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第十三話:2010年9月15日/二回目(後編)

 ──というわけで、沢登さんの大学、珠上たまがみ大学に連れてかれた。ここに、T-メール発信機があるのか?そんなことより今は18時だ……今からやるって考えたら遅くないか?

「なんか不服そうだね。どうしたんだ?」

「いえ、別に……」

「まあいいや。僕が所属する舘岡研究室はこっちだ。」

 完全に部外者な俺をここに連れ回していいのか?でも、幸いまだ大学は休みらしく人通りはほとんどいない。

「それにしても、なんで今日なんですか?」

「明日から授業が始まるんだ。こんな大胆なことを出来るのは今日がタイムリミットだったってわけだ。──と言っている間に着いたよ。」

「へえ、ここが……。」

 とは言ったものの、研究室の中身ってこんな感じなんだくらいの感想しかない。ちなみに人は誰もいない。教授の舘岡も生徒も休みらしい。

「岩藤くん、これだ。これがT-メール発信機だ。」

「こ、これが……。」

 どデカいやつを想像していたが、想像していたよりかは小さかった……まあ、それでも勉強机並の大きさはあるが。

「これを今から持ち去るんですね。」

「まあそうだが、少し問題がある。あいにくこの発信機にはGPSが入っているんだ。」

「……GPS?」

「あー、まあ知らないか。簡単に言えば、そのGPSが組み込まれたものの位置が人口衛星に送られて、遠隔でそれの場所を特定できるってものだ。」

 ……これが最近話題のスマホとかのハイテクってヤツなのかな。

「まあつまりだ。このGPSがある以上、こいつを持ち去ると即時舘岡にバレてしまう。」

「それを取り除くことは出来ないんですか?」

「それは無理だ……しかし、この中に入っているGPSは意外とショボくて、簡単に複製を作れたんだ。まあつまり、同じものが二つ以上ある状況を作ることができるんだ。」

「それじゃあ、これを沢登さんが持ち去る時に代わりに俺が複製を持って、俺たちが別々の方向に向かえば簡単に分からなくなるってことですか?」

「察しがいいね、その通りだ。僕が発信機をある拠点へ持ち去るから、君は所定の場所にこの複製を置いていってほしい。」

「わかりました。」──


 ──俺はいくつかの目的地を示され、そして研究室を後にした。

「今、舘岡が僕たちの動向を伺っているかは分からない。でも、これでだいぶ時間が稼げる。この撹乱は僕一人じゃできないからね、感謝するよ。」

「ははあ……じゃあ俺は目的地に向かうんで。」

「ああ、健闘を祈る。──あ、ちょっと待って。」

「な、なんですか?」

「次に会うタイミングを決めてなかったね。できるだけ早い方がいいけど、いつにする?」

「じゃあ明日で。」

「わかった、そうしよう。場所は……あとでメールで発信機のある拠点の場所を教えるから、そこに放課後来てもらえるかな。」

「はい。」

 そして、俺たちは解散した。もちろん、今から俺はGPSを適当な場所に置きに行く。数は十一個だ。多くないか?──


 ──よし、これで三つ目を置き終えた。しかし19時半か。ちゃっちゃと終わらせるか。

「ん、怪しいやつがいる。お前何者じゃ。」

 ……じゃ?知らないガキに話しかけられたが、出会い頭にそれはひどくないか?

「べ、別に怪しいヤツじゃねえよ。あと、俺が誰だっていいだろ。」

「よくはない。だって、ワシも沢登の協力者じゃからな。」

「……!!沢登さんを知っているのか?」

「ああ。ここがGPS乗ったチェックポイントだということも知っている。ほれ、何個か渡せ。」

「手伝ってくれるのか?」

「もちろんじゃ。言ったじゃろ、協力者じゃと。」

「で、でも、それじゃあ俺が沢登さんと大学に行く必要あったのか?あんたが行けば良かったんじゃないか?」

「この容姿じゃと何かと怪しまれるんじゃ。仕方ないじゃろ。」

 ま、まあそうか。こんなガキが大学にいるはずないもんな。

「普段は人が多いからとりわけ目立たんが、今日まで休みじゃからな。」

「……その物言いだと、普段は行っているのか?」

「もちろんじゃ。ワシは大学生じゃからの。」

 年上かよ!めっちゃタメで喋ってたぞ!!

「……顔を見るになんとなく察せるが、ワシとの喋り方は気にせんでいい。慣れっこじゃ。」

「あ、ああ。そうか。まあとにかく、半分分けるぞ。」

「うむ。それじゃあ引き続き勤しめよ、少年。またな。」──


 ──結局誰だったんだ、あの人は。まあ協力者らしいし、なんでもいいか。とにかく、ようやく終わったぞ。さて帰るか……


 ……〜〜♪


 ん、なんだ……沢登さんだ。内容は、明日の集合場所だ。つまり、ここにT-メール発信機があるのか。ということは、ほとんど俺の手中にT-メールがあると言ってもいいのか?イマイチ実感は湧かないが、そういうことだと思っておこう。

 だとしたら、どんな文面を送るかが問題になってくるな。一昨日送られたものは安直に自殺を止めろという内容だったが、結果論としてはそれだけじゃ駄目だった。そうなると、もっと核心に迫る内容じゃないといけないが……そこら辺は沢登さんと相談だな。

 まあ、とりあえず、今日は寝るとするか。


続く

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