表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第一章 魔法少女世界選手権大会
64/188

64.暴露された炎竜

 大会二日目は、主催者側にとって、いくつもの想定外があった。



 まず、優勝候補筆頭の七身(ななみ)ユカリが敗退したこと。


 彼女が消えた時点で、客が帰り始め、視聴率が1ポイント下がった。



 次に、いずれの試合も早めに決着が付いて、興行としては面白みに欠けたこと。


 終了時間が予定より2時間も短くなってしまったのだが、勝負は水物とはいえ、あまりにお粗末であった。


 選手たちの間では、すでに、組み合わせの抽選が意図的であるという噂が広まっていたが、それが事実だとしても、実力差のありすぎる者同士を組み合わせたのは失敗である。



 そして、準決勝に残った四人は、全員十四歳以下だったこと。


 年齢制限が十五歳以上だった第一回には参加していないメンバー、つまり初顔だ。


 魔法の実力は重ねた年齢と無関係、ということが実証されたことになる。



 準決勝に勝ち進んだ四人は、報道陣に取り囲まれてもみくちゃになった。


 ヒーローインタビューなどないので、ホテルに帰る選手を捕まえるしかないから、記者も必死だ。


 だが、カナは姉妹に守られながら、一言も発することなく自動運転車に滑り込んだ。



「あらあら、すっかりヒーローねぇ」


「姉さん。あそこにいる記者、ひどく無礼な奴で、本当に頭にきました。

 魔法で懲らしめていいですか?」


「マコトお姉様! イリヤは、あの人に足を思いいいいいっきり踏まれました!

 マイクで、頭を叩かれました!」


「あらあら、進路妨害発生」


「うわっ! あいつ、今度は、車の前でとうせんぼ……。

 自動運転車が止まることを知っていてやっているな!」


「ひどすぎます!」


「私が取材に応じます」


「カナ! それは止めた方が――」


「いいえ。マコトお姉様。

 この状況では、どいてくれそうにありませんし」


 カナはそう言って、自分の右側のガラス窓を開けた。


 一斉に、記者がマイクを突っ込む。


「カナさん。準決勝進出おめでとうございます。今のお気持ちは?」


「ありがとうございます。これもファンの皆様の声援があってこそですから、皆様のおかげです。

 感謝の気持ちで一杯です」


「次は、カトリーン・シュトラウスと対戦でしょう?

 秘策はありますか?」


「組み合わせは聞いていません。

 なぜ、その組み合わせだとわかるのですか?」


「次は、黒猫を使うのでしょう?」


「まだ決めていません。

 それより、明日の組み合わせをなぜ――」


「聞いた話によると、カナさんは、炎竜を宿しているのだとか?」


「えっ? 誰がそんなことを――」


「君! でたらめもいい加減にしたまえ」


「あっ、マコトさん。本当にでたらめなのですか?

 カトリーン・シュトラウスが言っていましたよ。

 次の試合で、そいつを引きずり出すと。

 困るなぁ、嘘をつかれると。

 それとも彼女が嘘をついているのでしょうかねぇ」



 車内では、無言が支配した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
cont_access.php?citi_cont_id=62234447&si
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ