表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
287/721

西方共和国の逆襲

7月25日に西方での戦闘が劇的に変化する事になるが真一の仕業だった。

どう考えてもティミッド0より強力な兵器、アポロン1が出現したのだ。

アポロン1の機動力と火砲の前に、ティミッド隊は驚愕する事になる。

「何なのだ?あの巨大なアポロン1とやらは?ティミッド隊でも勝てんぞ」

「真一様は多分西方共和国に洗脳されて、ゴーレムを造らされているんだ」

幸いな事に、飛行能力はないようだから、ティミッド0で遊撃出来る。

だがそんな事をしても、次のアポロン1が生産されるだけだろう。

厄介な事になったと、ネトゲ廃人は思った。

エルザス帝国の軍需物資生産を、引き受けていた真一が敵に回ったのだぞ。

「これはもうキートンなどに構っている暇はない。エルザスの浮沈にかけて真一様を救出しないと、俺の妻や子供まで危なくなってくる」

そんな愚痴を言っている間にも、5機のアポロン1がエルザス帝国の陣地に奇襲をかけてきた。

反撃しても、多分犠牲が増えるだけだろうと思うので、主力軍は逃げる準備をしているが、敵に鹵獲されないように、残った物資には火をかける。

「俺達の税金が燃えていく・・・」

「真一様。この怨みは忘れないぞ・・・」

お前の軽率な作戦から、エルザス帝国全軍が敗れ去る結果になったのだぞ。

「それを言ってもしょうがない。撤退するが、例の寒村の側をワザとらしく通りながら撤退するようにとの、中央総本部からの命令だ」

この命令の意味は、ネトゲ廃人の部下達には良く分かった。

リサはファーリを西方共和国との戦いに巻き込む心算なのだ。

万が一失敗しても、体勢に大した影響は出ないだろう。

「キートンの配下にはファーリがいるぞ。ファーリの方が強そうだし、もしアポロン1がファーリより強かったら、和平を結んだ方が良い」

ネトゲ廃人は、そんな事のないように、エリスに祈った。

このネトゲ廃人。

愛の女神団の熱烈な信者らしい。

「では行くぞ。出来るだけワザとらしく行軍するんだぞ」

ネトゲ廃人の部隊が、追撃するアポロン18機をけん制しながら、寒村の近くまでやって来たが、西方共和国はここで進軍を止めた。

「まて。この村には確かファーリがいた筈だ。説得して味方にしよう」

ネトゲ廃人にとっては、幸運だった。

戦線が停滞すれば、本国から新型ゴーレムが補給されるかもしれない。

あのアポロン1と戦うには、ディールギス0が是非必要だ。

「本国に補給を依頼せよ。可能ならば寒村にて防衛線を張る」

キートン派にとっては迷惑な話だが、エルザス帝国の占領地である。

寒村には、軍役に応ずる義務と誇りがある筈なのだ。

それにこの状況で軍役を拒否しても、どちらかの勢力に滅ぼされるだけであるのは、あのファーリにも分かっているだろう。

「私達はそのような命令をうけておりません。イナゴ村に問い合わせてください。多分命令は拒絶させていただく事になると思いますけど」

キートンもファーリも、具体的に戦う準備などしていない。

軍隊は、本当に夜盗対策だ。

この状況で戦争をやれと言われたって、どうやって戦えば良いのだ?

全滅覚悟で戦えなどと、私は部下には言えないぞ。

手塩にかけて育てた部下をこんな戦いで戦死させてたまるか・・・。

「エルザス帝国に歯向かうお心算か?貴女はもう少し賢いドラゴンだと、私は勝手に思っておりましたが」

買いかぶりはよしてくれ。

私は万能なドラゴンではない。

どちらかと言うと人間としての生活の方が長いのだ。

「戦う準備をすれば謀反を疑われ、戦う準備が出来てなければ、反逆の意図ありと言うのか?どの道キートン様は反逆者になると言う訳だな」

ファーリはその辺が不満であるが、返事は保留する事にした。

「ネトゲ廃人殿。我々は出陣の準備をするべく武力を蓄える。準備が出来次第、キートン様に出陣の許しをいただきにイナゴ村へ行く」

それでは困るのですよ。

今すぐ西方共和国と戦ってくれないと。

戦線が膠着した今、寒村を騙して奇襲させる様な手段を講じたら、民衆から何影口叩かれるか分からない。

「だったら何故イナゴ村の兵士募集を妨害した?」

あの怨みは絶対忘れないし、私だけなら今直ぐにでも怨みを晴らす。

リサはご主人様の命の恩人だから、命だけは助けるけど。

「あの時とは状況が違って来てしまっているのです。キートン様の武力で西方共和国を撃ち滅ぼしてください」

分からん奴だな。

武力もなしに、私と3千の兵士だけで何が出来ると言うのだ?

返り討ちにあうだけではないか。

「ファーリ様が、ここまで話の分からない方だとは思いませんでした」

あんたの武力さえあれば、西方共和国の軍勢を足止め出来る。

それ以上の功績は別に期待していない。

「あのゴーレムは私より強いよ。あれを壊せる魔法は魔力吸収の呪文の他に存在しない。少なくとも私はその呪文しか知らない」

だったらさっさとそれを使ってアポロン1を追い払ってくれ。

「魔力吸収は植物の生命力を吸収して多大な魔力に変える呪文だ。使えば寒村が草木一本生えぬ荒野になる」

「その程度の損害であのアポロン1を倒せるなら安い物ではないか」

ネトゲ廃人が血迷った事を口走った。

何だと?

こいつ本気か?

民の糧が永遠に失われるのだぞ。

分かっていて言っているのか?

「ネトゲ廃人殿。そなた、私の言葉の意味が良く分かっていないようだな」

ファーリは、怒りをこらえてネトゲ廃人に説明した。

「この魔法を使えば、多分永遠にこの地方から小麦は収穫出来なくなるだろう。ついでに言えば、半径2キロ圏内の建物は全て消滅する」

この意味も分かるか?

私はこの魔法をコントロール出来ない。

多分エルザス帝国軍も西方共和国軍も仲良くあの世行きだ。

それでも良ければ、使ってみても良いがどうするのか?

そんな恐ろしい魔法なのか?

そんな魔法を使わないと勝てないほど恐ろしいゴーレムを敵に回したのか?

「魔法燃料で代用しようとした奴もいたが、惑星Aで死亡してぞ」

「分かった。寒村は戦いに参加しなくてもよい」

ここでファーリを怒らせたら、キートン派は西方に寝返るだろう。

作戦は失敗したのだ。

「リサ姫。西方都方面からの全面撤退を許可願いたく・・・」

情報の聖石なる便利な電話で、リサに撤退を要求した。

「それとファーリを敵と噛み合わせる作戦は失敗しています。無理に強行すれば、ファーリは西方共和国に願える事でしょう」

「・・・、分かった」

リサは口惜しそうな声で、ネトゲ俳人の要求を受け入れた。

話の分からぬ皇帝ではない。

キートンとだけは仲が悪いが、部下を好んでを死地に追いやる趣味はない。

「全軍は早急に撤退させろ。夜のうちに全面撤退を行う」

ネトゲ廃人は、7月の30日の夜に、全面撤退を行い国境まで引き上げた。

ミシェリアにも、一応軍を撤退させる命令は出しておく。

西方共和国も、寒村を叩いて、ファーリの反撃を食らうのは、下策と思ったのか、寒村は避けて国境守備隊を直接攻撃した。

「石を落とせ。徹底的に抵抗せよ」

アポロン1の装甲が、石ごときで壊れる筈も無くティミッド隊は敗走した。

ティミッドの装備では、根本的にアポロン1を破壊出来ないのである。

国境砦は陥落して、寒村は敵国に取り残される事になった。

「ネトゲ廃人様。我々はどういたしましょうか?」

部下が尋ねるが、そんな事は決まっている。

リサにディールギス0をねだるだけだ。

多分ディールギスじゃないと、あのアポロンには勝てないだろう。

「リサ姫。ディールギス0と新型火砲、火砲1を補給してください」

この状況を放っておけば、いずれダイヤの都に敵はやってくる。

「分かった。アベルに指揮を取らせて、西方共和国の進撃を食い止めろ」

リサもこうなったら、覚悟を決めてダイヤの都で篭城するしかない。

真一の救出は、この状況を何とかしてからだ。

「ダイヤの都に食料を運び込め。首都にて敵軍を食い止める」

まさかこのダイヤの都で篭城する可能性は考えなかった。

リサの治世に反乱は多かったが、今度の乱は根が深そうだ。

「皇帝陛下。こうなったらディールギス0を総動員して防ぎましょう」

「だが真一しかディールギス0を造れるゴーレム技師がいないのだぞ」

ディールギス0がもし敗れ去ったら、どうやって首都を守ればいいのだ?

「このままでは反乱は食い止められません。それに修理位なら、ギャンでも可能だと思います」

早速ギャンに確認すると、修理は出来るとの事だった。

スピードが真一の3分の一程度遅いだけである。

この言葉を聞いて、リサはディールギス0千機を総動員して、敵軍を打ち破る計画を立てた。

アポロン1は飛行出来ないから、泥濘作戦が有効である。

国境を越えて、進行方向にある街を全て滅ぼして、アポロン1はダイヤの都に迫った。

リサの治世が始まってから初めての事であるが、リサは鎧を着込んで、防衛部隊の指揮をとっている。

「突撃して、リサの帝位を奪え~」

勝利を確信したアポロン1は、大砲を撃ちながら、都の城壁に取り付こうとした。

部下の歩兵が城壁に飛び乗り、エルザスの騎士達と戦っている。

「食らえ」

ディールギス0の攻撃で、かろうじてアポロンの砲台の1つが破壊された。

泥濘作戦で動けなくなった後続部隊は無視して、先鋒隊の殲滅に力をそそぐ事にするが、兎に角時間がかかった。

ディールギス0でも破壊するのに時間がかかるのである。

だが作戦は成功したので、のんびりと酒でも飲みながら味方の勝利を待つとしようと、リサは思った。

リサは内政家の政治家なので、鎧をまとってもやる事がない。

せいぜい味方を鼓舞するお世辞を考える位が、今のリサの仕事だ。

リサが実際に命令を下す事態に陥ったら、素直に降伏して処刑された方がマシな未来が待ってるだろうと、本人は思う。

「酒で御座ります」

リサは酒を一口飲むと、部下に残りを持ってかせた。

酒など一口で良い。

私は酒に弱いのだ。

リサが戦況を見ながら酒に酔ってると部下が勝利の報告をしにやって来た。

「敵軍は撤退し始めました。追撃してアポロン1を叩きますか?」

叩こうにも逃げるアポロン1を一撃で破壊する武器はエルザスにはない。

「逃がしてやれ。シエルには出陣の用意をするように伝えよ」

シエルのゴーレム位しか、あのゴーレムを一撃で破壊出来そうなのないぞ。

戯れで造ったドラゴンゴーレムは、廃棄処分にしてしまったしな。

再び戦乱の世が来るとは思わなかったのだ。

不覚であった。

「部下を慰労する為の宴会を開く。私と近衛兵は代わりに見張りをしろ」

泥濘の魔法でかろうじて勝利したエルザス軍は、その後宴会で全員寝てしまったが、幸運にも敵の夜襲は無く8月の1日が過ぎようとしていた。


何か軽率な作戦で部下を全滅させたひとみより、

真一の方が罪が重そうだよな・・・。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ