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黙々と
緑豊かな森の中を高遠忍と高月渚は互いに子供を抱え、肩を並べることなく歩いた。
高月渚は左をちらり、右をちらりと落ちつきもなく、そわそわと視線を泳がせている。
九ちゃんは抱っこされて気持ちよくなってしまったのか、すっかり高月渚の腕の中でおとなしくなってしまった。
高遠忍は自分の真後ろを歩いていて、何か策を考えているのかもしれないと思うと話しかけづらかったので、彼女は黙々と歩いた。
「九ちゃん、寝ちゃったの?」
返事はない。
「ずっと、真っすぐでいいって言ってたけど、いいのかな?」
彼女は誰の同意を求めるでもなくポツリと呟いただけだったのだが、芙蓉の耳は聞き逃さなかった。
「いいんじゃろ、やれ、そのまま進め」
随分高い所から声がするなと思った。
空から降ってくるようだ。
「九ちゃんは寝たのか?」
「うん、寝ちゃったみたい」
「じゃあ、貸せ。俺が持つ」
「いいよー。起きた時高遠君が抱っこしてたら、九ちゃん怒るだろうから、いいよ」
「重いだろう、リュックも持ってもらってるし」
「そんなに重くないよ、私割と力持ちだし」
「そんな風に見えないが」
「そう?兎に角大丈夫だよ」
「単調な景色じゃな、そろそろモンスターの一体でも出てきてくれんと、眠ってしまうわ」




