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第百五十九話 暗中模索

 ダークミストに足を踏み入れしばらく歩くと、予想通りブラックウルフの群れが現れた。

 正直もう見慣れた相手だが、今回は一緒にいるのだがアルベルトだしな。

 

 だから出来るだけ針術師に見えるようなスタイルで戦っていく。

 幸い俺からするとそこまで手強い相手でもない。針型の手裏剣を武遁で作って針まみれにすることであっさり倒すことが出来た。

 

「流石ですね、村近くに出現したダークミストを消して解決しただけあります」

「まぁ、前やったのと同じだからな。でもこのタイプなら他の村に出現した霧の中にもいただろ?」

「いえ、ブラックウルフ(・・・・・・・)は出ませんでしたよ。こんなのは初めて見ました。他のダークミストの中で見たのは別の魔物です」


 別な魔物? 他にもタイプがいるってことか。だからこいつを見るのは初めてらしいが――


「あ、これです! 見たのはこの魔物です」

「あぁ、なるほどね」



ステータス

名前:ダークウォーカー

レベル:14

種族:魔物

クラス:子鬼系

パワー:100

スピード:60

タフネス:80

テクニック:40

マジック:30

オーラ :20


スキル

闇属性魔法、気配減少、身を潜める

称号

暗闇の徘徊者

 


 現れたのは紫色の肌をした魔物。見た目はほぼゴブリンで小さな角も生えている。

 目の色が真っ黒だったりといった違いはあるけどな。それにステータスもゴブリンよりは高い。


 ただ、ブラックウルフと比べれば段違いの弱さだ。数だけは揃えてきているし、闇魔法のダークボルトも使ってきたが、元のマジックが低く、魔力も少ないのかすぐに打ち止めになる。


「確かにこれなら、あの狼よりはな!」


 俺はものの数秒ほどでダークウォーカーの群れを撃退。骸だけが転がった。

 ただ、さっきのブラックウルフもそうだけど、今回はとりあえず解体せずに放置する。


 メインの目的を達成するのが一番大事だし、流石にまだまだ信用のおけない(・・・・・・・)アルベルトの前で遺骸まるごと放りこむような次元収納は見せられない。


「ですが、これだけの数は他の村でも見なかったことです。それをこうもあっさり、感服いたしました」

「いや、そんないちいち感服とかされるほどの事でもないから」


 流石に毎回すごいすごい言われてもやりにくいし、逆に恥ずかしいし。


「キー! キー!」


 で、ゴブリンのような見た目のダークウォーカーを倒したかと思えば、今度はダークウルフとセットでまた別な魔物もついてきた。


 黒い毛並みの猿といった様相で、ブラックサルッサという名の魔物だ。

 こいつはブラックウルフよりも多少レベルが高く、そして黒石を生み出すスキルを持っていた。


 それを加工して剣に変えて斬りかかってきたり弓にして射ってきたり、単純に投擲してきたりする。


 近づくとその爪で交差するように引っ掻く、クロスクローというスキルも持っている。

 距離が離れていても近づいても戦えるタイプのようだ。

 

 このクラスだと下手な傭兵じゃ厳しいかもしれない。猿のくせにスリーマンセルで行動しているし、抱きついて動きを封じる超抱きつきというスキルまである。


 三匹の内一匹はこれで動きを封じようと狙ってくるのがいやらしい。

 だから近づいてきたらすぐに針で急所を狙い殺す。


 残り二匹も始末し、ブラックウルフも倒していく。これで倒せたなと安心していると――予想通り死んだふりをしていた猿の一匹が背後から襲ってきた。

 

 尤もステータスは看破済みだったので、その行動は読めていた。 

 振り向きざまの針手裏剣をなげで倒す。


 アルベルトは最初に俺が言ったことに従い、魔物が出ると少し離れ、そこから様子を見続けていた。

 

 かなり真剣に俺の戦ってる様子を観察していて妙な感じだ。

 色々思うところがあったが、魔物を退治しながらナイトメアを探して歩いていると、突如首に何かが絡みつく。


「グッ――」


 どうやら黒い糸のようだ。しかもかなり丈夫な。

 それを利用し、俺を吊り上げようとしている。アルベルトが、シノビンさん! と心配そうに声を上げたが、俺はすぐに糸を切り離し、これを仕掛けた相手を見遣った。



ステータス

名前:ブラックストーカー

レベル:29

種族:魔物

クラス:昆虫系蜘蛛種

パワー:380

スピード:600

タフネス:220

テクニック:750

マジック:0

オーラ :480


固有スキル

首吊り糸、首飛ばし

スキル

気配遮断、爪強化、忍び寄り

称号

暗殺蜘蛛、首狂い

 


 黒い蜘蛛といった見た目の魔物だった。ただ、背中辺りから青白い顔が浮かび上がっている。不気味な魔物だ。


 気配遮断と忍び寄りで背後から近づき、糸で狙うのが基本戦術らしい。

 暗殺蜘蛛の称号らしい危険な相手だな。前肢の爪も鎌のような形状で、これで首を狙ってきたりもする。


 首狂いだけあるな。糸を切ると、素早い動きで近づき、その鎌爪で首を狙ってきた。

 その時ばかりは殺気を隠しきれてないな。背後からの場合糸を使用するのは、爪だとどうしても殺気が漏れてしまうからなのだろう。


 そして来ると判っていれば怖い攻撃でもない。首を狙ってくるとわかりきってるしな。躱してすぐに針を刺しまくってそれで終わりだ。


 と、思っていたら、今度は死角から黒いガスが勢い良く吹き付けられる。

 これ、俺じゃなきゃ間違いなく喰らってるタイミングだな。咄嗟に跳躍して避けたけど、よく見ると存在感の薄いガス状の魔物が漂っていた。

 

 だが、ナイトメアではないな。



ステータス

名前:カースガスト

レベル:25

種族:魔物

クラス:無機質系

パワー:0

スピード:120

タフネス:0

テクニック:200

マジック:250

オーラ :500


固有スキル

煙に巻く、物理攻撃透過

スキル

カースブレス

称号

闇に揺らぐ煙



 これがステータスだ。また面倒な相手だな。煙に巻くとか、俺の知っている意味合いとは違いわりとまんまでこのカースガストが煙の体で巻き付いて攻撃、ついでに呪われて痛みが続く。


 カースブレスも呪い効果付きのブレスだ。物理攻撃も透過だから面倒。

 

 仕方ないから、アルベルトから見えないように火車手裏剣で攻撃。炎は普通に効くらしくそれで霧散した。


 こいつからは普通に魔核だけが残ったので回収。そんな事を繰り返しながら進んでいくと、遂に目的の相手が見つかったわけだが。



ステータス

名前:ナイトメアハンドレッド

レベル:42

種族:魔物

クラス:使い魔

パワー:880

スピード:420

タフネス:650

テクニック:350

マジック:750

オーラ :720


固有スキル

闇蘇生、悪夢の瞳、暗黒光線、下位分裂、ダークミストワイド

スキル

闇魔使役、闇属性魔法

称号

闇を生み出す影、光を嫌うもの



「いや、こいつ何か違うし!」

「え? そうなんですか?」


 アルベルトが不思議そうに聞いてきたが、もう見た目からしてナイトメアと違うし。

 そもそもナイトメアは他の魔物の近くに潜んで移動していたけど、こいつはもう堂々と歩き回っていた。


 途中から偵知の術で察した内容で妙なのがいるなとは思っていたが、このナイトメアハンドレッドは先ずでかい。

 身の丈三メートル以上はあるな。身体は真っ黒なんだがとにかくガタイがいい。


 そして目が多い。恐らく名前の通り体中に眼球が百箇所ついている。


 そのせいかやたら気色悪い。ステータスもナイトメアより高いしな。

 ただ、ナイトメアにあった全攻撃透過がない。試しに針を投げてみたら普通に攻撃が通った。


 ただ、針縛りだと流石にキツイ。


「……俺、もう一本武器があるんでそっちも使いますね」

「あ、はい! 勿論です! お願いします」


 お願いされた。出来れば手の内は隠しておきたかったけどそうも言ってられなさそうだからな。

 霧咲丸を取り出し、腰に帯びて抜く。

 

 用意が整ったら勝負を仕掛けるため飛び出す。そこで相手も俺を敵と認識したのか、目から暗黒光線とやらを放ってきた。


 無数の目から放たれたおかげで、かなり広い範囲がカバーされてしまっているが、印を結び、霧遁・雲散霧消の術で光線の軌道を反らす。


 その上で、穿孔手裏剣を作り出し、投擲して相手の目を射抜いていく。


 ナイトメアは悲鳴こそ上げないが、効いてはいるだろう。後は接近し、紫電一閃で身体を上下半々に斬り裂いた。


 ナイトメアハンドレッドの巨体が地面に落ちる。

 これで倒れてくれれば楽なんだが――しかし、この魔物は闇に溶け込むように消え去ったかと思えば、今度は別の闇の中から姿を見せた。


 やっぱり、闇蘇生というのはそういうことか――あのナイトメアよりもちょっとは歯ごたえがありそうだな。

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