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さようならと夕焼け  作者: 一乗ライ
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はじめまして

三日後、高校生時代からの友人で別の地域に配属されている巡査である井之上浩太郎に「最近流行りのカフェで昼飯食いながら最近キてる女優の話でもしようぜ!」となんとも高校生時代から変わっていない単純な思考回路丸出しの誘いのメールが送られてきた。怪盗サンセットのことについて、ネットに詳しい彼なら何か知っているかもしれないという少しの望みと非番だったということもあり、その誘いに乗りカフェで旧友との昔話に花を咲かせた。俺はふと気になり「俺の目って綺麗か?」と井之上に聞いてみた。その瞬間の井之上の顔が俺には忘れられない。普段は二枚目の井之上が全自動オムライス噴射干し芋と化したのだった。

「お前の目が綺麗とか思ったことねぇしそんなにヤローの顔凝視したことねぇよ!!お前どうした?頭打ったのか?」店員から布巾を貸してもらい笑いながら机を吹く井之上を見て、馬鹿なことを聞いてしまったと後悔した。そして机よりも俺の顔についた米粒を拭き取って欲しい。

「なんだよ、女にでも言われたか?なら理由は単純明快だ、お前は利用されようとしてるかからかわれてるだけだろ」

言われなくとも自分でも分かっている。分かっていながらも何か引っかかるものがあるのだ。怪盗サンセットの手の柔らかさが、声の優しさが、月に照らされた唇の形が、上手く飲み込めず俺の心の中で浮遊し続けている。

ストローで食後のアイスコーヒーを混ぜながら考え込む俺に、井之上は自身のノートパソコンを開きあるサイトを見せてきた。

「3100010plusα·····?」

そのサイトには永遠と怪盗サンセットに纏わる噂話がまとめられており、今までの行動パターンからの正体の特定を目論んでいるネットに蔓延る暇人が多く集まっていた。

サイトの謳い文句はこうだ、「夕日は沈む為にあるのだ。我々は夕日を沈める闇でなくてはならない。」

なんとも拗らせたネットの住人らしい言葉に馬鹿馬鹿しいと鼻で笑った。

「笑ってる場合じゃないぜ。このサイト結構色んな情報が貼っつけてあって、例えば···ほら、お前がこの間怪盗サンセットと対峙したって情報も漏れてるワケ」

「ハァ!?ちょっと待て見せてくれ!!」

井之上からノートパソコンをひったくると画面には「警察官が怪盗サンセットと対峙!!」とデカデカと書かれた記事が掲載されていた。状況の描写も事細かい。一体どこからこの情報が漏れたんだ。焦る俺の携帯が、通知音を鳴らした。

「....噂をすれば影がさす、かな?」

『指名手配犯3100010が台湾の国立美術館に予告状を出した。我々対策チームも現地に向かい現地の警察と協力して逮捕にあたる。対策チームに所属する者は至急本部へ集まれ。』

メールを見つめていた俺の肩を誰かが叩いた。

「あの.....もしかして怪盗サンセット、お好きなんですか?」

振り返るとそこに立っていたのは長い茶色の髪を後ろで纏めた美しい少年だった。

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