結界展開
あとがきに大切なお願いがあります!
ノーラン様に驚かれながらも、私たちは転移魔法で辺境伯領へと一気に転移した。
到着してすぐに、私はふうと深呼吸をする。
うん、空気が澄んでいる。木々が多くあるからか、カーヴァー侯爵領よりも綺麗な空気だ。
それに、景色もかなりいい。右を向けば山、左を向けば海。周囲には畑が点在しており、領民たちもどこか穏やかそうだ。
「いや〜助かっちゃったね。転移魔法がなかったら、あそこから何日かかっていたことやら」
ノーラン様があははと笑う。
「大変ですね。こんな大荷物を自分で運ばないといけないなんて」
「領民も手伝うって言ってくれているんだけど、この辺りもかなり魔物多くて困ってるし。領民たちの希望者に街に魔物が入ってこないように守って貰っているから厳しいんだよね」
ふむ。ここ近辺でも魔物が多いなら、外に出るのは極めて危険性が高いのは確かだ。
それなら、一人で行った方が領主としても安心できるといったところなのだろう。
でも、その領主が倒れられたら困るのも確かだ。
「であれば、完全にこの街に魔物が入ってこないように対策をしておきましょうか」
「対策つっても、今やっていることで精一杯だからな」
「だから結界を張るんですよ。そうすれば、魔物は街に入って来れないし、人間は自由に出入りできます」
私が言うと、ノーラン様は目を見開いて驚く。
「結界魔法を使えるのかい!? エリナさん……すごいねやっぱ」
「とんでもないです。それじゃあ、サクッと作っておきますね」
深呼吸をし、精神を研ぎ澄ませる。
目を瞑り、街全体のイメージを頭の中に浮かべた。
「《結界展開》」
詠唱と同時に、領地に薄いドーム状の膜が広がる。
よし。これで結界魔法は上手く発動できた。
「おお〜これが結界魔法か。ありがとう、エリナさん。もう初手から君は街の英雄になったかもしれないね。早速、名誉市民ってことで特別待遇にしないとな」
「いやいや、そんなのいいですよ」
「そうかい? ああ、それよりも街を守ってくれている人たちに結界魔法のことを伝えないとな」
「であれば、私の通話魔法でここから伝達しましょう。ノーラン様の声をみんなに届けますよ」
「マジか。それに関しては聞いたことない魔法だ」
なんて驚きながらも通話魔法で、領民たちにノーラン様の声を届けた。
少しして、ノーラン様が通話を切る。
「……もう大喜びだったよ。エリナさんのことを伝えたら、それこそ英雄が来てくれたって大はしゃぎだよ」
「喜んでいただけてよかったです」
まあこれなら、早速ここに移住して村八分にされるなんてことはなくなっただろう。
「ああ……そういえば移住の件なんだけどね。ちょっと今、家が空いてなくてさ。少しの間だけ、俺の家の空き部屋で過ごすことになるんだけどいいかな? 大丈夫、俺は君のスペースには勝手に入らないし、女性の使用人を付かせるから信用してくれるとありがたいんだけど」
空き家がないのか。いきなりこっちに来ることになったし、それは仕方がない。
なんなら、それでも空き部屋を貸してくれるなんてありがたい限りだ。
「ありがとうございます。では、しばらくお世話になります」
「よかったよかった。使用人たちも喜んでくれるだろう。歳の近い女の子と話す機会なんて、俺の家ではないからな」
そんなこんなで、私の辺境での仮住まいが決まった。
でも、歳の近い使用人か。意外と若い子もいるんだな。ちょっと話してみるのが楽しみである。
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