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私の知らない感情  作者: i.to
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1話

初小説なので、至らない点ばかりだと思いますがよろしくお願いします。

一応、女の子同士の恋愛物になっています。

 高校生になれば、アニメや漫画のように華やかな毎日が待っているのだと思っていた。恋に部活にと彩り豊かで輝く毎日があるのだろうと思っていた。


 しかし、いざ高校生になってみればなんてことはない。今までと大して変わらない毎日が過ぎていく。当たり前だった。中学生から高校生になるだけで、自分の性格が急に変わるわけないのだから。


 でも、何故か周りの人々はキラキラと輝いて見えた。青春を謳歌しているように見えるのはなんでだろうと水嶋悠は授業を聞きながらボーっと考えていた。



 6限目が終わると、悠のもとに幼馴染である藤木遥香と日吉なつきがやってくる。小学1年生の時に同じクラスになった3人は、小学3年生まで同じクラスであった。4年生になり悠だけ別のクラスになったり、3人バラバラになったりもしたが、だからといって疎遠になることもなく高校生になった今でも仲良くしている。タイプの違う3人は、それぞれ別の交友関係ももってはいるが、この関係は特別なものなのだ。


「悠、今日は部活見学して帰らない?」


そう提案するのは、藤木遥香だ。万人受けするような可愛らしい少女で、なんだかんだで様々な事が上手くいってしまうタイプだ。もっと極端な言い方をすれば運がいい子。悠は遥香のそんな良くも悪くも器用な所がとても羨ましかった。努力しても無駄なのではないか。遥香を見ていると、そう感じてしまうことも多かった。結局、遥香のように器用ではないため、努力しなければ、それ相応の見返りがある。なにより、努力せず何も得られなかった時、見放されてしまうのではという恐怖があった。信頼を得るのは難しいが、信頼を落とすのは一瞬だ。そのため悠は何事にも真面目に取り組むしか無かった。


「部活ねぇ、先輩と仲良くなれば得することもあるし悪くは無いけど、土日が潰れるようなのは面倒臭いなぁ」


入るのが得か、入らない方が得か。そんなことを考えながら意見を述べたのは、日吉なつきだ。遥香とは正反対な、ボーイッシュな少女で、運動も勉強も出来る。もちろん相応の努力をしているからこその結果である。悠と違う点をあげるとすれば、力の抜き方を知っている。やらなければいけないことはやる。そうでないことは、やらないか、それなりで済ませる。悠は、力の抜き方が下手だ。やらなくていいことも、頼まれてしまえば断れず、中途半端に行うことも出来ない。だから、なつきのそんな要領の良さが羨ましかった。


「入るかどうかは置いといてさ、見学してみるのはいいんじゃない?」


悠は2人の案の間をとる。悠に対する周りからの評価は一言で言えば『いい子』だ。何事にも責任感を持って取り組む。争い事が苦手で優しい子。小学校の通知表も中学校の通知表にも共通して書かれていた文面だ。見放されるのは怖い。力の抜き方は知らない。そんな少女は良くいえば優等生としてこれまでやってきた。息苦しさは感じるが、それで上手くいくのならこのままでいい。それが悠の答えだった。


「悠がそう言うならまぁ、見学くらいはいいか。で、どこにいくの?」


なつきがそう問えば、遥香が待ってましたとばかりに答える。


「茶道部! お姉ちゃんがいるし、朝練も土日の練習もないらしいよ?それにお菓子が食べられる!」


「それ、半分以上は菓子が目当てだろ……」


呆れたような顔でなつきが言い、遥香はバレた? みたいな顔をして笑いながら頭の後ろをかいている。


遥香の姉である琴音は、2つ上の高校3年生。遥香の家に遊びに行くこともあるため、悠も知らない人ではない。なんなら、偶に一緒にゲームをして遊んだりもしている仲だ。今年で引退するとはいえ、部活に慣れるまでの間は一緒なわけだし、茶道部は悪くないのかもしれない、と結論付ける。


「琴音さん、茶道部だったんだ。折角だし会いに行くのもいいかもね」


「だな、琴音さんに挨拶はしときたいし、とりあえず行ってみるか」


遥香の案内のもと、3人で茶道部の部室へ向かう。


部室棟の1階端に茶道部はあった。遥香が事前に言っていたようで琴音は部室の前で待っていた。


「どもどもー、悠ちゃんに、なつきちゃん。ようこそ茶道部へ。案内するほどのものでもないし、とりあえずお茶でも飲んでってよ」


琴音の後ろに続いて3人は部室へ入る。中は普通の教室に畳が敷いてあり、机や椅子は後ろにまとめられていた。お湯を沸かしているためか、部室の中は廊下より若干温度が高い気がする。琴音に連れられ、部室の中央の辺りに座ると、他の茶道部の先輩と思われる人が和菓子を運んできてくれる。そして、もう一人、お茶を点てる道具を持って入ってくる。その人のあまりの綺麗さに悠は思わず見とれてしまう。綺麗な黒髪は一つに結ばれ、とても美しい姿勢で静かに準備をしていく姿は最早人間離れしていて、悠は見入ってしまう。


「お姉ちゃん、あの人綺麗だねぇ」


遥香の声で悠は我に返る。


「あぁ、早瀬智美って言うの。ウチの学校のマドンナってやつよ。噂ではファンクラブもあるとかないとか。眉目秀麗、文武両道の完璧超人で私の親友~」


「あんな綺麗な友達居たんだね」


「どういう意味よ」


藤木姉妹がそんなやり取りをしているのを聞きながら、智美の動きをじっとみている悠になつきが小声で話しかける。


「悠、先輩に見入ってるねぇ、惚れた?」


「違うから。ただ綺麗だなぁって思っただけ」


からかうように言うなつきに、悠が否定すれば、あははと笑うなつき。


 それから、4人で和菓子を食べながら、お茶を待つ。智美がお茶を点て終わるタイミングで、3人分別で立てていたのだろう、部員がお茶を持ってくる。智美が点てたお茶は悠のもとに運ばれてきた。


「見学だし、所作は気にせず好きなように飲んでね」


実際所作なんて全く知らないため、琴音の言葉に甘えて普通に飲ませてもらうことにする3人。悠は一口飲みわからないなりに味を楽しむ。


「美味しい……」


つい、ポロッと感想がこぼれ出てしまう。抹茶なんて、小学生の頃に一度何かの体験で飲んだくらいだ。それも苦いというイメージしかなかったため、驚いてしまった。


「ありがとう、名前はなんて言うの?」


抹茶に集中していたため、いつの間にか隣に座っていた智美に気付いていなかったため、いきなり声をかけられ軽くむせてしまう。


「んん!っ、すいません。えっと、水嶋悠です」


「悠ちゃんか。私は、早瀬智美っていうの。よろしくね」


手を差し出されたため、よろしくお願いしますと伝え握手をする。


「どもども!早瀬先輩、自分は日吉なつきです。悠とは小学校の頃からの幼馴染で。よろしくお願いします」


グイッと、悠越しに顔を出してなつきも挨拶をする。


「なつきちゃんね。うん。よろしく。二人ともゆっくりしていってね」


そう言って、智美は琴音のもとへ向かった。無意識に緊張していたのか、ふっと息を吐く悠になつきが話しかける。


「声が上ずってたよ悠。なに緊張してんの」


「だって、先輩だし。人見知りなのしってるでしょ」


悠は人に慣れるまでに時間がかかるし、深くまで踏み込むことも苦手なタイプなので、狭く深くどころか、基本狭く浅くなってしまう。壁を作りたいわけではないが、踏み込んだ結果関係が変わってしまうことが怖かったし、嫌われるのも怖かった。結果として、人間関係は狭く浅くなってしまうのだ。遥香にもなつきも周りと比べたらかなり心を開いているが、それでも遠慮してしまうことの方が多かった。



 お茶を飲んだ後は、軽く部活内容の説明を受けて部室を後にした。遥香が話題を振り、なつきが返し、悠が相づちを打つ。そんないつも通りの流れで3人は帰路についたのだった。

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