可哀想だ
「まあ、いざとなったら我が暴れてやろ」
「頼む。万が一爆発したとしても俺のかまいたちが治癒できると思うが、高月渚は普通の人間だ。高月渚が体を真っ二つにされるような激痛に堪えられるかわからないし、というより、そんな痛い思いを高月渚にさせたくない、可哀想だ」
「はははっははっはっは」急に笑い出した隣を歩く芙蓉に彼は「何がおかしい?」と問いかけた。
「嫌、なあに、随分気に入ったものだと思ってな、そうか、主はああいう女に弱かったのか」
「何を言っているんだ。そんなわけないだろう」
彼は心底意味が分からないという顔をした。
芙蓉はその顔を認めた。彼は本当にわかってないらしい。
何と言う馬鹿であろうか。つくづく面白い。
「ほうか、まあ。ええ」
駅前の平和堂に着くと、二人は店内に入ってすぐの土産物のコーナーに向かった。
平日の夕方の店内に金髪に袴姿の長身の少年と、床につきそうな金色の長い髪をツインテールにした水色のノースリーブのワンピース姿の小さな少女が狭い土産物コーナーを物色する姿は異様で不可思議な異空間と化していた。
店員の女性が一人でもいなかったら、もはやここは彦根ではなかっただろう。
「これでいいか」
高遠忍はひこにゃんのまんまる焼き十二個入りを手に取った。
小豆の入った丸いお饅頭にひこにゃんが座っている絵が書かれている。
千円と値段も妥当だろう。
「忍、それで足りるのかの?」
「三つ買う」
「忍、我はあの赤い蒟蒻が食べたい」
「買えばいいだろ」
「義に生きた武将石田三成ラーメンも」「この暑いのにラーメン食べるのか?」
「クーラーの効いたた部屋で食べるラーメンなんて最高じゃろ?」
「そうか」
「のっぺいうどんも」
「勝手にしろ」




