表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『マン・ハンティング~異世界でクラスメイトへ復讐する』  作者:
ドルヒ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/118

武道を始めた理由

「なにしてんの、あなたたち~? 何話してたのか結局イミフだったけど、結局見捨てられたね~。その程度の関係だったんじゃん」

「すぐには殺さないよ~。二人の仇、じっくりと嬲ってあげる~。まずは君から、その後でみなもの番~」

 女がなぎなたで脛を払ってくる。僕はかかとで尻を蹴るようにして脚を上げ、かわす。

「ほいっ~」

 なぎなたが空を切った次の瞬間、女が手首を返しなぎなたの軌道を百八十度変える。次に狙うのはもう片方の脛。

 片足立ちになった僕はフットワークが鈍っている。短剣では脛まで届かない。転がるようにして脛が両断されることだけは避けたけど、なぎなたの鋭い切っ先が掠めた。

 脛の骨の太いほう、「脛骨」が切られて出血した。痛みの神経は骨の表面、「骨膜」に集まっているから激痛が走る。

「まずは片足~」

 女が相変わらず間延びした声を出す。余裕の表れか、なぎなたを肩に担いで構えすら取っていなかった。いらいらするな。

「とりあえず~、手足全部使えなくしてダルマみたいにしちゃお~」

 女が再び斬りかかってきた。


 

 数分後、僕は両手両足の腱や神経を全て切られて地面に転がっていた。

「あはは~。みじめ、みじめ~。人がみじめに転がって悔しそうな顔を見るのって、サイコーの快感だよね~。だから武道って大好きなんだ~」

 人をいたぶるために武道を始めた口か。死ねばいいのに。

 でも、僕にはもう攻撃手段が無かった。手の腱を切られたから短剣を持つことすらできず、武器は地面に転がり、輝いていた刀身は土で汚れ、柄はなぎなたで叩き切られ、へし折られていた。脚は既に感覚すらなく、立つどころか転がることさえできない。

「はい、はい、はい~」

 女はもうなぎなたの刃すらもう使わず、柄で殴りかかってくる。

 肩を打たれて肩甲骨が砕け、鳩尾を突かれて胃の物質が全て逆流する。食後時間が経ち、胃酸をたっぷりと含んだ胃液は喉が焼けそうに熱かった。

 痛くて、辛くて、苦しくて、惨めだ。コカトリスに喰われかけた時を思い出す。

 女はとうとう飽きた様子で、

「もう疲れちゃった~。 バイバイ~」

 そう言いながらなぎなたの切っ先を僕の喉につけた。

でも感覚がおかしい。切っ先の冷たさも、傷口の熱さも残っているのに。

なにか違和感がある。まるで、自分の身体がそこにないかのような……

 まさか。

 僕は全身の血が冷たくなるのを感じた。唯一動く首を思いっきりねじり、地面に埋まっている石を咥えて口で引っ張り、身体を強引に回転させる。全身に激痛が走るけど知ったことじゃない。

 何も見えない空間で、何かがぶつかったような感触がした。

 女のなぎなたの切っ先が何もない空間にめり込むと、血が吹き出てきた。

 お腹を貫かれたエデルトルートの身体が、横たわっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ