ポッケなの
「わかんないって?」
「うーん、大好きってことかな?だって九ちゃんの言う、私の大好きな理由は見た目の話でしょう?」「見た目が一番大事だよ、ママ。九ちゃんのこと可愛くない?」
「可愛いよ」
「ママ九ちゃんのこと嫌い?」
「好きだよ」
「じゃあ、問題ないよー」
「そうなのかなー」
「そうだよー、見た目が好きだったら、好きになれるよー」
「そう、かな」
「そんなわけないだろう、いい加減なこと言うな」
「いい加減じゃないもん、本当のことだもん。見た目が好きなら、好きになれるよ」
「一理あるの。我も渚が嫌いではない」
「そうなの?ありがとう」
「九ちゃんは大好きだもん」
「ありがとう」
「もう出るよ」
九ちゃんがそう言うと、幽かにしか見えていなかった出口らしきぽっかりと空いた穴から光が差しこみ、高月渚は眩しさに目を瞑った。
「着いたよ、ママ」
目を開けると目の前は、美しい森の中だった。
「すごい・・・・・・・、ここ、どこ?」
「佐和山の中だよ」
「えっ、ここ佐和山なの?」
「正確には佐和山のポッケ」
「ポッケ?」
「うん、ポッケなの、だから普通の人間は入ってこれないよ」
「そうなんだー」
「うん、いい所でしょ?」
「うん」
高月渚は百八十度辺りを見回し、美しすぎる光溢れる緑の世界に目を奪われた。
此処には時間の概念などないかのようだった。
どの色もまるで時が止まったかの如く、静かで優しい。
ポケットの中の世界。
こういうの知ってる。RPGの世界。
プレイヤーをいつも同じ姿のまま待っていてくれる。
でもこの森で別れたら、きっと二度と会えない。
そんな場所にも思えた。




