表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】冷徹宰相に溺愛された錬金術師はのんびりと暮らしたい~婚約破棄された令嬢でしたがグルメ生活で幸せです~  作者: りょうと かえ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/56

48.天秤

 迎賓館の乳白色の大広間では、優美な音楽が奏でられていた。演奏の切れ目に、ギラスが隣の席にいるジウスへと声をかける。


 その瞳には演奏への賛美と品定めの色がありありと浮かんでいた。


「いや、実に素晴らしい。一流の国は一流の楽団を擁しているものだ」

「お褒めに預かり、光栄に存じます」


 ジウスが如才なく応じる。ギラスは水以外には手をつけず、菓子類も下げさせていた。


「今回は色々と注文をつけて悪いことをした。貴国の要人が来訪される際は、私が存分にもてなしをしよう」

「ははは、どうかお気になさらず。今回のようなことも友好の証です」

「それを聞いて安心した。貴国とは距離があるゆえ疎遠であったが、もっと早くこうしているべきだった。そなたもそう思うであろう?」


 ギラスが反対側に座るスレイン大公に声をかける。ジウスは微笑みを崩さなかったが、ギラスの魂胆は明白であった。


「まったくでございますな。しかしこのような言葉もあります。空虚だからこそ情けも募る、と」

「おお、それは我が国の詩人ブラニウスの一節ではないか。スレイン閣下は詩も嗜むのか?」

「ええ、このあと出てくる吟遊詩人は、私が懇意にしている者です。その者から色々と学びましてな」

「なるほど、広い見識をお持ちだ」


 そこでギラスがまたジウスに顔を向ける。さっきから演奏が一段落するたびに、ギラスはこれを繰り返しているのだ。


(我らを天秤にかけている、ということか……)


 しかしそれは逆に言えば、料理勝負についても公平で予断はないということ。その証拠に今朝迎賓館に来てから水以外は何も口にしていない。


 ギラスと会話をしながら、ジウスは心を落ち着かせる。フィリアなら心配はないはずだ、と。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


おもしろい、続きが読みたいと思って下さった方は、

ぜひともブックマークや↓の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎評価をよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ