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私事について  作者:
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⑦こんな仕事(後)

 経験を基にした創作です。

 最後に以前乗っていた車のアップの写真があるのですが、ちょっとアップ過ぎるのと、脈絡なくいきなり出てくるので驚かれるかもしれません。ご注意ください。

・アルバイトについて⑦こんな仕事(後)


【誰も私に興味はない】


 ああいうふうに答えてしまったら、いつまでもここにいると整合性が取れなくなってしまうだろうか。いや、探してはいるけれど決まらない体にすれば、でもずっと決まらないのも不審がられるだろうか。


 ……いや、だからなんだというのか。オッチャンに不審に思われたからといってなんだというのか。それが嫌だから転職するのか。それで失敗したら? また人の目を気にしているだけではないか。失敗しても責任は誰も取ってくれない。自分で納得して決めなければだめだ。私の人生がどうなろうと本当のところ誰も興味はない。あったら、それはそれで怖い。


 もしも仮に私のような男が職場にいた場合、私はどういう態度を取るだろうか。

 社員の人のように、(給料は高くないが)重宝して長くいてくれることを望むだろうか。それともオッチャンのようにもっと稼げる仕事をしろと言うだろうか。

 その場合を考えてみれば、私は後者寄りかもしれない。ただ、思うだけで何も言わないと思う。いや、少しは言うかもしれないけれど。あまりしつこく言って、その人の意思決定に影響を与えるような事態は避けたい。責任が取れないからだ。

 本人のためになるのはどちらなのか、それは本人にしか分からないことだ。いや、本人にも分からないことだと思う。選んだ先の未来が完全に分かって、比較検討できることはないのだから、難しい。

 本人の意思を尊重するのが一般的には正しいのかもしれないが、ケースバイケースで一概には言えないことだと思う。


 けれど、そう思うのなら、ほとんど答えではないだろうか。自分のような人がいた時、そう思ってしまうのであれば、転職するべきではないか。


―――――――――――――――――


【人の意見を聞いて決めるということ】


 自分で決めたことが上手くいかなくて、私は自分の決断に(普段からそういう傾向はあるけれど、特に)自信が持てなくなっていた時期があった。そのとき、ハローワークの職員さんが「知り合いが働いていて、家族みたいなところでいいと思う」と言って勧めてくれた会社があった。

 そこは私が生産管理をやることになった会社で、全然上手くいかなかった。あの人にとっての家族ってこんな感じだったんだろうか、と疑問に思った。(私の家族もいいもんじゃないけれども)というか、そもそもその人、そこで働いてもいないのに、知り合いからの伝聞だけで、なんでそんな分かったようなことを言えたんだろうか。と不満に思ったりした。最終的に決めたのは自分なのに。

 

 そして、やはり人に言われて決めたのは駄目なのではないか、自分で決めなければならないのではないか。そういう教訓を得たつもりになった。でも本当のところ、それは、耳障りはいいかもしれないけれど、あんまり関係ないと思う。


 結局、どうしても入ってみるまで分からないところがあるから、やはり運みたいなところがあると思う。


 そもそも、お前は今まで自分で決めて失敗してきたじゃないか。という置き論破というかなんというか。


 上手くいかなかった理由を分析するべきとかいうはなしがある。

 もちろんそれは大切だと思うけれど、どこへ行っても駄目だった場合、そもそも自分が駄目なんじゃないか、と結論づけそうになるけれど。運の要素もあるから、どこ行っても続かない自分は駄目だ、みたいに責めなくてもいいのではないかと思う。

 ただ、運によらない部分(待遇、給料、休み、仕事内容とか)をしっかり調べるのは大切だとは思います。思いました。 


―――――――――――――――――


【アルバイトによるアルバイトへの教育B】


 新人の方に仕事を教えたら、しっかりできるようになってくれて、仕事も自分のを取られるくらい率先して動いてくれるようになった。

 私の教育は間違っていなかった。高圧的な態度を取って相手を委縮させたり、疎外感を与えたり、そっちのほうがどう考えても間違っている。これでよかったのだと、少し嬉しく思えた。そもそも壁のポスターにだって書いてある。相談しやすい職場の雰囲気を作りましょう、と。

(ただ、必要以上に親切にすることもないのかもしれませんが。優しくすると危険そうな人には、ちょっと対応を考えた方がいいと思います)


 すぐに仕事に慣れてくれて、質問の数もめっきり減った。あとは細かい部分に関することだけになった。

 そうなると仕事にも余裕ができて、世間話なんかをした。仕事のことだったり、どこに住んでいるかとか、前(前職)はなにをしていたのかとか、地元の話題だったり。皆さんは私よりもしっかりした経歴をお持ちだった。経歴というか人生といった方がいいかもしれない。


「3X歳です」


『もっと若いかと思った』


「いやー、もう本当……あれですね。責任から逃げてきたから幼く見えるんかもしれないですね」


『いや、今の人は大変だと思うよ』


「皆さん本当すごいなと思うんですよ。勤め上げて、結婚して、家持って、そういうの自分には本当無理で」


『いや、それが普通やったんやて』

 私は、つまりそういうことになる。



「花粉症の薬、通販の方が安いってネットで見て買ったんですけど、注意書き読んでみたら、それ飲んだ後、車運転したら駄目な奴で……別のやつ買わないといけなかったんですけど……」(私)



『子供が成人したし、いまさら正社員の仕事もないから』


『定年で家にずっといたら、迷惑がられるんよ』


「……そうですか。やっぱ、そういうものなんですね」


 私はまた分からなくなってきた。私はまだ探せば正社員の仕事でもあるんじゃないのか。

 また人がどうだから、世間がどうだからで、自分で考えて決めたことを曲げようとしているのではないか。それで失敗してもだれも責任は取ってくれないのであって、他人は関係ないはずだ。

 

 それはそれとして普通に雑談とか会話ができるって楽しいと思う。私はここ1年近く、そういうのまったくできなかったなと、思った。話すは離すに通じると思うから、話さなければ貯めこみすぎてしまうのだと思う。


 

 常に優しい笑みを浮かべているような、そんな表情というより、顔をしている方がいた。そういったものは今までの人生の積み重ねによって、形成されるものだろうか。私がその表情をやろうとしても、ニヤニヤしてんじゃねえ、と、どつかれるのがオチだ。

 新人の方には優しくしなければならないとは思っていたし、実際そうしたつもりだけれど、私は実際そういう人間ではない。ただ、そうすべきだと思っているからそうしただけなのだ。結局、偽物であって、こういう方が本物なのだ。

 ただ、私としては偽物でも何でもいいから、優しく教えてもらえるとありがたい。



 質問をされるとき、こういうのが多かった。

『こうしろって言われたけれど、要するにこうだからですよね』


『これってこのためにやってるんですよね』といったものだ。


 これは受けた指示をいったん自分の中で、さらにその指示をする理由まで考えて、それが正しいかを確認する、というプロセスなのだと思うけれど、私は今までの人生、高圧的な人にビビッて、こういうこと聞けなかったなあと情けなく思った。勇気を出して聞いても無視されることもあったけれど。

 この確認は必要ないと言えば必要ない。指示を受けて、とりあえずその通りにできれば問題ないと言えば問題ない。ただ、それだと本当にそれしかできないというか、少し違うことになると対応できないということになりがちだと思う。

 だから……なにが言いたいんでしょうね。とにかく気軽に話せるというのは、とても重要だと思います。


 新人の方は私がなあなあでやっていることもキッチリやられていて、私も学ぶことがあると思った。


―――――――――――――――――


【休憩時間、生きる理由】


 休憩時間にアニメ作品(春の日差しのような作品)や映画を少し見て、英気を養ったり、精神を回復していると話したけれど、本も読んでいた。「自省録」という本だ。

 なぜ読んでいたかというと、『未練が生きる理由だ』、という格言はたしか、ローマ皇帝マルクス・アウレーリウスの言葉だと、なにかで紹介されていた記憶があって、それで調べるのもかねて読んでいたのだけれど、その格言は見つけられなかった。これは私が見落としている可能性もあるし、そもそも自省録には収録されていないのかもしれない。さらに普通に人違い、記憶違いの可能性もある。その文は見つからなかったけれど、こういった言葉を見つけて、やはり転職しなければならないのではないかと思った。


―――――――――――――――――

『思い起せ、君はどれほど前からこれらのことを延期しているか、またいくたび神々から機会を与えて頂いておきながらこれを利用しなかったか。』


『自省録』 マルクス・アウレーリウス  神谷美恵子訳 岩波文庫

―――――――――――――――――



 派遣の仕事を辞めると伝えたけれど、「今は時期が悪く、もう少しすればいい仕事を紹介できる」と言われて、考え直したことがあった。その後、その担当者は紹介してくれないまま辞めてしまい、そして次の方も最後まで(私が当初希望していたものは)紹介してもらえなかった。結局のところ、転職して失敗するのが怖くて、現状維持に逃げただけだった。そして派遣先も切られ、まだ派遣会社に在籍することもできたけれど、いろいろあってそれも嫌になり、歳だけ取ってしまった。


―――――――――――――――――


【バランス】

 カウンセラーの方は休日に好きなことをするのを楽しみにして、仕事を頑張る人が多いとおっしゃっていた。けれど私の楽しみの映画と漫画というのは、そこまで時間もかからないものであって、人生をトータルで見た場合、それ以外の時間が圧倒的に多いことになる。なんか、そういうバランスでいいんだろうか、と悩んでいる。けれど、本質は時間の長さではないのかもしれない。 


―――――――――――――――――


【当初の予定】

 元々、この追記部分は年末年始で書き上げる予定でした。

 内容としては無職よりはアルバイトで働いた方が精神的に楽だ、といった感じでまとめるつもりでした。ただ、なかなか書き進められないうちにいろいろあって、こんな感じで落ちを付けることにしました。結局何が正しいのかとか、どうするべきか、ということについては何も言うことができないです。

 私も何をすべきなのかよく分からなくなっています。


―――――――――――――――――


【forget】


嫌なことがあるとなるべく早く忘れるように努めてきたけれど、やはり無理だった。忘れよう忘れようとすると余計に気にしてしまう。なので、最近は『自分は強い。ないし、強くなったから、こんなことはもう気にしない』と言い聞かせるようにしている。正しく強がりでしかないけれど、無理やり忘れようとするよりもこちらの方がいい気がしている。


―――――――――――――――――


【転職活動②】


 3月に入ってからは、時間があれば求人情報は見るようにしていた。

 すると以前応募しようと思っていたけれど、締め切られていた求人がまた出ていることに気づいた。ただ、それはハローワークではなく、別の転職会社経由のものだった。私は転職会社を経由することに少し抵抗があったけれど、(単に利用するのが初めてだから不安だった)そんな理由で応募するのを躊躇していたのだけれど、それでまた締め切られたらあまりにも間抜けすぎる。自省録の言葉を思い出し、勇気を出して応募した。


 直接、会社に応募書類を送付する形式ではなく、間に転職会社が入り、そこから紹介されるという方式らしかった。(※派遣会社、派遣社員ではないです)暫くして、人材会社から連絡があり、履歴書と職務経歴書をメールで送るように指示された。

 私は作っておいた履歴書と職務経歴書を最新版に手直しして添付し、返信しようと思ったのだが、どうもその会社独自のフォーマットがあるらしく、それをダウンロードして記入してほしいと書いてあった。

 まあ、別にそちらに書き写すだけだろうと、軽く考えていたのだけれど、それは甘かった。履歴書は大体同じだったのだけれど、職務経歴書が想像と全然違った。【役職・実績】と書かれた大きな空欄があった。今まで働いてきた会社ごとにそれを書かなければならないようだった。


(役職、実績………………)


 私には書くことがなかった。


 書けないわけではない。【派遣社員、同じ機械をずっと作り続けた】それだって立派な実績のはずだ。直近だと勇気を出して内部告発もしたし。(警察学校で辞めた人あるあるだろうか、その部分書けることが何もない)

 

 でも、そういうことじゃないんだろうな、と思った。


 また機会を逃すのか、と自分を叱咤してみたけれど、やはり書けなかった。


―――――――――――――――――


【こんな仕事】


『お前、まだおったんか。いつまでこんな仕事……』


(………………)


―――――――――――――――――――――――――――

「……俺がこんな仕事をするしかないのは、結局俺がこんな(何をやっても上手くいかないし、上手くいかせるだけの能力もない。まっとうな経歴もなく、精神は異常に弱いし、頼れる人もいないしそれは結局のところ自分の人間的な魅力のなさの表れであって、まあとにかくそういう)人間だからですよ」

―――――――――――――――――――――――――――


 といったことを言うはずもなくて。


「……まあ、でもこれだって誰かがやらないといけない仕事じゃないですか」


―――――――――――――――――


【寒さ】

 

『今は春だからいいですけど、この仕事、夏冬は大変そうですね』


「そうなんですよ。夏は経験ないんですけど、冬は本当に辛くて、雪も降るし、足の指が凍傷みたいに……」


 ふと、また病気になれば心配してもらえるのではないか、という考えが頭に浮かんだ。けれど、それはどう考えても間違っていた。


挿絵(By みてみん)


(完)


 読んでくださってありがとうございました。終わり方があれですが仕事探しをやめたというわけではないです。

 アルバイト編はこれで終わりですが、あともう少し書きたいことがあるのでそれを書いて終わりにしようと思います。ありがとうございました。


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