精霊とみんなを会わせました
この重い空気の中、私は意を決して口を開く。
「あの、さ、たぶん、そうなんだよね。この状態ってことは」
誰一人声を出さない。だけど、みんな息ぴったりに頭を縦に振った。
「マードリア、一つ聞きたいことがあるのですが、いいですか?」
「いいですよ」
「ホワイトさんに宿っている精霊は、もしかして上位精霊ですか?」
みんなが縋るような目でこちらを見てくる。
私はそんなみんなの希望を打ち砕くかのように、頭を縦に振る。
「ふざけんなよ、それならいじめの方が何倍もましだ」
ダミアは顔を歪ませ、指が食い込むほど手を強く握った。
「聖職者の方にお願いして、呪いを解くことはできないのでしょうか?」
「それは無理。リリーの呪いの方が強すぎて、出来たとしても呪いの進行を止めるくらい。浄化はできない」
「どうしてガーラがそんなこと知ってるの?」
「…………」
「呪いに関しては私の精霊が全部教えてくれる。だからみんな、少し離れて」
私はラミスと心を通わせる。外に出てきてと。
体内と外界を繋げる扉のようなものが開く感覚がするとともに、私の体には激痛が走り、光の粒子が人型となってラミスが現れる。
「マードリア大丈夫? 苦しそうよ」
「大丈夫ですよ」
ラミスは部屋の様子を一瞥した。
「え、何この陰鬱とした雰囲気は。マードリア、一体何が起こっているのよ」
「えっと、あなたがマードリアの契約精霊ですか?」
ラミスはフーリン様をじっと見ると、少々驚いた反応をした。
「ええそうよ。私は最上位精霊のラミス。あなたはもしかしてスーウィツ帝国の皇子?」
「はい、フーリンといいます」
「やっぱり。それとそこにいる黒髪の少女!」
「え、ボクですか?」
「そうそう、あなたマードリアと同じものを感じるわ。マードリアがただ者じゃないってことは分かっていたけど、ここまでとはね」
と、ラミスは一人、場違いに盛り上がっていた。
「ラミス、それよりも相談が」
「呪いのこと?」
ラミスは分かっていたように聞いてきた。
「どうして分かったの?」
「五年間ずっとかかっていた呪いが一ヵ月くらい前に消えたのだから分かるわよ」
「呪いのこと、知ってたの?」
ラミスの顔が引きつる。意識してないが、たぶん怖い顔になってるんだろう。
「マードはどうしてそんなに怒ってるの?」
「怒ってませんよ。ただ、どうして教えてくれなかったのかって」
「……それは、ごめんなさい」
「ねえ、その呪いってどうにかできるの?」
「できないわ。その呪いはかなり強くてね、最上位精霊を宿した聖職者か私達にしか解けない。だけど、最上位精霊で人に宿っているのは私しかいないから無理ね」
「でも、ラミスならできるんでしょ!」
ラミスは首を横に振る。
「どうしてよ……」
「私はこの外界で力は使えない。マードリアの魔力元だから。それに、私の力を使うマードリアは、私の力に耐えられない」
「どうしてなの? あなたはマードリアの体に宿った。つまりマードリアは、あなたの力に耐性があるってことでしょう!」
「違うわ。あなたたぶん、ドルチエ王国の王女よね。あなたは見ていなかったの? 魔法を使うたび、マードリアが苦しそうにしているのを」
アイリーン様は私を見る。
アイリーン様だけじゃない、ガーラとラミス以外みんな、私を見る。
「ねえ、マードリア、ラミスと契約したのには理由があるんだよね」
「うん。ラミス、説明してあげて。先生達に説明したみたいに」
ラミスは頷くと、みんなに説明を始めた。
私とラミスが契約することになった理由を。
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