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カラフル軍記  作者: ノイズa.k.a.天谷川
秘密警察『B3』編
10/65

十話

 筋トレしても筋肉フェチの女子は釣る事は出来ない。結局顔、俺が良い例だ。

 「八・・・九・・・九十っ・・・!」

 「頑張って―チタン、あと十回!」



 滴る汗が床に溜まり作った水たまりが近づいたり遠ざかったりする。



 「五・・・・・・六・・・七・・・」

 「お前より根性あるかもな、フィアー」

 「うるせぇ」



 残り三回と言う所で腕の震えがピークに達する。これで腕立て百回五セットが終わる。そろそろ目が霞んで酸欠の典型的な頭痛が襲う。



 「八・・・九・・・百っ!! ゼハァッッ!!!」



 腕から崩れ落ちたチタンはしばらく突っ伏して動かなかった。タイミングを見計らったニシキが話しかける。



 「中々、って所だなチタン」

 「あっ・・・ありがと、ござい・・・ます・・・・・・」



 向きを変えて仰向けになる、そこにはニシキの顔があった。ニシキは続けて言った。



 「よぉーしチタンが終了したから十分休憩だ!」



 その言葉で他の隊員は床に座して汗を拭い楽な姿勢になった。入隊して一週間と言うもの毎日ニシキ考案のハードトレーニング漬けの日々であり筋肉痛が酷い。フールやドグマは普段通りのトレーニングに違いないがチタンは体の筋肉を鍛えなおすと言う目的でニシキが直接指導に当たっていた。



 「チタンお前は下地は誰よりも良いんだ、お前はドグマやフールみたいな筋肉達磨染みた体よりもしなやかな筋肉の作りの方が持ち味を発揮できる筈だ。特にその飛蝗みたく鋭い脚だ、驚いたぜ先日の体力測定での五十メートル走で五秒台出した時はさ、俺の六秒台よりも早い奴初めて見たわ」

 「はぁ・・・、その下地が良かったんです・・・」

 


やや投げやりな回答で済ませる、チタンは生まれ持っての走術の才があった。幼い頃から人一倍走りに自信があった、生まれてから一度も走りながらその背中を抜かれた事が無かった。それまでに鍛えられた筋肉は全て走り込みで出来た物だった。



 「とりあえず・・・水分補給してきます・・・」



 チタンは瀕死の重傷を負った兵士の如く立ち上がりスポーツドリンクを求めてトレーニングルームを出て行った。廊下を数歩も歩く前に先にスポーツドリンクを取りに行ったランと居合わせた。

 


「はいチタン、これがほしいと思って取って来てあげたよ」

 「有難うございます」



受け取るや否や速攻で口に運ぶ、冷たいを通り越して少し痛い様な感覚が喉を劈き頭痛を起こしても喉が潤うのが分かった。一気に半分ほど飲みほして口を離し一呼吸置いて再び飲み始めたところでランが顔を近づけて囁いた。

 


「コレ・・・間接キス、だよね・・・?」

 「ブッ!」

 


口に含んでいた量の半分は盛大に吹きだした、少し鼻からも出てきた。少しばかりタイミングがズレて顔が紅潮しているのに気付く。

 


「えっ!? 間接!? キス!? へぇっ! ちょ、何言ってんすか先輩!」

 「ゴメーン、私も喉乾いてて少し飲んじゃった」

 「いや、構いませんけど。キスって!」



秘密警察『B3』に入隊してから初めてこんなに動揺した。あたまで考えるより先に照れ隠しの動作が出る。

 


「えへ!」

 「・・・」

 


ランのあざとい笑顔にチタンはいよいよ言葉を失う。どうやら顔が赤くなっている理由は驚きだけでは無いらしい。 

 






 青の帝国のほぼ中心に立地する皇居の中でも最も豪華絢爛な場所、すなわち皇帝の部屋である。玉座のある謁見の間ではなく私室で皇帝は有る人物と談話していた。

 


「ツァオ、今度の戦。再び勝ってくれるのだろうな?」 

 「当然ございます、今度の戦。総大将に六将海軍司令長官のダイダル、軍師に副将の神虎シェン・フーを配置してございます」

 「おぉ、十将が二人も! なら朕も国も安泰だな」

 


皇帝は純真無垢な笑顔でツァオという男に言った。『今度の戦』それは少なくとも秘密警察『B3』の参加する作戦とは違うようだった。『六将』と呼ばれた海軍司令長官のダイダルという男が据えられていると言う事は海上での戦いだろう。皇帝はその背中なのか胸なのかよく分からない胸で手を組み再び口を開いた。

 


「そなた達十将が抑止力となってくれているお陰で民は安心して暮らせる、大臣より習った歴史で十五年前のクーデター以降そなた達軍部に対する恩は計りしれんな」

 「その御言葉、愚将ツァオ如何なる励みにも出来まする」

 大尉ツァオは跪き礼の言葉を述べると皇帝は何やら言いたげな顔になった。それに気付いたツァオは尋ねた。

 「陛下、如何なされましたか?」

 「何時もの、やってはくれまいか・・・? ツァオ」

 「又で御座いますか陛下、何度も申し上げました通り大臣と外のマスタング近衛隊長に怒られてしまいます・・・」

 「やぁーだぁー、やってぇー!」

 


急に駄々をこねる年相応な幼女の言動に戻った皇帝にツァオは困り顔を禁じ得なかったが渋々何かを決心したように立ち上がった。



「少しだけですぞ・・・陛下」

 「やったぁー! さぁ早くせい! ツァオ!」

 ツァオは玉座に近づき皇帝の肩と腰に手を回し、皇帝はツァオの首に手を回し密接した、そして―――

 「よっと」

 「おぉー高い、高いぞ! ツァオ!」

 


皇帝はツァオに御姫様だっこ状態で抱えられてはしゃいでいる。足をバタバタ振るわせて嬉々としている。大きな窓の前に立ち景色を眼下にして皇帝は言う。

 


「やはりお前の体は抱かれていて心地良いな! 朕もそなたの様に何時か体を鍛えてみたい!」

 「光栄で御座います。が、陛下は今のまま可憐なお姿の方が似合っているかと」

 


三十二歳の男と十歳の幼女、文章にするとかなり怪しい臭いがする事には目を瞑る。青の帝国を統べる皇帝の何気ない日常である。まだ幼いのを良い事に若くして崩御した先代皇帝に変わって据えられた傀儡である事は言うまでもない。

 


「朕にはまだ黄龍帝の父上の如く威厳と人徳が無いが為に夜が乱れてしまっている。近頃、辺境の連合軍の動きはどうだ?」

 「今は大人しい、と言ったところでしょうか。」

 「そうか・・・期待しておるぞ!」

 「このツァオ、粉骨砕身して陛下に勝利を捧げ先祖の御霊を慰めたく存じます」

 


この言葉を最後に二人の毎日の恒例行事が終了してツァオは退室した。踵を返して広い廊下を歩き始める。擦れ違う者全員が彼に深く頭を垂れる、その悠然と闊歩する姿には気品がにじみ出ており凱旋するかの様だった。

 


「まぁたロリ陛下と戯れていたか、ツァオ」

 「ん? リュウセイか。それに神虎も一緒なのか」 

 「日頃の政務に加えて陛下のご機嫌取り、大変だねウチの大将は」

 


神虎の一言で三人は歩み始める。一番最初に話しかけたリュウセイなる男が再び口を利いた。

 


「にしてもさぁー十将おれらって活躍の割には周りに煙たがられてるよなぁ。あのロリは除いて」

 「まだ純粋こどもなんだよ?、自分が傀儡と言う事に気付いているならツァオにあんなに懐く筈が無いよ」

 「俺はロリ、いや女に興味はない」

 「話しがソレてるから、リュウセイ」

 「お前ら、宮殿だぞ。慎め」

 


ツァオの凄みを含んだ鋭い一言に二人は怯んだりしなかった。

 


「良いじゃねぇか? どうせ宮殿ここ十将おれらと軍部の庭みたいなモンじゃねぇか」



 リュウセイのその一言は核心を突いていたと言わざる終えない。十五年前のクーデター以降朝廷の権限は軍部に移っており二十年前の事件とは区別される。二十年前に武功を挙げているにも関わらずないがしろにされた当時の軍隊はクーデターを起こした、無論無意味に暴れたのではなく民を悪政で虐げていたという正当性を盾にだ。結果から言ってそれは成功に終わった。




軍は権力を自分たちに集中させて軍事政権を樹立、民を大切にする政治を敷いた。五カ年計画で文武百官は目覚ましい成果を上げて国を豊かにした。しかし十五年前の事であった、二十年前に追放された奸臣が復讐をたくらみ大きな内乱に発展した。その内乱の余波でチタンの父親は逆賊の徒に殺された、多くの死傷者を出しながらも青の帝国側が勝利するのだがそれ以後軍部の内輪では派閥が生まれ、遂にかつての奸臣と同じく悪事を働く者も出現して大きく揺らぎ続けている。

 




先ほど皇帝の言った『連合軍』とはそんな青の帝国軍部を敵とみなしたかつては家臣として仕えていた各国の実力者たちが打倒軍部を目標に中東の赤国が主宰として結成された軍である。もう既に地方では遠征軍と衝突しているのだが今は青の帝国が優勢ではあるが予断を許さない情勢である。






 今現在その軍部を統括するのがツァオを筆頭とする『十将』と呼ばれる十人の将軍だった。この制度は二十年前権力の集中を防ぐべく前任の大尉が決めた事柄である。筆頭の大尉ツァオ、軍師の副将神虎、三番手に憲兵隊長三将リュウセイ、六番手に海軍司令長官六将ダイダル、残りの四将、五将、七将、八将、九将、十将のメンバーの名が明かされるのはまだまだ先の物語の事である。






十将・筆頭・ツァオ(32)

 (VC・未定)

  190.2センチ

  103キログラム

    A型

  特技・絵画

 嫌いなモノ・『○○知らないとか人生損している』とかいう言葉

  武器名『蒼皇そうこう


・青の帝国の実質的支配者、父親が二十年前のクーデターの仕掛け人で十代後半で十将の座に就いた。いわゆる完璧人間で強さ、容姿、才能、家柄全てがそろった上で独身。腰まで届くポニテが特徴、幼いころから才能が開花していたらしく士官学校の成績は歴代一位。神虎とは士官学校で知り合って以来の親友。ロリ皇帝から懐かれており妙な親心が芽生えつつある事実を仲間に心配されている。全てがそろっているが故に近寄りがたい雰囲気があるがシャレは解する。神虎とは幼馴染。腕相撲は十将内で一番強い。




 十将・副将・神虎(33)

 (VC・遊佐浩二)

 194センチ

 86キログラム

  A型

 好きな食べ物・お茶

 嫌いなモノ・日差し(肌が弱い)


・軍師そ務める優男。実家はマフィアで脱ぐと刺青がびっしりある。実家が実家だったが故に士官学校は中退だったが十五年前の事件以降ツァオに取り立てられてからそのインテリぶりを発揮して武功を立て続けている。時々十将の詰所に男の娘の弟が遊びに来る。サンバイザーで素顔が隠れておりその素顔はツァオと家族しか知らない。ツァオとはよく食事に行く位仲が良い。腕相撲は七番目に強い。

 初期設定ではランは喫煙者でした

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