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side 荒川千夏2(淫乱馬鹿女)


 パチーンッ!

 放課後、いきなり殴られた。

 他校の女子?


「アンタでしょ!?雄治の元カノって!!」


「…」


「何か言いなさいよっ!!」


「…」


「このっ!浮気女っ!!」


「…」


「私、許さないからっ!アンタのせいで雄治が居なくなった。アンタを殺してやるっ!!」



 ヒィー。

 怖い。殺される。


 鬼の形相をしたその女子の顔があまりの迫力で後退りする千夏。



「待って!!」


 たっ拓也君……?


「今、君まで居なくなったら、家族以外で誰が雄治を支えるんだよっ!気持ちはわかるけど、今は落ち着いて。早く駅に行こう。」


「…うん。」

 その女子は一瞬だけ拓也君を見たけどずっと私を睨む様に視線から外さない。ずっと睨んでいる。


「今ここで、君が暴れても誰の何の得にもならないよ。それにコイツには後々、天罰が下るよ。」


「…」


 天罰…

 まだあるのかな?

 いや、あるよね…


「だから、ね?今、俺達がやる事はここには無いでしょ?」


「…うん。」


「早く駅で今日もビラ配って手掛かりを探そう。」


「…うん。」


 その女子を拓也君が連れて行ってくれた。

 一先ず助かった……

 誰なんだろう…?


 雄治の関係者だろうな…

 失踪の原因である私が許せない…


 そう言う事だろうな。



 雄治……

 ごめんね…



 私は雄治が居なくなってから、田川君との関係も自然と終わった。

 いや、終わらせた。


 最初はクラスで空気扱い同士、彼が何度か話し掛けて来たけど、私は「もう、喋りかけないで。」と伝えたら、彼からは何も無い。


 遅かった。

 全て遅すぎた……


 あの時、言い寄られた時に強く言えば良かったのに。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 恐怖を覚えた私は帰宅中、最寄りのドラッグストアに寄った。

 田川君とは、最初は避妊具をしていたけど最後の方はしていなかった。


 その方が、より近くで奥で温かさを感じれたから。


 でも、大丈夫だよね?

 毎回、外で出してくれてたし。


 できてないよね?



 初めて使う妊娠検査薬。

 使い方自体は授業で習ってるから知ってるけど、手が震えて上手く封を切れない。



 不恰好に封を切ってからも手の震えが収まる事は無く、そこから急に首筋から背中にかけて寒気がして来た。全身が鳥肌になっているのがわかる。



 大丈夫だよね?

 お願い。お願い。

 神様、お願いします。



 結果を待つ時間が恐怖でしかない。

 祈るしか無い。


 大丈夫。大丈夫。大丈夫。

 できてない。できてない。

 神様、お願いします。

 神様、お願いします。



 だけどそこには、私の祈りを打ち砕く【陽性】の2文字がくっきりと浮かび上がっていた。



 嘘…


 嘘…だよね?


 どうしよう……


 彼との子供……?


 雄治との子供じゃなくて…


 嫌だ。嫌だ。


 ポタ



 ポタ



 ポタポタポタポタ


 ポロポロポロポロポロポロポロポロ

 ポロポロポロポロポロポロポロポロ



 雄治……

 助けて…


 ポロポロポロポロポロポロポロポロ

 ポロポロポロポロポロポロポロポロ


「雄…治……」


 雄治…ごめんね。


 ポロポロポロポロポロポロポロポロ

 ポロポロポロポロポロポロポロポロ



 雄治…


 雄治…



 ◇◇◇◇◇◇◇◇




 私は勇気を出して妊娠した事を親に報告した。

 相手の事も全て…


「この度はうちの馬鹿息子が申し訳ありません。」


 バンッ!

「お前は一生、顔を上げるなっ!!」



 田川君のご両親が彼を連れてうちに謝罪をしに来た。


「いえ、田川さん娘からは同意の上という話を聞いてますから……」


「で…ですが……」


「何度も言いますが、同意の上だったと…ただ、娘にも将来があります。娘と話をして今回は……中絶するしか…ないと言う結論になりました。」


「……なら、せめてっ!せめて!中絶費用は私達がっ!!」


「田川さん。もう……私達は決めましたから。学校には言わず進めようかと……幸い、もう少しで夏休みもありますし……」


「…」


「その方が、お互いの為かと…」


「なら、半分は出させてください。」


 3時間に及ぶ、親同士の会話で全て表向きは解決した。


 親に田川君との関係を全て打ち明けたら今まで見た事ないくらい泣いていた。

 その時に、私は私がした事の愚かさをまた、覚える事が出来た。


 失ってから気付いた雄治への想いだけではなく、両親にも……


 更に惨めに思うようになった。

 馬鹿な私…


 それに、私は保身に走って雄治の事は親には言ってない。

 怖くて怖くて言えなかった。

 伝えたら私の事で涙を流してくれた、この人達も私から離れていく気がして、怖くて言えなかった。



 ごめんなさい。

 結局、何も変わっていない…





 雄治……

 逢いたいよ…


 ごめんね。


 ごめんなさい…


 もう一度、逢いたいよ……


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