50.大公家の料理
フィリアは迎賓館の大広間にて到着した。
テーブルには豪華な花飾り、それに控えめながらも楽隊が音楽を奏でている。
シェナもクローシュで蓋をし、食材と醤油、食器を載せたカートを押して大広間に現れた。ギラス王子一行を挟み、大広間の反対側にはすでにモードたちスレイン大公家の面々が揃っている。
ギラスの側に控えるジウスが呼びかける。
「両陣営、揃いました」
「ふむ、では賞味しよう……。おっと、どちらから食すか決めてなかったな」
ギラスが面白そうにジウスを眺める。明らかに試すような口調だが、ジウスは冷静そのものだ。
「公平、ということであればコイントスで決められてはいかがかと」
スレイン大公もジウスの言葉に頷く。
「異存ありませぬ」
「ならば、そうしよう。表なら宰相殿の陣営から。裏なら大公殿の陣営から食そう」
ギラスが側近から金貨を受け取り、指で弾く。慣れているのだろうか。ギラスは難なくキャッチして、表裏を確かめる。
「…………」
フィリアは先攻でも後攻でも構わなかったが、思わず息を呑んでしまう。ギラスはコインを指で挟み、モードたちに向ける。
「裏だ。大公殿の料理から頂こう」
「ははっ! 光栄にございます!」
スレイン大公が恭しく頭を下げた。モードを先頭に白衣の料理人とクローシュで蓋をされたカートが前に出てくる。
モードが一礼してクローシュに手をかける。
「今回、我が陣営は与えられた題材に対し、ベストの回答を用意できたと自負いたします――」
芝居がかった仕草でモードがクローシュを外す。
「――っ!」
フィリアが息を呑む。そこにはフィリアがよく知っている料理があった。ジウスもわずかに目を細める。
「東方の魚料理、寿司です!」
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