第七話 大立ち回り
「ば、馬鹿な……っ! 国家最高レベルの禁忌兵器が……!?」
監査官は、自分の手元にある起動スイッチが、ただの綺麗な金細工に変貌しているのを見て、恐怖で顔を真っ白にさせた。
僕が放ったのは、攻撃魔法じゃない。
ただ、彼らの兵器の魔力を正しい形に整えて、無力化しただけ。
だけど、彼らにとっては、どんな攻撃魔法よりも絶望的な光景だった。
胸元で「アルトくんがギュってした……。私、もう頭が真っ白で、魔法どころじゃ……っ」と耳まで真っ赤にしてフニャフニャになっているアオイを抱えながら、僕は騎士たちを静かに見据えた。
「というわけなので……。これ以上アオイや住民を怖がらせると、みなさんの武器や鎧の魔力も、全部『生まれたてのまっさらな状態』に修正しちゃいますよ。魔法の補助が消えて、その重い鎧のせいで一歩も動けなくなっちゃいますけど、帰ってもらえますか?」
物腰は柔らかく、だけど僕の『レストア』の力が、五十人の騎士たちの鎧や武器の魔力をじわりと包み込んでいく。
今すぐにでも自分たちの超重量の装備がただの「重い鉄の塊」に変えられてしまうという圧倒的なプレッシャーに、騎士たちの体が恐怖でガタガタと震え出した。
「ひ、ひぃぃっ! 化け物め、撤退だ、撤退しろォォォッ!」
兵器を奪われ、すべての武装を人質に取られた監査官は、情けない悲鳴を上げながら、騎士たちを置いて一目散に逃げ出していった。
それに続いて、騎士たちも慌てて彼を追いかけていく。
遠ざかる足音を聞きながら、僕は小さくため息をつく。
国を相手に大立ち回りを演じるつもりなんて、これっぽっちもなかったのに。
「アルトさん……これ、もう完全に王国に対して喧嘩売りましたよ。っていうか、アオイちゃん、アルトさんの前だとただの可愛いポンコツなのに、外す魔法の威力が天災レベルすぎて、色んな意味で危険すぎませんか?」
ハンスくんが頭を抱えて呟く。
僕の腕の中で、アオイは「アルトくんの匂い……えへへ、幸せです……」と、完全に蕩けた顔ですやすやと眠り始めていた。
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