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俺×恋=0になります。  作者: 黒猫
第一章 俺×春=新しい出会いが待っています。
7/16

6話 俺×生徒会長=かけ離れた存在です。

早速、クラス委員は仕事を任された。


会議室にて全学年のクラス委員が集まり顔合わせをすると言うものだった。

そこには容姿端麗で頭脳明晰、完璧と言っていいほどの人物、『生徒会長』が来るらしい。


普通の生徒は、この学校に入って生徒会長を見られることが幸運らしく、式典を合わせ年に2〜3回見られるかわからない程度だと言っているが……


生徒会長はミッ○ーマウスかってーの!


それにしても気になるな。いったいどんな人物なのだろうか。


結局、真守は黙って会議室に向かい、決められた席に腰をかけた。


めちゃくちゃ広い。ここは本当に会議室なのかと疑うぐらい広い。


二学年は少し遅れて来るとのことで、一学年と三学年のみで挨拶が行われるのとになった。ちなみに、相変わらず俺のことが嫌いな白ヶ崎は一向に目を合わすこともなく、不貞腐れた表情で肘をついている。


「さて、君たちが新入生の代表ね!」


いかにも先輩って感じのメガネをかけた女子生徒が第一声を発した。


「それじゃ、二学年はまだいないけど、先に私たちだけで挨拶を始めちゃいましょう」


挨拶って何をするのだろう。まさか、自己紹介じゃないだろうな。まぁ、練習してきたから特に問題はないが……


「それでは、一学年のA組から男女の順で、クラス、名前、趣味、このクラス委員を引き受けた理由、意思を聞こうかしら」


おいおい、ちょっと待ってくれ!注文が多すぎやしないか?頭の処理が追いつかない……


ちなみに一学年は全体でA〜J組まであり、クラス委員だけで総勢20人集まる。

真守はそこのBクラスで、噂によるとAから順に頭のいいクラスになっているらしい。つまり真守はそこそこ頭のいいクラスなのだ。


その代表ってこともあってか、責任という重圧が半端なく背中にのしかかっている。


「まずはAクラスの、って、あら、男の子の方はどうしたのかしら?」


まさかのAクラスの男子が不在!?


理由がなぜなのかはわからんが、これは緊急事態だろ。


そんな緊急事態にも関わらず、ゆっくりと凛々しく席を立つものがいた。


「申し訳ございません。A組代表の山神(やまがみ) 隼人(はやと)はどうしても外せない案件があるようで早退しております」


先輩の問いに答えたのはA組の絶対女王、黒ヶ峰(くろがみね) 姫花(ひめか)だった。


彼女の容姿は魔女そのものだ。黒髪ロングに綺麗な赤色の目、それとおまけに吸血鬼なのではないかと疑うぐらいの綺麗な八重歯がチャームポイントだ。良い意味で白ヶ崎とは真逆の容姿で、共通しているのは目と透き通った白い肌というところだ。


噂で聞いていた通りの美人だ。さっき会議室に向かう途中で神宮丸に捕まり、黒ヶ峰の話を聞いたが、まさか、こんなところで出会えるなんてな……


「なに、じっと見つめちゃってるの?気持ち悪い……」


「えっ、べ、べつにじっと見ていたわけじゃ――、


「私に喋りかけないで変態!」


半ば食い気味の罵倒。


「はいはい……」


なんでこんなにもキレイな子の口が汚いのか。黒ヶ峰もそう言う子ではないと信じるしかない……


白ヶ崎は俺の中ではハズレだった。


「それでは、男子の山神君を飛ばして、黒ヶ峰さんから自己紹介お願いできるかしら?」


「はい、かしこまりました。(わたくし)の名前は黒ヶ峰姫花でございます。趣味は花を生けること――、


口を開いてもその可憐さは崩れない。典型的なお嬢様だ。清楚で正義感の溢れた風格。なにをとっても不足はないだろう。


「それでは、黒ヶ峰さんはこの学校でやりたいことってあるのかしら?」


おっと、この自己紹介は質問もされるのか!?これは気が抜けない自己紹介になったな。


「私は二学年になったら、ここの生徒会長に立候補し、この町の風情を取り戻したいと考えております」


意外とスケールの大きいことを言うんだな。


たしかに、この町はもともと桜の木やイチョウ並木などが多く植えられていて、他の町にはない風情あふれる観光名所だったが、この学校が創立されてからか、町の自治体の方々が無理やり大きな駅やショッピングモールを建設してしまっていた。

そのため、桜の木やイチョウ並木が伐採されてしまい、その影響で昔に比べ観光客の数が激減し、町自体が廃れていくのがわかるくらい人がいなくなっていた。


だからと言って町全体が活発に活動するわけもなく。ただ、有名校が佇む無駄に広い町になったというわけだ。


「君、昔の僕を見ているみたいだよ」


ある男の声が廊下の扉から聞こえた瞬間、会議室に集まっていた三学年の生徒が姿勢を直し、頭を下げ始めた。


「お疲れ様です、生徒会長!」


異様な雰囲気。実際に生徒会長を目にしたが、さすがの俺でも自然と起立し頭が下がっていた。


「あはは、みんなご苦労様。そんな、僕は王様じゃないんだから頭を上げていいよ」


彼がそう言うと、みんな顔を一斉に上げ、先ほどの顔つきとは打って変わって、真剣な眼差しで生徒会長を見つめ始める。


「それで、話はどこまで進んでいるのかな?」


この状況を把握するべく、生徒会長は三学年のクラス委員に問いかけた。


「はいっ!今は一学年の簡単な自己紹介を行なっていました!」


やけに気合の入った返答だな。


「そうか、それで今、黒ヶ峰さんが意気込みを語っていたわけか」


生徒会長に名前を知ってもらっている!?さすが、恐るべし黒ヶ峰姫花……


「私の名前をすでに知っていただき、誠に感謝の至りでございます」


おぉ、あの黒ヶ峰が深々と頭を下げたぞ。さすが、恐るべし生徒会長……


この八ツ星(やつぼし)高等学校の生徒会長、丸山(まるやま) (かおる)は誰もが憧れる漢で、彼の功績は入学して間もない一学年の時から一際目立っていた。

そんなことがあってからか、高校では異例の一学年で八ツ星高等学校の頂点、生徒会長に就任したのだ。

噂によると、先生たちも頭が上がらないほどの家柄で、実質、会長の一言で学校全体が動くといっても過言ではないらしい。


「あはは、もちろん、君は特待生組でも群を抜けていたからね。それに……ここには入学式を無断放棄した人もいるようだしね」


そうそう、黒ヶ峰は本当に美人で一般人とは思えない風格だ。そして、こんなところに入学式を無断放棄する奴がいるって?あはは、一体誰のことを言っているんだ?


入学式、無断放棄……


って、それってもしかして!?


「お、俺じゃん……」


理解できない。なぜ、会長が俺のことを知って、いや、入学式を無断放棄した生徒だとわかってるんだ?


もしかして、本当に俺だけが入学式を欠席していて、その後、名簿を確認され、学校には来ていることを把握し、わざわざ確認までしたってことなのか?


「ところで、自己紹介はどこまで行ったのかな?」


「はいっ!今は1-Aが終わったところです!」


まじか、ちょうど俺じゃないか……


間の悪いことに、会長が皮肉交じりで放った俺に対する発言をされた直後に、こんな展開なんて。


「おっ、ちょうど君だったんだね。自己紹介楽しみにしているよ!」


唐突な煽り。


あの生徒会長がご存知ってだけで周りから嫉妬され兼ねないのに。こんな、黒ヶ峰や白ヶ崎がいる中で醜態を晒すなんてことは俺には出来ない!!


いや、無難に終わらせればいいんだ!無難に無難に……


嫌な緊張に身を任せ、震える手を無理やり気持ちで抑えながら席を立つ。


「えっと……1-B、男子のクラス委員、楽々浦真守です。趣味は音楽鑑賞で、なぜ、クラス委員を立候補したかと言うと、自らが率先してクラス全体をまとめられるか、その力が自分にはあるのかを確かめたく、立候補させていただきました。以上です」


ちょっとクサすぎたか?まぁ、こんなこと言っとけば自然とその場が流れるだろう。


「あははっ、君って面白いね!」


ただ、一人、会長は手を叩いて笑ってる。


なぜか俺の自己紹介は会長のツボに入ったみたいだ。いつ、ギャグを入れたっけ?音楽鑑賞のところか?いや、それはクラスでも同じことを言ったし、そこではないはず……


「楽々浦君、君は嘘をついてるね」


「は、はい?」


「嘘が見え見えなんだよ、まず君が率先してクラス委員を引き受けるようには見えない」


「なっ……」


なぜわかったんだ?この生徒会長、侮れん……中学時代、魅惑のポーカーフェイスと言われた俺の嘘をあっさりと見破るなんて。


「正直に言ってごらんよ、君がここにいる理由」


何もかも見透かされている気分だ。きっとまた嘘を言ってもバレるだろう。なら一層のこと全部さらけ出してやるのもアリかもな……


ため息を一つ吐き、正していた姿勢を崩しながら改めて自己紹介をする。


「はぁ……えっと、俺の名前は楽々浦真守です。趣味はとになく、なぜクラス委員になったか、それは半ば強制的に担任から任され、それに加え、俺のことが大嫌いな白ヶ崎まで一緒にクラス委員をやれと言われ、よくわからない状態でここに立っています」


「ちょっと、あんた、なんで私の株も下げるような発言するのよ!」


全部言ってやった。これが俺の全てだ。


若干、不貞腐れた真守の自己紹介を聞いた周りの反応は見ての通り、ゴミを見るような目で見下していた。白ヶ崎は自分の評価が勝手に下げれたことについて怒りが露わになっている。


そんな中、生徒会長は……


「あははっ、やっぱり君は面白いなー!実に面白いよ!」


ご満悦の気分。


なぜなんだ?この人の意図が全くわからない。なんなら逆に馬鹿にされてるみたいで気分が悪い。


「あの、もう次の人に行っていいんじゃないですかね?」


もう、こんな注目されてる環境はごめんだ。早く次に行ってくれ!


「いや、ちょっと待って!僕は君のことがすごく気に入ったよ!よかったら生徒会に入らないかい?」


「えっ……?」


まさかの勧誘!?


「会長、それはさすがに突然すぎますよ」

「そうです、こんな右も左もわからない一年生を勧誘されるなんて!」


慌てるように三学年の先輩方が騒ぎ出す。


「君たち、僕も一年生の時に生徒会に入ったんだ。楽々浦君だって例外ではないだろ?」


せ、せ、生徒会なんてごめんだ!ここの学校の生徒会がどんなにすごいのか俺には全くわからないが、先輩方の反応を見るからに面倒なのは確かだ。


こんなの断るっきゃないっしょ!


まさか、こんな俺が生徒会長の丸山薫に気に入られるなんて。想像していなかった出来事で、より一層、高校生活は騒々しくなりそうだ……

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