瑛美の告白
令嬢の番外編です!本編で書ききれなかった部分を書いていこうと思います!
彼の姿を見た瞬間、心臓が止まるような思いをした。
私の好きな人…初恋の人が、綺麗な女性と2人で歩いている。
(楽しそう…)
気付けば、私は彼の腕をつかんでいた…
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私と健斗くんとの初対面、当時私は赤ん坊だったので当然覚えていない。…けど。
「お母さん!この子が瑛美ちゃん?紗貴にそっくり!」
「そりゃ赤ちゃんだもん。」
「へへ…可愛い。」
健斗くんはそう言って、私の頬を軽くつついたり、優しく声をかけていたらしい。
お母さんが、その事を優しい表情で話しているのが、何故か印象に残っている。
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久し振りに会った健斗くん。最初は少しだけ恐かった。
中学生ということもあって、私よりも大きい体、それに加えて少しぶっきらぼうな話し方をしていたからだ。
でも、少しずつ話していくと、優しくて、面白い人だと思った。
そして、笑顔がとても優しい人だと分かった。
恋に落ちるのに、時間はかからなかった。
小学生の頃は、ただただ優しいから好き!って感じだったが、成長するにつれて…
恋心がどんどん積もっていった。
でも、私は気持ちを押さえ込もうとしていた。
体の事があったからだ。
私の体は、原因不明の病気に侵されている。長くは生きられない。だから、私の恋心なんかに健斗くんを振り回すわけにはいかない。
でも…そんな私に紗貴は言った。
「瑛美、その気持ちは絶対に無くそうとしたらダメ。私も瑛美の気持ちを否定しないから、瑛美も自分の気持ちを絶対に否定しないで。」
…紗貴の言葉に、また救われてしまった。
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時は戻り…いつのまにか、私は健斗くんの腕をつかんでいた。健斗くんは驚いた表情で私を見る。
…ダメ、想いが止まらない。
「え、瑛美ちゃん…?」
「…やだ。」
「え…」
「やだ!やだ!私の方が健斗くんの事、知ってるもん!私の方が絶対健斗くんの事好きだもん!」
「あ、あの」
「確かにそっちの人は綺麗だけど…私の方が健斗くんの事好きだもん!私が健斗くんの彼女になるもん!」
もう、途中で何を言っているのかも分からなくなってきた。とにかく、健斗くんを取られたくなかった。ただ、それだけ。
「…瑛美ちゃん…」
健斗くんがゆっくりと口を開く。
「あのね、彼は…」
やだ!聞きたくない!
「私が彼女になるもん!…って、あれ?『彼』…?」
私は女性を見る。
すると、その女性は笑顔で話し出した。
「ええと…鷹村 瑛士、可愛い男です♪どう?可愛い?」
「え…」
「ええええええええええええっ!!!!!」
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街の近くにある公園のベンチに、私と健斗くんは座っている。
「買い出しは俺が行っておくから、2人でちゃんと話し合えよ。」
数分前、そう言った瑛士さんは私達を残して街へ向かっていった。
周りにはそんなに人はいない。
「…」
「…」
沈黙が走る。
「…ごめんなさい。」
私がそう呟くと、健斗くんは慌てた様子で話し出した。
「えっ!瑛美ちゃんが謝る必要はないよ!紛らわしいあいつが悪いんだし!それにっ!」
「それに?」
私が尋ねると、健斗くんは再び慌てだす。
「あっ!いやっ!…いや、違うな。」
そう言って健斗くんは立ち上がった。
ベンチで座っている私の前に立ち、跪いた。
真剣な表情で私を見つめる。
「瑛美ちゃん。俺が好きなのは、瑛美ちゃんだけだから。」
そう言って私の手をとる健斗くん。
…えっ?
「…えっ。」
心の声がそのまま出る。
健斗くんは構わず話し続ける。
「…佐柄 瑛美さん。俺と」
瞬間
ジャカジャカジャカジャカジャーン!
公園の近くで路上ライブが始まった。
「俺と」
ジャジャジャジャジャジャ!
「俺」
ジャーンジャカジャカ!!!
いやうるさいな!
そう思っていると、一瞬沈黙が生まれた。演奏が一段落したのだろう。
瞬間
「俺と付き合ってください!!!」
公園中に健斗くんの声が響き渡った。
公園にいるほとんどの人の視線が刺さる。ちょっと恥ずかしい。けど…
それ以上に私の感情は幸せに支配されていた。
健斗くんの顔を見る。真剣な表情だが、少し照れ臭そうに頬を紅く染めている。
そんな彼を見て、ふと笑みがこぼれる。
私は、ゆっくりと口を開いた。
「…これから、よろしくおねが」
ジャアアアアアン!!!
再び音楽が流れた。私達を含めた公園中の視線が一気に演奏中の彼に向き出した。
次の曲の準備に夢中で、健斗くんの声は聞こえてなかったみたいだ。
私は気を取り直して、再び話し始める。
「よろしく」
ジャカジャカジャカジャカ!!!
「よろ」
ジャジャジャジャジャジャアアアアアン!!!
うるさい!
…あーっ!埒が明かない!
私はベンチを立ち、跪いている健斗くんに視線を合わせた。
ジャーン!!!
唇を重ねた音は、ギターにかき消された。
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「…っぷはっ!」
2曲目が終わり、撤収の準備をしている傍らで、私は唇を離した。
…
…
…いや待って。私何した今?
今までの行動を頭の中で振り返った瞬間、顔から火が出た。
「ごごごごごめんなさい!」
慌てて頭を下げる私。返事をせずにいきなりキスだなんて…!はしたないと思われちゃう…!
私が慌てていると、健斗くんが優しい声で話し掛けてきた。
「…瑛美ちゃん。」
「は、ひゃい!」
瞬間、唇に柔らかい感触がした。
さっきと同じ感触だと気付いたのは、唇が離れて、健斗くんが少し照れ臭そうに笑う顔を見た後だった。
「これでおあいこ。これからよろしくね。」
そう言って笑う健斗くんに対して、私は
「…はい…」
としか、答えられなかった。
こうして、私は長い初恋を成就させたのであった…
…紗貴にどうやって説明しよう…?
その数時間後に思わぬ形でバレるのを、今の私は知るよしもなかった…
おしまい
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【おまけ】
「ねえ瑛美?」
「どうしたの紗貴?」
「あの時、『女性』って言ってなかった?」
「…」
「目をそらさないでよ。」
「…色々あって気が動転してました…」
「…まあ、そう言うことにしておきましょう。」
本当におしまい
瑛美ちゃんの告白シーンの詳細でした。こういう感じでちょこちょこ書いていきます。




