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南の砦 ライルへ


「ネビル国王っ!!助けてくれっ!!」


「ん?バラック大帝っ!!どうしたのじゃ!」


「ライルにっ!我が国南の砦ライルからの情報で龍の大群が目撃されてしまったっ!!」


「何っ!!」


「こちらも一時的にデスタック達を送るが数が多いらしく援軍を送って頂きたい。」


「わっわかった!!ハデルよ。話は聞いておったな!?直ぐに雄治殿とレイシアを向かわせよう。」


「えぇ、直ぐに呼んで参ります。」


「ネビル国王…かたじけない。」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 えっ!?

 何!何!何!


 目の前に大型モニターみたいのにバラック?大帝だっけ?が写ってる。


 なんか、緊急事態?

 また、こういう展開?




「すまぬ、雄治殿。今、バラック大帝からライルが龍の大群を目撃したと情報が入った。すまぬが直ぐにライルに旅立って貰えぬか?勿論、衣類や生活用品は追って送る。」



 えっ!?

 龍の大群!!

 また!?

 もう…

 いや、ダーディムのせいか…

 龍が凶暴になってるって言ってたし…



「勇者殿、頼む。本来、我々龍神属が人属の勇者にお願いをする立場では無い事は理解しているが、どうか……どうか、力を貸してくれぬか?」


 モニター越しに頭を下げるバラック大帝。



 断りにくいな…

 まぁ断る必要もないけど…


 旅立ちが早くなるだけだし…

 荷物は後で送るって言ってるし……


「えぇ~と。私は大丈夫です。転移魔法陣に向かいます。」


「雄治殿ありがとう。ハデルよ!レイシアはレイシアは何処におる?」


「それが、彼女が行きそうな場所を探しましたが見つからなくて……一応、アイナ殿に念の為に声を掛けて連れて参りました。」


「……なら、どうするか?」


「アイナ殿…は如何ですか?」


「わっ私!!」


「国王様、アイナ殿であればレイシア殿の代わりは勤まるかと…それ以外だとアイス殿しか……」


「うむ。緊急を要する。アイナよ。雄治殿とライルへ旅立ってくれぬか?」


「えっ!?えっ?えっ?」


「頼む、そなたにしか頼めんのじゃ。頼む。」


「あっ。えぇぇ。謹んでお受けします。」


「雄治殿が魔法陣でお待ちです。ささ、こちらに。」





 こうして、当初の予定だった雄治とレイシアのコンビは半強制に解散させられ雄治と聖女アイナによるコンビがバラガン帝国南の砦ライルへ向かう事になった。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「援軍っ感謝致しますっ!早速ですが、お二人ともこちらです。」


「はいっ!」

「えぇ、案内してちょうーだい!!」


 何でコイツなの?

 レイシアさんじゃなかったのかよ……


 マジで気分が下がるわ……


「ねぇアンタ、私の邪魔はしないでくれる?」


 いきなり何言ってんだコイツ?

 マジでうぜー。


「あぁ、気を付けるよ。」


「わかってるなら、いいのよ。」


 あー。うぜー。

 龍に喰われちまえ。

 口の悪い聖女って需要あんの?


 コイツの嫌いな所は上げたらキリがない。

 国王様とかの前では猫被ってる。

 だから、国王様もハデルさんもコイツの正体がわからない。


 でも、確かレイシアさんがコイツは100年に1度の天才とか言ってたな。


 よく、スポーツ選手とかが謂われる奴だな。


 イケメン選手は貴公子。

 金髪のサッカー選手なら神童とかね。


 まぁレイシアさんが言うくらいだから本物なんだろうけど、コイツの性格の悪さは俺しか知らないんだろうけど……


 腹黒性悪聖女。

 100年に1度の天才。

 略して100天と呼ぼうか。

 天ぷらの仲間みたいで旨そうでしょ!?


 塩かけるぞっ!!

 ポン酢かけるぞっ!!

 醤油かけるぞっ!!


 うどんと一緒に喰われてろっ!!!!!


「ここからは砦の外までこちらの馬車で移動しますっ!お二人ともお乗り下さい。」


「はいっ!」

「えぇ。」



 ガォォォォ!!

 ギャオォ!ギャオォ!ギャオォ!

 ガォォ!!

 ガォォォォガォォォォ!!

 ギャオォォォ!!ギャオォォォ!!

 ガォォガォォガォォガォォォォォ!!!!!



 翼がある灰色の龍と翼の緑色の龍の2種類だな。

 灰色の龍はこないだの、赤色の龍と比べれば人回り小さいな。


「私が緑を止めるわっ!!」


「ハァァァァァ!!!」


【罪に揺らぐ現世(うつしよ)

 罰に踊る浮世(うきよ)

 灰になるまで燃やすか

 焼き払うか 焦げるか

 無情の中で見つめる己】


「行くわよっ!!」


灼熱地獄ヘル・フレイム!!」


 バボォンッ!!

 緑色の龍の足元から灼熱の炎が次々と現れた。




 スゲーな。

 なんだかんだ、強いのね…


 嫌いだわー。

 こういうキャラって実際弱いとかじゃねーのかよ!

 ちゃんと強いのかよっ!!


 ムカつく。

 ちゃんと強いのムカつく。


 燃やしてるよ。

 緑色の龍を燃やしてるよ。

 腹立つわ。流石に。

 あの口調って実際、弱いって言うフラグじゃねーのかよっ!!!!!!


 俺いります?

 いらなくね?

 コイツ1人で充分だろっ!!


 帰りてー。


 マジで帰りてー。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 雄治達がライルに旅立つ前の事。


「リリア…すまない……」


「いえ、アンドレア殿が謝る事ではありません。」


「だが…」


「別に一生会えなくなる訳ではありませんから。」


「…」


「…」


「それは…?」


「雄治に渡そうと思って…自分で作ってみたんですが…初めてで……」


「そうか、きっと雄治なら喜ぶと思うぞ。」


「そうだと、良いのですが……」


「いつか渡せるといいな、その御守り。」


「はい…」






 駄目だったか…


 少し期待していたが…


 ショックが大きいよ。少しじゃないのかも。もしかしたら、私の知らない所で私の心はアンドレア殿の言葉に大きな期待をしていたのかも……


 だから、こんなにも傷ついているのかも…


 (しばら)く立ち直れないな……


 生きる気力も湧いてこない…


 雄治……


 雄治…


 君と再び訓練が出来ると思っていたのだが…


 駄目だったか…


 これも、渡せなかった……


 でも、これはいいか。


 不恰好だし、なんか汚いし…


 迷惑だよね…雄治は優しいから、貰ってくれても、きっとこんな出来じゃ迷惑だ…


 自分で使うか……


 もう1回、雄治と訓練して色々な話をしたかったな。


 武術大会もお疲れ様って。よくやったなって。何も言えてない。言いたかったな。

 褒めて褒めて甘やかしたかったな。


 雄治の努力を認めてあげたかったな。


 私もアスファルトへ旅立たないといけない。






 雄治……



 またな。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 雄治達がライルへ旅立った後の事。



「おぉ、レイシア殿っ!!今までどちらに?」


「えっと…ハデル殿、どうしました?そんなに慌てて、私は第3魔法訓練場で自主訓練をしておりました。」


「そうですか…」


「少しでも、雄治様のお力になりたくて…」


「その事ですが先程、雄治殿とアイナ殿がライルへ旅たたれました。」


「えっ!?」


「緊急の案件で龍の大群がライルで目撃されたらしく、レイシア殿を探しましたが見つからなく、代わりにアイナ殿に白羽の矢を立てました。」


「…そうですか……」


「レイシア殿、大丈夫ですか?その、顔が一気に青白く…少しお休みになられては?」


「え…えぇ。お心遣い感謝致します。それでは…」





 雄治様はもう……


 そんな…


 私は何をしていたの…


 雄治様ともう一度、仲良くなれる機会だと思っていたのに…


 自分から…


 そんな……


 心がチクチク痛い。

 痛くて痛くて痛くて、視界が濡れてよく見えない。


 …


 明日には忘れられるかな……?




 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 後は上の龍だな。

 コイツがやるのかな?


 チラッ。


 動く気配がないけど…

 大丈夫だよね…


 チラッ。


「なぁ、上のもやるのか?」


「ハァハァ……」


「やるなら、早くやって欲しいのだが…」


「…うっうるさいわねっ!!」


「いや、こっちに来そうだし…」


「少し黙ってて!ハァハァハァハァハァ」


「ハァァァァァ!!」


【儚さを謳う吟遊詩人

 美しさを(うれ)い遊ぶ絶海の王女

 果ての果てへと続く最果て

 孤高で孤島へと(むか)う強き華】


「ハァァァァァ!!行くわよっ!!」


雷棒流十ライボルト!!」


 ズドォン!!

 灰色の龍に空から無数の雷が落ちる。



 今度は雷か…

 認めたくないけど、コイツは強いな。

 だからって人間性が良いわけではないけど。

 強さに全振りして人間性を捨てた女。

 悲しき女。

 哀れな女。



 ヒュオォォォォ!!

 残った1匹が勢い良く地上に突進してくる。



「キャァァァァァー!!!!!!!」



 誰か居る!?

 地上に居る誰か目掛けて突進したのか……


 おいおい天才さんは何してんだよ。


 チラッ


「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ」


 だいぶ、息が上がってるな。

 おいおい。

 どうすんだよ。


 チッ!

「俺が行くっ!!そこで、見とけよ!」



 スパワーンッ!!

 雄治の体から大量の氣が放出された。


「ハァハァハァハァハァ。」

(金色の魔力?……いや、これって氣って奴じゃない?コイツが…?)



「ハァァァァァ!!!」


 ボンッ!


 横一閃


 灰色の龍が雄治の木刀の打撃により吹き飛ばされた。



 まだ、息があるだろ…

 止めはしっかりとだな。


「ハァァァァァ!!!」


 縦一閃。


 ボンッ!

 鈍い音と共に灰色の龍は動かなくなった。



「大丈夫ですか?」


 人間?

 いや、尻尾があるな。


 あっ!これが劣血の龍神属か。



「えっ…はいっ!人間っ!?あっすいません。助けて頂いてありがとうございます。」


「えぇ私は人間です。それにしても何でこんな所に?」


「はい…薬草を取りに…この変は比較的安全なエリアって言われてたんですが……龍の大群が見えて逃げる途中で友達とはぐれてしまって…」


「その、友達は?」


「わかりません。」


「取り敢えず一旦、私の仲間が居る所まで戻りましょう。お友達も帰ってる可能性がありますし…」


「えぇ。わかりました。」


「私が居るので安全ですよ?」


「…はい。あっ私の名前ですがブリューナク・レイバーと言います。友達からはブリュって言われてます。」


「私は雄治と言います。このライルに援軍として来た人間です。」


「そうでしたか…だから、あんなにお強いのですね?本当に助かりました。」


「いえいえ。」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「あっ!見えて来ましたよ?ほら?馬車が見えます?」


「はい。見えます。」




「あっブリュ!!何処に行ってたのよ!!」


 ん?

 お友達かな?

 この子も劣血になるのかな?

 人間みたいな見た目だし……


「ごめん。逃げてる途中ではぐれちゃって…」


「もう…心配かけるんだから……」




「倒したの?」


「当たり前だろ?お前が撃ち損ねた奴はしっかりと俺が倒したぞ。」


「うっうるさいわねっ!!私の邪魔しないでよっ!」


 何コイツ?

 マジで。

 本当にうぜー奴。


「あー。はいはい。じゃあ帰ろうぜ。ブリュさん達も乗って乗って送るから。」


「良いんですか?」


「良いも何もそれしか手段なくない?だから、早く乗って乗って。」


「ありがとうございます。」


「お友達も、乗って乗って。」


「はい。ありがとうございます。」


「私も乗るわよっ!!」


「知ってるよっ!早く乗れ。」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「お二人とも今回は助かりました。」


「いえいえ。」


「お役に立てて何よりです。」


「私も直ぐに駆け付けたんだが…如何せん数が多くてな…」


「デスタックさん、仕方ないと思いますよ。それよりもこの危機を乗り越えた事を喜びましょう。」


「そうだな。勇者殿。喜ぶとしよう。」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「なぁ、ハデルよ。」


「どうされました国王様。」


「今さらじゃが、重大な事に気が付いたのじゃが?」


「はい?何でしょう?」


「雄治殿の武器が…木刀…なのじゃ…」


「なっ!?」


「…」


「いっ今からドワーフのアキサ殿に作らせて送らせますか?」


「う~む。」


「…どうされましょう……?」


「取り敢えず、雄治殿に合いそうな武器を幾つか作ってもらって送るとするかのう。」


「そうしましょうか……」


「…うむ。すまぬ。雄治殿。」



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