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異世界だろうが教師の在り方は変わらない  作者: 物語 紡
3時間目 クオリア派閥
21/160

1.作戦会議

 教師としてのマコトの朝は早い。

 とはいってはみたものの特段速くはない。毎日六時起床だ。

 先日まで住んでいた『ウサギ亭』とは違った部屋で寝起きをしている。身支度を整えて食堂へと足を向ける。



 この異世界に来て一か月半。

 とても一か月半とは思えない濃密な時間を過ごし色々な出会いがあった結果、王女に仕える立場になった。

 そして現在、その王女の屋敷に住まわせてもらっている。王族なだけあってなかなか広くでかい屋敷に住んでいたが王女曰く「うちの本邸に比べたら結構小さいのよ?」とのこと。

 一般的な屋敷を王族が住む城と比べるのがそもそもの間違いだ。



 この屋敷には今、六人が住んでいる。

 一人目は荒木真改めマコト・アラキ。

 異世界からやってきてはいるがマンガや小説の主人公みたいな能力は持ち合わせてはおらず、あくまで人に物事を教える教師としての能力しかないので争いごとなどは遠慮願いたい。



 食堂へと向かう最中の廊下でレオンと出くわした。

「あっ、先生!おはようございます」

「おぉ、おはよう」



 二人目はレオンだ。

 まだまだ青年とは言い難く、顔に幼さが残っている。平民で魔力なしだが努力のみで頑張っている騎士見習だ。マコトがこの世界に来て一番最初に仲良くなった人物であり、訓練を見ている間に先生と呼ばれて慕われている。



 レオンと話ながら歩いていると目的地の食堂についた。

 そこには、二人の人物がいた。

「ご主人様、レオンさん。おはようございます!」

「おはよう、マコト。悪いけどまだご飯は出来てないよ。七時に食べられるように準備しているんだから」

「おはよう。部屋にいても暇だからここに早く来てるだけだから気にすんな、コルナ」

「おはようございます。ティナさん、コルナさん」



 マコトのことをご主人様と呼んで挨拶してきたのはこの屋敷の新人メイドであるティナだ。

 先日助けた奴隷で仕事を紹介したのだが助けてもらったことに恩義を感じているらしくぜひとも召使いとして雇ってほしいと言ってきたのだ。しかし、召使いなんていらないので断ったのだが王女がティナを呼び止めどういった話し合いが行われたのかは知らんがメイドとして雇われたのだ。以来マコトのことをご主人様と呼ぶ。主人は王女なのでマコトがご主人様と呼ばれる言われはないので止めてくれと言ったが断られた。



 もう一人はこの屋敷の料理人であるコルナ。

 黄緑色の髪でセミロングまで髪を伸ばし一部分だけ髪を結んでいる。身長は王女と同じくらいで顔が幼いせいか女に間違われるがれっきとした男だ。こう見えても年齢は二十で自分の身長のことを気にしている。『識別』で確認をしたら、レオンよりも実力が高いと出ていたのでこいつも何かしら武芸が身に付けているのかもしれない。



 飯が出来上がり始めたころに最後の二人がやってきた。

 食堂の扉を開けたのはこの屋敷の主に最も長く仕えているエリカ。

 メイド服を着こなし髪を肩ぐらいまで伸ばしており、黒髪黒目で日本に普通にいそうである。いや、その表現は間違いだ。エリカみたいなのが普通にいたらこの世にブスという言葉は出来ていないだろう。そのぐらい美人である。



 そして、もう一人はこの屋敷の主で現在俺の雇い主である王女、クオリア。

 白いワンピースを着ていて赤い瞳をしていて髪の色は白髪。髪の長さはエリカと同じくらいで違いがあるとすればエリカの髪質がふんわりしているのに対してクオリアの方はまっすぐ髪が伸びていることだろうか。見た目は小学生に見えるのにこれで十六歳とのことだから驚きしかない。



「みんな、おはよう」

「皆様、おはようございます」

 クオリアは朗らかに笑いながら、エリカは表情一つ変えずに挨拶してくる。

「皆来ているみたいだし朝ごはんにしましょうか」

 この屋敷では緊急事態を除いてみんなでご飯を食べることが義務化されている。なぜかというと、クオリア曰く「皆で食べた方がおいしいじゃない?」だそうだ。

 後でエリカに理由を聞いてみると、幼少期から魔女の血縁者だということで家族からも敬遠されておりみんなで食べる食事に憧れていたそうだ。

「それじゃあみんな、いただきます」

「「「いただきます」」」



「さて、人も増えてきたことだし本格的にここからどうするか決めましょうか」

 食事があらかた終わり食後のティータイムを楽しんでるときにクオリアが言い出した。

「それって王選の話だよね?」

「そう。今までは私とエリカ、コルナの三人しかいなかったけど今はその倍になったわ。できることの幅が少しは広がったと思うの」

「確かに人が増えればおのずとできることは増えてきます」

「あの、それ以前に現在王選の状況ってどんな感じなんですか?」

 レオンがそう聞くとエリカが説明してくれた。



「支持率という形ですと第一王女ミランダ様が国民の大半の支持を集めているでしょう。第二王女クレハ様は貴族、それも爵位が高い人の支持を受けています。第三王女シェリー様は女子供から好かれている方ですね。そして、お嬢様の支持率は現在限りなくゼロに近いでしょう」

「エリカ、今は状況説明なんだから私のことは気にせずはっきりと言っていいのよ?私を支持する人なんていないって」

 エリカはクオリアの言葉に黙ってしまう。

 辺りは静まり返る。



「で、でも!少なくともここにいる人たちの支持は受けているのですからゼロではないんでしょうか!」

 見かねたティナが明るい声でそういうと

「確かにその通りだよね~」

「僕たちはクオリア王女の味方ですよ!」

 コルナとレオンが追随し

「まぁ、これ以上下がることはないと思えば気楽でいいだろ」

 マコトもそれに乗っかる。

「皆・・・ありがとね」

 クオリアは微笑を浮かべながらお礼を言っていた。



「さて、話を戻してどうすれば王選を勝ち上がることが出来るか考えましょう。何かいい案はない?マコト」

 クオリアが当然のようにマコトに意見を求めてきた。

「とりあえず、お前ら。王選で選ばれる奴はどんな奴だと思う?」

「どんなやつってそんなの国のためになる人でしょ」

「言い方が悪かったな。どういうの持っている奴が王になると思う?」

 その言葉に全員考え込んでいる。



「人の考えられる優しさとか?」

「志が高い人なのでは?」

「民衆から信頼がある人じゃない?」

「違う。実績だ」

 マコトははっきりと断言する。



「いくら理想論を掲げようとそれが実現できなければそれは子供の戯言と同義だ。民衆から信頼を得ている奴は実績を示せてるからこそ信じられる」

 全員黙って聞いている。

「クオリアに今足りないものは実績だ。実績さえ見せれば魔女の血縁者っていうレッテルが貼られようと支持してくれる人はいるだろ」

「でも先生、実績ってどうやって示すんですか?クオリア王女は政略や外交に関わっていないんですよね」

「政略や外交に携わってなくても実績を示す方法はいくらでもある。俺たちがこないだやったみたいな奴隷解放とかな」

「確かにそれなら支持を集めれそうですね!」

 ティナが目を輝かせながら俺の言葉に同意してくる。



「でもそれじゃあ、貴族連中を敵に回すことになるんじゃないの~?」

「お嬢様の成そうとすることはどのみち貴族にとっては阻止した事柄なので問題ないでしょう」

「決まりね。今は国民の困りごとを解決していくってことでいいかしら?」

「異議なし」

「異論はありません」

「僕も~」

「精いっぱい頑張ります!」

「私も頑張ります!」

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