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Invisible Hunter

「被害者は女性会社員の──」


やっぱり今日もか......


月見台で女子大生が鋭利な物で刺されて殺害されたと、一昨日ニュースで聞いてから、なんか嫌な予感はしていた。


ここ5年位、雨の時期になると全国各地で必ず現れるシリアルキラー。

ネットでは"雨男"なんて呼ばれてたりする。


...まあ、犯人が男性か女性かも分からないんだけど。


犯行件数は積み重なっているのに、痕跡と言えば、被害者の顔に付着していたというニトリル位らしい......

とは言っても、それさえネットでまことしやかに囁かれていただけで真偽不明なのだが。


目撃者は少数居るのに、犯人について皆が皆違う証言をするものだから、組織犯なんじゃないかって噂もある。


つまり話が大きくなってる割には、大した情報が出回っていないという感じだ。


だから、人によっては陰謀だなんて言う人もいるけど、まあ多分、社会に対する影響が大きいから、模倣犯を生まないよう警察が情報規制してるってとこだろう。


だって、鋭利な物──例えばアイスピックか何かを使って刺殺してるっていうのに、もし情報が本当なら、わざわざ被害者の顔にニトリルが付着してるなんて事自体、この犯人が恐らくゴム手袋を装着した状態で、被害者の顔に何らかの署名的行為をしてる可能性が高いと言えるんじゃないだろうか。


そういう事件って、結構社会に影響を与えやすいからな......


何にせよ、見えて来そうで結局見えないというのが、このシリアルキラーの特徴の様な気がする。


......それにしても、私達が住んでいる街で連続殺人か......なんかやだな......とか そんな事を考えてたら


「ごはん出来たよ~、華凛ちゃん♪」


と言って、お姉ちゃんがニコニコしながら食卓に朝ごはんを運んで来てくれた。


「ありがとう、お姉ちゃん!」


美味しそうな匂いに、嫌な気分もどこかに飛んでしまった。


さ~って、今日の朝ごはんはっと......!


白米、納豆、味噌汁、卵焼きにウィンナー......あ、これシンプルにめちゃめちゃ美味しいやつだわ......


さっきまでの暗い気持ちが嘘の様に気持ちが高揚し、私は若干涎が出そうになるのを堪えつつ手を合わせ


「いっただっきま~す♫」


と言ってご飯を食べ始める。



「───ふぅ~、ごちそうさまでした!」


あー、やっぱりお姉ちゃんの料理は美味しい...!


「ふふ、おそまつさまでした」


お姉ちゃんは微笑みながら答える。


いつも通りの朝だなって思ってたら


♫~


ん?電話か?

......もしかして......


表示を見ると、やっぱり美月さんだった。


「はい、もしもし」


「おー、華凛ちゃん、ごめんね休日の朝に......」


「いえ...多分、今ニュースになってる あの事件の事ですよね。

もしかして、また事件が起こった...とか?」


「うん、そうなんだよ~。てか、やっぱ話が早くて助かるわ。今から大丈夫そ?」


お姉ちゃんの方をちらっと見ると、お姉ちゃんは微笑みながら頷いた。


「はい、特に用事もないので...」


ピンポーン


へっ......?


「実はもう来ちゃってたりして」


美月さんが楽しそうに言った。



───取りあえず、現場を見て欲しいとの事だったので、私達は美月さんの車で現場へ向かう事にした。


「ここから近くだから、すぐに着いちゃうとは思うけど、さらっとこれまでの事件の資料確認しといてね♪」


朝からテンションが高いこの人は刑事の竜華たちばな 美月みつきさん。

ある事件がきっかけで、私達は度々捜査に協力する事になった。


身長は176cmで、肩くらいまで伸びた髪を後ろで束ねている。

女性用のスーツ姿が良く似合う、美人なお姉さん...なのだが、性格がなんか面白い。


......っていうか、三半規管そんなに強くないんだけどな私...まあ近くだから大丈夫...かな?


「大丈夫だよ華凛ちゃん!私もう全部読んだから、現場に着くまでに かいつまんで説明するね」


お姉ちゃんがテレパシーで語りかけて来る。

因みにテレパシーは私とお姉ちゃんの間でだけ出来る。


...ってか早っ!もう読んだの?


「おっ、なんか通じ合ってる感じだね~」


バックミラー越しに、美月さんが楽しそうにこちらを見つめる。


テレパシーの内容が聞かれてる訳では無いんだけど、この人は なんかやたらと勘が良い。

実はそれで警察の捜査に協力するようになったという経緯があったりする。


車が雨の坂を下り始める。

流れる雨水がちょっとした小川の様になっていた。


...相変わらず結構激しい雨だな......

まあ、この時期、この辺りではいつもの事なんだけど。


私達の家がある高級住宅街は、高台の上にあるのだが、この区域は大きな公園を挟んで南北に分かれており、私達は北側に住んでいる。


挿絵(By みてみん)


(マップ上部が北

数字が書いてある四角は駅で、黒い丸は事件現場

紺色の直線は地下鉄で、黄緑色の線は路面電車

縦は"いろは~おくやま"で、横は1~42までの数字で座標を設定しており、例えば駅1の座標は"へ33"と表記する)


「それじゃあ、事件の説明をするね。

最初の事件が起こったのは4日前の20時から22時。被害者は神月浜大学に通う女子大生、白川しらかわ 千景ちかげさん。

死因は、アイスピックの様な細い鋭利な物で肝臓を刺された事による出血性ショック死。場所は月見台に登る階段の踊り場だよ。

あと、両手で目を塞いで亡くなってたみたい」


お姉ちゃんの説明を聴きながら、私は脳内マップに事件現場を書き込んでいく。(つ14)


私達が住む街、神月浜町かづきはまちょうを一つの円と捉えると、半径は大体3km。


高級住宅街の他、神月台や月見台が、名前の通り高台になっている。


私の脳内マップでは、道路をデフォルメしてるから、実際にそんな道幅ではないけど、マップの1マスの長さはおおよそ200mという感じだ。


車が幹線道路を横断する。


「2番目の事件が起こったのは一昨日の21時30分頃。被害者は神月情報システム株式会社に勤める女性社員、相澤あいざわ 理沙りささん。

死因は、アイスピックの様な細い鋭利な物で肝臓を刺された事による出血性ショック死で、被害者に凶器が刺さったままだった。

場所は超高層住宅街にあるタワーマンションの敷地内。

こちらは片手で目を塞いで亡くなってたみたい」


再び脳内マップに事件現場を記録する。(つ28)


車が低層住宅街にある商店街を横切る。


そろそろ現場に着きそうだし、今は取りあえず こんな所か。


因みに街の名前になっている"神月浜"とは、町の南側にある海岸の事で、何でもその昔、月の女神が降りたったという伝説があるのだそうだ。


もしかしたら、お姉ちゃんに能力を与えた神様なのかも。


そんな事を考えている内に、どうやら目的地に着いた様だ。(を13)



○えっ?えぇぇぇ......そんな事もあった様な......無かった様な?


...あっ、すみません。皆さん、お久し振りです!そうです!女神です!


ああ、そうでした!初めましての方もいらっしゃるでしょうから、先ずは軽くおさらいしていきましょう!


先程から心の声が聞こえている可愛い女の子は月代つきしろ 華凛かりんちゃん!

身長156cm、髪型は左の耳前髪が長いアシンメトリーショートカット!

高校1年生です!


そして、もう捜査資料が全て頭に入っている美人な女の子は、華凛ちゃんのお姉さんである月代つきしろ 華澄かすみちゃん!

身長は178cm、髪型はロングで、編み込んだ髪を両側頭部から後ろに回して、後頭部で合わせるフレンチブレイド!

高校2年生です!


テレパシーの他にも、華澄ちゃんにはすんごい能力があるんですけど、多分後で華凛ちゃんが説明してくれると思います♬


あと"○"で囲まれた箇所は、女神である私がお話ししている箇所で、皆さん以外には誰にも聞こえてません。


それと皆さんの世界で未知のものXが事件に関わる時は、絶対に皆さんにお知らせするのでご安心下さいね!


いやぁ~、それにしても いきなりのシリアルキラーなんて、どうなってるんですかね、ほんとにもう!


......え?ぐだぐだ喋ってないで早く続きを読ませろ?


...うぅ...そんなに邪険にしなくても......しくしくしく......


...っと、恒例のやり取りはこれ位にして...取りあえず、第3の事件現場に行ってみましょ~♪○


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