Case.1-② 最強! 最狂! 最凶!
その校舎は廃墟という言葉が最もふさわしい。
「東雲先生……! こ、これは……? 患者さんも寝てますし……!」
「くっくっくっ……! これは面白い……!」
小影が不敵に笑う。
「思ったよりも深刻だったなぁ……! もうすぐで……レベル4ではないか! なぁ、斎藤! 久しぶりにレベル4とバトりたい! レベル4まで放置してみてもいいか!?」
「ダメに決まってるじゃないですか! せ、先生! 患者が"ゾンビ?"みたいなのに囲まれてますよ!」
ひなの周りはゾンビを想起させる化け物に囲まれていた。
「ふむ……」
小影は左手を前に突き出す。
そして、左目が紫色に、右目が白く輝き出す。
「闇の業火に抱かれて眠れ……ダークネス・フレア」
小影がそう呟くと、ゾンビは灰となって朽ちていった。
「しの、のめ……先生……?」
「斎藤は見るの初めてか……これは我が心の闇と光を瞳に宿す――『カタストロライズ』だ。これで患者のトラウマを消し飛ばす!」
「そんなことができるんですか!?」
「うむ、この空間内でだけ……だがな。この子は――仲間を仲間だと思えないのだろう……む? 来たな――奴がラスボスだ」
ゾンビの屍が集まるように――それは巨大なキメラとでも言うべき異形へと姿を変えた。
「それじゃ、ひなちゃん……! いってらっしゃい!」
小影はひなをキメラの中へと投げ込んだ。
キメラは叫んだ。
『人が怖い……!』
『孤立したくない……』
『嫌われたらどうしよう……』
そんなネガティブな言葉をキメラに取り込まれたゾンビたちは吐く、まるでひなの心の声を代弁するかのように。
『先生……助けて……』
「ふっ……その言葉を待っていた。いま、助けるよ――」
小影は詠唱を始めた。
「……願わくば、我が想いが彼女に届くことを祈って――カタストロフ・インパクト!!!!!」
巨大な隕石がキメラを押しつぶす。
「せ、先生! このままだとひなちゃんが――!」
「大丈夫だ……彼女はもう――自分のトラウマに勝っている」
ズシン、とした振動が地面に響く。
「こ、これは……!?」
「アナザーディメンションが崩壊する。ただこの空間は彼女の心だ。だから――いまから修復する! シャイニング・ネバー・エンディング!!!!!」
そこら中に倒れるゾンビたちに光が降り注ぐ。
「ふっ……やっぱり欲しかったんじゃないか、友だち」
◇
アナザーディメンションから脱出すると、ひなが消えていた。
「先生……患者さん……ひなさんはどこに?」
「忘れたよ……」
「え?」
「あの子は明日からいつも通り学校に行く。友だちもいる。ただそれだけだ」
小影は遠くを見つめて言う。
「言っただろ? 厨二病はこの世の理を書き変える、と」
「ちょっと待ってください……! それってどういう――」
斎藤が言い切る前に小影は言った。
「私は厨二病診断医にして――世界で最初にして、最強の厨二病患者だ」
「は……?」
「厨二病は私が生み出した病だ」
夜の静寂が二人の間に壁を立てていた……。
完
一旦これで完結ということにさせてください!!!!




