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『マン・ハンティング~異世界でクラスメイトへ復讐する』  作者:
ドルヒ編

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???視点 五 ~声~

『いいよー?』

 頭の中に妙に甲高い、変な声が聞こえる。

 同時にはるかたちが私のすぐ後ろの曲がり角を曲がった。

「見つけた~!」

「はあ、はあ…… みなものクセに、ナメタ真似しましたネ」

「もう許さないじゃん!」

『どうする? もう逃げられないよー』

「なんなの? この変な声は」

『何って…… 悪魔だよー。あなたの必死の呼び声に答えてきただけなのに、ひどい言い草だなー』

 この状況を把握しているみたいなのに、呑気な口ぶりが苛々する。

『ただし代償は頂くけどねー。願いを叶える代わりに代償を頂くのが悪魔だからー』

「代償って、何?」

『本来は契約書を読んでもらって血でサインするものなんだけど……』

 はるかたちがあと数歩の距離に迫ってきていた。

『その余裕もなさそうだねー。どうする? とりあえず契約成立っていうことでオーケー?』

 こんな怪しげな声、普通なら気が狂ったか、幻覚か何かかと思うだけだろう。

 一顧だにせず無視するだけだろう。

でもこの怪しげな声は、信じてもいい気がした。

少なくとも親や教師、無慈悲なクラスメイトよりはるかにましだ。

「いい…… なんでもいい…… あいつらを殺してくれるなら」

 私は心の底から思った言葉を口にする。

『その一途な思い…… 美味だねえー』

 ふと、私の意識が遠のく。

『とりあえず、人の命の代償として一番メジャーなのを頂くよー』



 その言葉と同時に、さっきまでの甲高い声が聞こえなくなった。

「このやろ~」

 はるかたちがすぐ前の前に迫ってくる。

 もう駄目だ。さっきの変な声に耳を貸している間に、逃げればよかった。

 悪魔になんて、すがるんじゃなかった。

 そう思うと同時に、曲がり角から急に巨大なトラックが出てきた。さっきまでトラックの走る音なんて聞こえなかったのに、どこから出てきたの?

 私たちがいる道に入ってきた。この道は狭くてトラックが通れるぎりぎりしか幅がないから、避けることもできない。

 トラックからは私たちがいるのが見えているはずなのに、ブレーキをかける音もしない。

 というか、運転席に運転手が見えない。

 その無人のトラックは、 私たち全員を飲みこむようにして轢いていった。

その直後、身体がバラバラにされるんじゃないかってくらいの衝撃が全身を襲う。痛いと思う暇もなく意識を失った。

死ぬのは嫌だと思った。でも引かれる瞬間に、はるか、きりえ、しぐれが絶望的な顔になっていたのでスカッとした。

自分が死んだことよりも彼女たちが殺されたことの方が嬉しかった。


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