Bloody Tragedy2
私達が追った足跡を脳内マップに記録する。相変わらず道は広めになってしまっているが1マス10m位だ。
(濃い緑色地帯は森林エリア
黄緑色地帯は草むら、芝生エリア
橙色の円は電灯が照らす範囲
紺色の線は犯人が事件現場から公衆トイレへ向かった時のルート
紫色の線は犯人が公衆トイレから公園入り口に向かった時のルート
×は事件現場)
足跡は森や草むらを抜けつつ、東屋の方へ向かっていた。
草むらでは、犯人が通ったと思われるルートに沿って、靴の形に草が倒れているのが確認出来た。
恐らく公園を通り抜ける人間がいないか警戒しての事だろう。
電灯の光が届かない草むらからであれば、安全に通行人を確認出来ると思ったに違いない。
東屋に辿り着く。
「泥水がついてない足跡が、不規則な足並みで東屋の中を行ったり来たりしてる......
泥水が付いた足跡は、ベンチの手前まで行ったあと、公衆トイレの方に向かってるよ」
ベンチに何か──例えば着替えの入った鞄やリュックとかを置いていたんだろうな。
お姉ちゃんの報告を受けて私はそう思った。
その後、お姉ちゃんの能力によって、泥水が付いた足跡が、公衆トイレ内の多目的トイレに続いてる事が分かり、私達は中に入った。
「蛇口付近に被害者の血液が付着してる......一旦、ここの洗面台で手を洗ったんだろうね。そして......」
お姉ちゃんが床を視線で指し示す。
「着替えた時に、上着に付着していた被害者の血液が床に飛び散ったから、水で床を洗い流した......
床の排水溝に被害者の血液と、被害者の爪の間に付着していた皮膚片と同じDNAの髪の毛が付着してる。
あとは、ポリエステルと、ウール混ポリエステル製の紺色の繊維も見えるよ。
...これは多分、神月高校の制服なんじゃないかな」
まあ、そうだろうな。
証拠を確保する為、美月さんが早速指示を出したあと
「ありがとう、華澄ちゃん!」
と、お姉ちゃんにお礼を言った。
お姉ちゃんは微笑みながら会釈する。
これ以上は特に何も無さそうだったので、私達は一旦公衆トイレの外に出て、東屋付近に向かった。
「美月さん、第一発見者は近所のおじさんだったみたいですけど、この辺りってパトロールなさっている方はいらっしゃらないんですか?」
少し気になったので聞いてみた。
「ああ、それがね、警察の方でこれまでの事件の情報を入力して、CGT(Criminal Geographic Targeting)モデルを用いた犯人住居確率図を、AIに作成させたんだけど、それで想定されるバッファーゾーンの境界線がこの中央公園の辺りでさ。
だから、今日は少しこの辺りのパトロールが手薄になってたんだよ。
華凛ちゃんに相談しておくべきだったよね...面目ない」
「いえ、そんな事ないです!
限られた人員を少しでも有効に投入しようと思ったら、妥当な選択だと思いますよ。
シリアルキラーが町の外部からターゲットを探す、いわゆる密猟型なのか、自宅を中心に探す狩猟型なのか、いまいち判断出来ない部分がありますからね。
というか、今回は正直運が悪かっただけだと思います。誰にも予想しようがありませんでしたし」
それにしてもCGTか......なんか懐かしい。
小学校の頃、自由研究で地理的プロファイリングを研究した時に、少しだけかじった事があったっけ。
「ありがとう、華凛ちゃん...」
珍しく美月さんがしょんぼりしている。
「元気出して下さい美月さん!
それより、AIが出した確率図、私も凄く気になるので見せていただいても良いですか?」
「あ、うん、もちろん!......これなんだけど」
美月さんが見せてくれた地図を、私の脳内マップに変換し、想定されるバッファーゾーンと共に描写する。
(赤が最高確率ゾーン
ピンクが高確率ゾーン
肌色が中確率ゾーン
赤い円が想定される最大範囲のバッファーゾーン)
なるほど...4、5番目の事件がバッファーゾーンの中にギリギリ入っている。
犯人は犯行毎に徐々に行動範囲を広げ、少し遠くで事件を起こしたりするようになっていくのが普通だが、自信をつけて大胆になったからこそ、多少自宅近くであっても犯行現場に選ぶ様になったと解釈出来ない事もない。
だから余計にバッファーゾーンの境界線付近の巡回が手薄になったという事だろう。
それより気になるのは......
「...美月さんこれって......」
「そうなんだよ。実は住宅街じゃなくて、幹線道路付近が一番確率が高くてさ。
だから一応その周辺に犯人の家とか活動拠点があるんじゃないかって事で、聞き込みもしてるんだけどね...
しかも確率が飛び飛びになっちゃってるし」
普通は中心が一番確率が高く、そこから離れるに従って確率が少しずつ低くなっていくという感じの同心円状の図になる。
まあ、この様な住居確率図が導かれた最たる理由については、私の中で答えが出ている。
だけど...この結果はそれ以上に興味深いものを感じさせた。
「美月さん、ありがとうございます。
この図のお陰で、線が一本に繋がりそうです」
「...へっ、そうなの...?そっ、それなら良かった!」
美月さんが元気を回復する。
「それで美月さん、今日はもう神月情報システム株式会社の社員さんに会えそうもないので、明日、一旦神月高校に寄ってから、会社に行って話を聞きたいんですけど......」
「私はもちろん構わないけど......ごめんね、学校休ませちゃって」
「いえいえ!明日で大体決着がつくと思いますし、私達が協力したいと思ってやってる事なんですから、美月さんは何も気にしないで下さい!
というか、美月さんにはいつも感謝してますよ、ね、お姉ちゃん」
私がそう言うと、お姉ちゃんは微笑みながら頷く。
「...参ったなあ......ほんと......よし!明日は朝一で迎えに行くから、一緒に犯人をとっちめてやろうぜ!」
美月さんの頬が濡れていた気がするのは、小雨のせいだろうか。
そんな事を思いつつ、私達は美月さんの車で自宅まで戻った。
◯うわ~、怒涛の展開になって来ましたね!
それにしても、華凛ちゃんも華澄ちゃんもなんてええ子なんや~。しかも可愛い......ふへへ。
...えっ?てめえ、何しに来たんだ、用がないならさっさと引っ込め?
......うぅぅぅ...皆さん、私に当たり強くないですか...?
わ、私だってもっと出番が......!
...という冗談は置いといて......
ぐへへ、今回もとっておきのブツを持ってきやしたぜ旦那ぁ!
さあ、どうですか!?
ちょっと登場人物が多いので、人物図+一言メモを用意しました~!
うん?これ本当に使い物になるのか?
......はい、もちろんです!
私は女神なので嘘はつきませんから、当然"Xと呼ばれる人物のYという情報"については全て真実!
......前回も役に立ちました...よね?
あと、これも大事な事なんですけど、犯人はこの図に書かれている人物の中の誰かである事は絶対に間違いありません!
ですから、いきなりパッと出の人が犯人になるなんて事は絶対に無いので、安心して下さいね♪
さあ、それじゃ解決編の前辺りで、またお会いしましょう~!ノシ◯




