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俺×恋=0になります。  作者: 光黒猫
第一章 俺×春=新しい出会いが待っています。〜新生活編〜
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1話 俺×入学式=第一印象が大事です。

2018年に投稿した作品ですが、リメイクを加えて最終話まで制作します。

桜舞い散る校庭。


みんな期待や不安を胸に秘めながら、自分のクラスを確認している。

そこでどんな出会いがあるのか、どんな楽しいことが待っているのか——あるいは、どんな災難が待っているのか。


いや、ダメだ。


そんなマイナス思考じゃ、暗い雰囲気のまま入学式が終わってしまう。


入学式は第一印象が大事なんだ。


だからこそ、穏便にことを済ませなければならない。


特に俺の場合はだ。

とんでもない災難に襲われる可能性がある。


……とはいえ、慎重に対処すれば何も問題ないはず。


そう思っていた矢先——


「ここが講堂か。結構大きいんだな」


真守はひとり、感慨にふけっていた。


そのときだった。


後ろから、ものすごい勢いで迫ってくる女子生徒の気配。


「あっぶなーい!そこどいてぇー!!」


「ちょ、そんなこといきなり言われても——!!」


案の定、真守は見ず知らずの女子生徒と正面衝突した。


「痛いな……入学式早々なんなんだよ」


目の前には、茶髪のふわっとしたショートカット。パッチリとした二重に、黄色い瞳。


とても可愛らしくて、整った顔立ち。


(これは……)


食パンをくわえた女の子と曲がり角でぶつかって、運命的な出会いをする——あのシチュエーションの応用編では?


いきなりフラグ成立!?


……と、一瞬だけ期待したが。


そのフラグは、どうやら“災難”の方へ繋がるらしい。


女子生徒は痛そうにしている……が、それ以上に。ものすごい勢いでこちらを睨んでいた。


「あぁ、そういうパターンね」


真守は悟る。


(これが俺の高校生活、最初の災難か)


「ちょっとあんた!避けなさいって言ったじゃない!」


「なっ!?」


とんでもない理不尽だ。

突っ込んできたのはそっちなのに、なぜ逆ギレされる?意味不明な行動に加えて、自己中心的な発言。


一瞬でイラッとくるが——


(ここでキレたら終わりだ)


真守は小さく咳払いをして、無理やり冷静になる。


「あ、あの……ごめんなさい。俺の不注意で……」


「そうよ、まったく!あんたのせいで足を怪我しちゃったじゃない!」


「こ、この女……」


思わず本音が漏れそうになる。


が、ぐっと堪える。


「……あ、本当だ。怪我してますね。でも、そのくらいのかすり傷なら歩けると思うんですけど」


「はぁ!?あんたそれが女子にぶつかってきた人の言う言葉なの!?」


ぶつかってきたのはお前だっつーの!


「あはは……だから、ごめんなさいって言ってるじゃないですか」


「ごめんなさいで許されないこともあるの!はやく、私を保健室に連れて行きなさいよ!」


「なっ、そんな時間——俺にはありません!」


これは本当だ。

このままだと入学式に遅れる。


「なによ。あんた、女の子を一人ここに置いてく気なの?最低ね……」


「くっ……」


理不尽すぎる。


「……あの、あなたも入学式に間に合わなかったら大変じゃないんですか?」


制服を見る限り、この学校の生徒だ。


なら、新入生のはずで——


「はぁ!?私は二年生だから入学式なんて関係ないのよ!」


「二年生って、先輩なんすかっ!?」


「なによ、気づかないでそんな無礼なことしてたわけ?」


「……」


全然気づかなかった。


そういえばこの学校、制服は同じでもリボンやネクタイの色で学年が分かれているんだった。


一年が赤、二年が青、三年が黄色。


そして彼女のリボンは——青。

完全に先輩だった。


「そ、それじゃあ先輩は、なんでこんなところにいるんですか?ここ新入生の会場ですよ?」


この学校は生徒数が多いため、入学式は新入生のみで行われる。

だから、本来ここにいるはずはない。


「そんなこと一々気にしてないで、はやく保健室に連れて行きなさいって!」


(話通じねぇ……)


「……じゃあ俺は入学式に向かうんで、これで失礼します」


強引に話を終わらせて、その場を離れようとする。関わっていたらキリがない。


「あんた、どこ行くのよ!!」


次の瞬間。

制服の襟を掴まれ、そのまま引き倒される。


「ぐはっ!?息止まるかと思ったんですけど!」


さっきまで座り込んでいたはずの先輩は、普通に立ち上がっていた。


(いや立てるんかい)


「私を保健室に連れて行かなきゃ、大変なことになるわよ」


顔を近づけて、脅してくる。


「……大変なことって何ですか?」


「この場で大声で泣いて、警備員にあなたを連行させてもらうわ」


「そんなのありかよ!?」


「う、ううっ……本当に泣くからね」


「だぁ!わかりました!連れて行きますから泣かないでください!」


——結局。


真守はその謎の先輩を保健室まで連れて行くことになった。


そして当然のように——


入学式には間に合わない。


(……終わった)


入学式を欠席して遅れて登場。


それはつまり。

第一印象、完全終了。


「あぁ……」


静かに天を仰ぐ。


「終わった、俺の高校人生」

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