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Final Push

朝食を食べたあと、迎えに来てくれた美月さんの車で、私達は先ず神月高校へ向かった。


「華凛ちゃん、高校では何を調べるの?」


美月さんが聞いてきた。


「生徒の靴のサイズです。昨日の現場にあったものと一致する人を探そうと思って」


「確かに、それが一番早いしね...でも、結構時間かかるんじゃない?」


「前に一回試した事があるのですが、学校の玄関は一つの部屋として認識出来るみたいで、一瞬で3Dモデルが構築出来る為、簡単に調べられるんです。

下足箱に扉がついていると無理なのですが......」


お姉ちゃんが説明してくれた。


「おお!さっすが華澄ちゃん!」


美月さんの言葉に、お姉ちゃんがにっこりと微笑む。


神月高校に着いた。

清月女学院と比べると、やはり大きく感じる。


登校時間から少し時間を遅らせたので、生徒は今教室に居る。

これでゆっくり捜査出来るだろう。


お姉ちゃんが学校の玄関に入る。

下足箱は扉のついていないタイプだった。


「......もう少し居るかなって思ってたけど、該当する靴のサイズの女子は3人だけみたい...しかも同じクラスだね」


早速調べ終わった様で、お姉ちゃんが報告してくれる。

学校に3人だけ、しかも同じクラスになんて、奇跡的な確率の様に感じるが、まあ、ここまで結構偶然が続いている気がするし、こういう事もあるかもしれない。


...っていうか、捜査一瞬で終わったな......


サイズが一致した女子生徒を確認すると、一昨日会った水嶋さんと陽菜さん。

そして雪村ゆきむら 紗良さらさんだった。


「この雪村ちゃんって、どっかで聞いた気がすんだけど...」


美月さんが思い出そうと必死になっている。


「陽菜さんが言っていた、クラスの真面目な委員長さん...でしたよね」


「おお、そうだったそうだった!......で、これからどうする華凛ちゃん?この三人を呼んでもらって、話聞いてみる?」


「いえ、その必要はありません。もう犯人は分かりましたから」


「.........えぇぇぇぇ!!もう分かっちゃったの!?」


大袈裟だなぁ......


「はい。今学校にいるみたいですし、ここで殺人を犯す様な事もないでしょうから、取りあえず先に神月情報システム株式会社の方へ行ってから、放課後改めてこちらに来ませんか?」


「おっけー!じゃ、ビジネス街にレッツゴー!」


テンション高いな美月さん。

嬉しいんだろうな、多分。


私達は、再び美月さんの車に乗り込む。


神月情報システム株式会社はオフィス街にある。


オフィス街とはいえ、大きな複合商業施設や観光名所なんかもあったりするし、街と海が融合した様な眺望が綺麗な事もあって、平日だけでなく休日も人で賑わう区域だ。


神月台から幹線道路をぐるっと時計回りに進み、オフィス街に辿り着く。


...お姉ちゃんとたまに来るけど、私、ここの雰囲気結構好きなんだよね。


神月浜町の中では、タワーマンションが林立する超高層住宅街に続いて新しい区域であり、空の広さを確保しながら圧迫感の無い間隔で、整然と高層ビルが建ち並ぶ様子は、芸術的とさえ感じる。


......あのゲームでも、こんな町作りたいな......


......はっ!いけないいけない!今は事件に集中!


表情に出ていたのか、お姉ちゃんが私を見てニコニコ微笑んでいる......ちょ、ちょっと恥ずかしい......


そんな事をやっている内に、神月情報システム株式会社に辿り着く。


他のビルと比べてそんなに高い訳ではないけど、なんというか構造美を感じさせる作りだなと感じる。


美月さんを先頭にビルの中へと入る。

警察の人が何人か居た。

捜査をまだ続けているのだろう。


「先ずは誰に会いに行く?」


美月さんが聞いてくれた。


「システム開発部に行って三枝さんに会いましょう。同じ部で二人も殺害されている事ですし」


「了解!こちらになりまーす!」


美月さんが、まるでツアーのガイドさんの様に私達を案内する。

これで旗を持っていたら完璧だったろう。


少し周囲の視線を集める......平常心平常心......


私は何事もない様な表情で美月さんに続く。

お姉ちゃんは、相変わらず楽しそうに微笑んでいた。


エレベーターで5階に上がる。


うわ~、皆忙しそう......


エレベーターを出ると、話しかけるのが躊躇われる様な雰囲気に、ほんの少し圧倒される。


「あそこに座ってるのが三枝さんだよ」


美月さんが視線で示す。


昨日美月さんから聞いていた通りの風貌だった。

......それにしても、大分疲れてるみたいだな...寝てないんじゃないだろうか?


「すみません。少しお話良いですか」


三枝さんの近くまで行き話しかけた。

柔軟剤の良い香りがする。


「......は、はい!」


三枝さんが驚いて返事をした。


刑事である美月さんが近くに居る事もあってか、高校生の私が話しかけても特に疑問に思っていない様子だ。


「実は最近起こっている事件について捜査していて、お話を伺えればと思っていたのですが......お疲れみたいですね。

最近あまり眠れていらっしゃらないのではありませんか?

......例えば...何か心配な事があって......とか?」


私がそう言った瞬間、三枝さんがビクッとした。


「は...はい...実はそうなんです......

どうして回りの同僚が平気なのか全然分からないんですけど、同じ部署で二人も殺害されているんですよ?

次はもしかしたら自分なんじゃないかって、そんな事を考えてしまうと、夜も眠れなくて......」


「それは辛いですね......あっ、申し遅れました。私、月代華凛って言います」


私は手を差し出す。


「あっ、これはご丁寧にどうも...私は...」


わざわざ立ち上がって握手しようと思ってくれたのか、席を立った瞬間に三枝さんが立ち眩みを起こして倒れそうになった。


お姉ちゃんと美月さんが、とっさに三枝さんを支える。


「す......すみません...」


「いえ...大丈夫ですか?」


お姉ちゃんが三枝さんを心配する


「はっ...はい...なんと...か......」


そう言いながら、三枝さんが気を失ってしまったので、同僚の人達の手も借りつつ、私達は三枝さんを医務室まで運んだ。


睡眠不足による過労で倒れたみたいで、これ以上は話が聞けそうもない。


「お姉ちゃん、三枝さんの事で何か気付いた事とかあった?」


テレパシーで聞いてみた。


「ううん、特に無いかな。強いて言えば、過労でやつれてたのか、思ったより軽かったって事くらい」


「そっか...ありがと、お姉ちゃん」


「あちゃー、どうしよっか?次は人事部にでも行って、話聞いてみる?......おっ、そのポーズは!!」


美月さんが嬉しそうな表情をする。


また私は無意識に両手の指先を合わせ、口元に寄せていたみたいだ。


「...ふふ、話を聞いてみる必要はなさそうです。

犯人かどうかは分かりませんが、その蓋然性が最も高い方が誰か分かりました」



◯はぁ...格好良い...尊い...華凛ちゃん......あっ!


このタイミングで私が出てきたという事は......?


はい、そうです!これで手掛かりが全部出揃いました!


華凛ちゃん達にとっては"蓋然性"ですが、人物図をご覧になり、その中に必ず犯人が居る事をご存知の皆さんには、"必然的"に導けるはず!


今回の問題は......


誰が誰を殺害したのか?


犯人は主に何処でターゲットを物色したのか?


です!


皆さんも推理してみて下さいね♪


次回から解決編です!◯


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