守に誰かを任命しないといけないな・・・」

キートンは当分海洋国家に帰れそうもないから、代理を任命しないと。

「ラドンしかいないな」

奴を商業都の太守に任命しよう。

「ラドン。お前を商業都とイナゴ村の太守を任せる」

こいつには余り期待していないが、人材がいないのだからしょうがない。

「キートン殿。西方の太守になったら、商業都とイナゴ村は没収だぞ」

リサは一応言っておくが、この国が全てキートンの軍門に下る日も近いかも知れない。

私に従う部下に悪いから、口には出せないが、この度の戦いで、エルザス兵の中にも、キートン派が増えてしまった事だろう。

9月10日に、待望の飛行システムの補助装置が帝都から届けられた。

「そうか。これで反撃が出来るぞ」

早速アポロン1にこの補助装置を取り付け、その敵陣に夜襲を仕掛けた。

「飛行するアポロン1だと?」

「真一の奴。飛行タイプのアポロンを造るのは不可能だと言っただろう」

正確には違うのだが、この夜襲で敵軍は真一に理不尽な怨みを向けた。

「アポロン1が、エルザス軍の猛火で破壊されてます」

「敵軍の火砲は恐ろしく強力で、我が軍の手には負えません」

西方共和国軍は、アポロン1を見捨てて逃走を開始した。

置き去りにされたアポロン1は、エルザス帝国に鹵獲される。

「やったぞ。追撃して残存兵を壊滅させろ。二度とエルザスに反抗する気など起こさないようにな」

指揮官の命令は徹底され、武器を放棄しない歩兵にも大砲をぶっ放した。

歩兵は慌てて武器を捨てて逃走する。

この大勝利でエルザス帝国は西方に奪われていた南部西の全ての街を取り戻し、西方に追い出してしまう。

この直後の9月11日、西方共和国はエルザス帝国に和平を提案するが、無視される。

「こうなったら、真一の身柄を引き渡して独立を維持しましょう」

部下が次々に進言する。

リサは国益の為には、夫を見殺しにするだろう。

姉殺しの簒奪者のリサなら、夫位平気で見殺しにしそうだ。

だが自発的に引き渡せば交渉には応じるだろう。

早速寒村にいるリサに、真一解放を前提とした和平の使者がエルザスに、再び送られた。



エルザス帝国って、最後は必ず新兵器の開発かお金に頼りだす傾向にある。

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