表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第一章 魔法少女世界選手権大会
83/188

83.カナの対戦相手

 カトリーンが、いくらヘルヴェティア王国の全権代表だとしても、口約束では反故にされかねない。


 そこで、カズコは、大会本部が用意する文書に署名してもらうことを提案する。


 ところが、カトリーンは、それに応じようとしなかった。



「これは、あくまで密約のようなものです。

 文書に残すと、ハチジョウ・ファミリーが後々困ることになるはずです。

 それとも、私を信用できないのですか?」


「信用しないとは言っていません」


「いいえ。信用できないから、そう提案するのでしょう?

 なら、覚醒のために魔法少女たちから魔力を奪う行為を妨害せず黙認する、という一文を追加してもらいます。

 これでも、文章に残すのですか?」


「……っ!」



 まだ十四歳の少女に対して、こうも大人が言い負かされるのも癪ではあるが、カズコは渋々折れることにした。


 勝ち誇ったように去って行く全権代表の背中を見送った二人は、ドアが閉まると顔を見合わせた。



「カズ-。勝手に決めては困るわよ」


「マイコ。ああでもしないと、試合どころじゃなくなるのは、火を見るよりも明らか。

 炎竜は盗まれていた、なんて記事がヤマト国に広まるのよ。

 残念だけど、あの子の提案の方が、穏便にことが進む」


「それは、炎竜が奪還されるストーリーでしょう?」


「だから、そうならないように、娘さんに是が非でも勝ってもらうのよ。

 カトリーン・シュトラウスに勝てば、全てが丸く収まる。

 彼女は諦め、炎竜は覚醒されずに娘さんの体の中に残る。

 でしょう?」


 カズコは、まだ納得がいかない顔をしているマイコの肩をポンと叩いた。


 うつむいたマイコは、ポツリとつぶやく。


「それで――準決勝の組み合わせは?」


「今知りたい?」


 カズコは、マイコの顔を覗き込んで、ニヤリとする。


 そんなカズコを、マイコは横目で睨んだ。


「あと数分で公表するのに、もったいぶらない」


「それもそうね。

 では……」


 カズコは、右手の人差し指を立てた。


「第一試合は、娘さんと五潘(ごはん)イズミよ」


「やっぱり、いきなりのカトリーンを避けたのね?」


「いやいや、偶然偶然。

 選手たちの間で、取り組みが細工されているという噂が立ったので、準決勝から、サイコロを振って決めた結果を金庫の中に入れていたの」


「今時、サイコロなんだ……」


「私の予想では、娘さんとカトリーン・シュトラウスが決勝に進むと思っている。

 だから――」


「だから?」


「決勝戦の審判員は、マイコ――あなたよ」


 カズコは、マイコの鼻先に人差し指をビシッと向けた。



   ◇◆◇■□■◇◆◇


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
cont_access.php?citi_cont_id=62234447&si
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ