夏休みです!
「こちらで荷物は全てでしょうか?」
「うん、大丈夫。よろしくね」
「承りました」
明日はついに実家に帰省!
今日荷物を受け取りに来たのはジェリーではない、力のあるメイド数名だ。
「明日ですね」
「うん! 久しぶりに家族に会えるのはやっぱり楽しみ」
「こんなに家族と離れることなんてありませんものね」
「そうそう。あ、レンちゃん、もしよければなんだけど」
「はい?」
◇◆◇◆◇
待ち侘びていた夏休みがやってきた!
私はレンちゃんの荷物の片方を持って外に出る。
「申し訳ありません、マードリア様。わざわざ荷物を持っていただいて……」
「いいよいいよ、気にしないで。私がほぼ強制的に持っているようなものだし。それにしても、我が家の馬車はもう着ていると思うけど……。あ、あった。レンちゃん行こう」
「は、はい」
昨日レンちゃんに提案したのは、我が家の馬車でレンちゃん家まで送るというものだ。
平民の為にも馬車は用意しているが、数に限りがあり、複数人の家を経由していくので、真っ直ぐ家には帰れない。
だから、こうして貴族と仲の良い平民は、貴族の馬車で送ってもらうこともしばしばあるのだ。
ちなみに、学年ごとに夏休みの長さは変わるので、お兄様は一週間前から夏休みだ。なので、お兄様は先に帰っている。
「あら、マードリア。前の馬車はあなたの家の物だったのね」
「ご機嫌ようアイリーン様、コリー王子様」
「マードもペア連れて帰るの?」
うん、作品が違えば私の印象がだだ下がりになる言葉だ。
「マードも、ということはお二人もですか?」
「ええ、そうよ。リリーさんはダミアさんと一緒に来るみたいだから、今待っているのよ」
リリー、以外と大胆な行動を。これは、ダミアとくっついてしまうのも時間の問題だ……。
またガーラに助言をもらわないと。
「マードリア様、お話の最中申し訳ありません、荷物を中に入れてもよろしいでしょうか?」
ジェリーが馬車の扉を開けてそう聞いてくる。
すっかり忘れていた。後ろを見ると、レンちゃんが少し厳しそうにしている。
「うん、お願い」
まずは私の持っている荷物から入れてもらい、レンちゃんの持っている荷物を入れようとするが、持ち上げようとすると案外重い。
「手伝いますよ」
そう軽々しく荷物を席に置いたのはフーリン様だった。
「ありがとうございます、フーリン様」
「あ、ありがとうございます!」
「いえ、こういうのは僕たち男の仕事ですから。それにしても、チコ様とアウダーさんがいませんね」
「あの二人もそろそろくるんじゃないでしょうか?」
と、噂をすれば。
「やあやあ、皆さんお集まりで」
「…………」
チコとは真逆で元気の無さそうなガーラ。
「ガーラ、大丈夫?」
「今日までなんとか家が無くなりますようにって願ったけど駄目だった」
「だろうね」
「光と闇……」
ボソッと呟いたコリー王子様の例えが的確すぎて、少し吹き出しそうになってしまった。
「あたし達はリリーちゃん達に挨拶したらもう行くね。またガーラが帰りたくないって脱走図るかもだし」
「あ、だから二人仲良く手を繋いでるんだ」
しかも恋人繋ぎ。
「リリーと仲良く恋人繋ぎをしていたマードリアに言われたくない」
ガーラはかなり不機嫌だ。
ガーラ、中身はおばあちゃんのはずなのに、なんでこんなにも子どもなのだろう。
ほんの少し呆れてしまう。
「マードリア、あなたいつからリリーさんとそんな関係に?」
「いや、ただの友人ですよ」
「女性は友人同士で恋人繋ぎを理由なくするものなのですか?」
「私はしません」
「あたし達も例外〜」
視線は一気にレンちゃんに集まる。
「わ、私も手、手はよくマードリア様と繋ぎますが、恋人繋ぎはありませんね……」
ええ〜、恋人繋ぎって普通しないの? 前世では……。人の手元なんてよく見ないから分からないや。
「……僕とも繋ぐ?」
「別にいいですよ」
コリー王子様に手を近づけると叩かれた。
「一国の王子が女性と恋人繋ぎなんてしたら勘違いされるわよ。そんなの許さないわ」
確かに、こんなの他の人に見られたらそう噂されるよね。そんなことになったら、コリー王子様に迷惑がかかってしまう。
「そうでしたね。私が浅はかでした」
「繋ぎたいなら私の手にしときなさい」
ほら。と言わんばかりに私に手を差し出す。
いや、繋ぎたいって言ったのはコリー王子様なんだけど、ま、いっか。
私はアイリーン様と恋人繋ぎをする。
「姉上ずるい」
「何か言いまして?」
「…………」
なぜこの二人は睨み合っているのだろう?
「レンちゃんも繋ぐ?」
「え、えっと、それでは失礼します」
レンちゃんは恐る恐るといった感じに指を絡めて手を握る。
まさに、両手に花だ。
次話 本日中
設定に学園キャラも書きました。




