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第五話 ようこそ「異世界」へ

「魔法を見たことないなんて、不思議な人ね。マコトは。」

「まぁ、そう思われても無理はないかな」

なんせ、おそらく魔法なんてものはないところからやってきたものでして…


なんて考えていたけれど、本当にここは「異世界」と呼ばれるものであると認識することになる。


「ようこそ!ここが私の生まれ故郷、グルテイマタよ!」

ミシェラに連れられてやってきたのは、最初に赴こうとしていた都市らしき場所。グルテイマタと呼ばれる場所。

見渡す限り、いかにもと言ったような西洋風の家が立ち並ぶ。

日本じゃ、地震やらで保安上アウトだろうな。って思うような煉瓦積みの家ばかりだ。

街ゆく人々は、獣人族や鬼族など、人外を想定していたのだがそうでもなく、至って普通の人ばかりだ。一般的な日本の街並みに行き交う人々と服装を比べてしまえば別だが…。海外へ行った人は口々に「まるで異世界だった」というが、初めてその感覚を味わっているのかもしれない。ここは明らかに日本じゃない。目の前にいる少女の心情がまるで読めない。急に「わ、私についてきて」なんて、見知らぬ男にかける言葉じゃないよな。つけくわえると、看板らしきものの字が読めない。いやまぁ、「異世界っぽさ」を感じる一番最初のフェーズだとは思うが…。

「フランス語…?ロシア語…?」

学んだことのない言語を片っ端から思い浮かべても、記憶の片隅にもかからない、丸っぽくも、角ばっているようにも見える文章に戸惑う。例えるならソトカクナカマル文字だな。


「どうしたの?」

ミシェラが不安そうに顔を覗く。

「い、いや、実は…文章が読めなくて…看板の文字の意味がわかりません」

ミシェラの言動が一番わからないことは伏せておこう。そう、直感した。ゲームでは確信をつかずに現状を把握するのはよくあることだ。


「はあ!?」

ミシェラは呆れたように声と吐息の混じった声を上げる。

「確かに、文章を読める人は少ないとは言え、54(ゴシ)ぐらいは簡単な言葉よ!?」

どうやら、この言語は54(ごし)と呼ばれるものらしい。覚えておこう。

「いやぁ、旅の者でして、ここらの言語には通じていなくて…」


この言葉を聞くと、ミシェラは不敵に微笑む

「それじゃぁ…拠り所も何もないってことよね?」

「ま、まぁ…」

ここが「異世界」だと確信した今、お金もなければ身寄りもない。何なら、文字さえ読めないからハウトゥー本も読めない始末だ。目を覚ました時から、そのことに関してはずっと頭の片隅にひっそりと佇んでいた課題である。


「それじゃマコト。私と結婚しましょう。」

躊躇いもなく、そう言い退けるミシェラ。



「は、はいぃぃぃ!??」



ーーーーピコンーーーー

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