表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

Case.1-① アナザーディメンション

 患者を一旦帰したのちに、小影は問診書を読んだ。

 

――――――――――――――――――

    氏名 佐野ひな

    年齢 15歳

 生年月日  2010/09/26

 好きなこと ゲーム(特にRPG系)

 苦手なこと 人付き合い

    備考 中学時代に孤立経験

――――――――――――――――――

 

 そして、彼女は頰杖をついた。


「東雲先生、どうしたんです?」

「あの子のレベル3なんだ……。妄想世界アナザーディメンションがある。だから、その世界設定を考えてたんだ……」


 小影は意味のわからない単語を羅列した。

 

「レベルってなんです? それにアナザーディメンション……とは?」

「なんだ斉藤、そんなことも知らないのか……?」

「いや俺、数日前に配属されたばかりなんですけど……」


 小影はため息をついて、近くに置いてあったホワイトボードを取り出した。


「いいか、身体に叩き込めよ! まず、レベルっつーのはな、こっちの世界――いわゆる現実世界に及ぼす影響の規模の話だ」

「影響……?」

「ああ。むぅ……理屈で説明がつかないな、見たほうが早い」

「な、なるほど……?」


 小影は再び問診書に目を向けた。


「うーむ……」

「でも、東雲先生。その問診書って、とても普通の問診書には見えないですね。診察中も思いましたが、カウンセリングっぽいというか……」

「ここはそういう……"壊れちった奴らが来る場所"だからな」


 斎藤には、小影がどこか遠くを見つめているような……そんな風に見えた。


「ところで斎藤! 免許と車は持ってるか?」

「ないですけど、何か?」

「ったく……使えねぇなぁ! 仕方ない、タクシー呼ぶぞ! もちろん"経費"でな!」


 ◇


 白鷺記念総合病院からタクシーでおよそ2時間。

 時刻は20:00。もう日は沈み、街灯がぼんやりと地面を照らしていた。


「ここが患者さんの……?」

「うむ、いかにも」


 コツコツコツ……。


 足音がこちら側へとやってくる。

 斎藤は小影の一歩前に出た。


「先生、お待たせしました……」

「夜遅くに悪いね、ひなちゃん」


 そこには患者――佐野ひなの姿があった。

 

「それでお願いって――」

「学校に一歩入って、10秒経ったら出てくる……できるかな?」

「……? でき、ますけど……そんなことして何か――」

「いいから、いいから!」

「わかりました……」


 ひなが校門を越えると、彼女は忽然(こつぜん)と姿を消した。まるで初めからいなかったかのように。


「えっ!? 東雲先生! これはいったい……」

「……見ただろ? これがアナザーディメンションっつー現象だ。簡単に言うのであれば、あの子だけ学校に入ると、別世界に飛ばされる……そういう感じだ。試しに、斎藤も校門を越えてみろ」


 斎藤が校門を越えると、どこも違和感のない普通の高校だ。

 そして斎藤が高校から出た瞬間、ひなは"無"から現れた。


「こんなのどうやって治療を――」

「ふっ……ふははは! さあ、行くぞ斎藤!」


 小影は病院から持ってきたカバンから、VRゴーグルを取り出した。

 ひなは思わず、「先生、ゲームでもするんですか……?」と言った。


「ゲーム……? ふむ、ゲームか……別の世界に入るって意味では間違ってはいないかもしれんな……。ほら、斎藤も付けろ!」

「あ、はい!」


 小影は斎藤がVRゴーグルを装備すると、ひなに尋ねた。


「ひなちゃん、手を出して……」

「はい……!」


 小影はひなの手を握った。


「あと、悪いけど……この斎藤ってヤロウの手も握ってくれるかな? ごめんね、こんなヤロウと手繋がせて……」

「先生……聞こえてますよ……」


 ひなが斎藤の手を握る。


「このゴーグルはな、ひなちゃんの世界に入るための道具だ。それじゃ、ひなちゃん……校門を潜れる?」

「はい……!」


 そして、ひなが一歩踏み出し、校門を潜ると――


「こ、これは……!」


 そこは――"ダンジョンと化した学校"だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
なるほど、患者の厨二病世界にダイブするのですね! 面白い展開です!
僕もよく教室で怪人集団とバトルする妄想してたな〜
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ