ウィキペディア
「ほんまもんの阿呆よな、この期に及んでまだ約束するか」
「ごめんなさい」
「じゃあ、ママ。帰るね。土曜日の朝、お山で待ってるね」
「うん、わかった、朝何時かな?」
「六時にこの家に集合で」
「六時?早いね、高遠君。夏休みだよ」
「朝早く行かないと、観光客が来るだろう、土曜日だからな」
「楽しみにしてるね、ママ」
「うん、わかった」
「でも、ママ。ウィキペディア読まないでね」
「えっ?何で?」
「ウィキペディア嘘ばっかり書いてるの。あれは酒呑童子じゃないの。酒呑童子は源頼光にも会ったことないし、大体酒呑童子下戸なの、甘いもの大好きだし、健康だし、皆に優しいし、動物にも好かれてるの、小鳥さんとか頭に乗せてるよ、イケメンだし、筋肉ムキムキだし。だからきっとママも好きになっちゃうよ、だからウィキペディア読まないで」
「わかった、読まないね」
「うん、じゃあ、もう一回おっぱい」
九ちゃんはそう言うと、小さな顔を高月渚の胸にするすると擦り付けると、満足したのか「じゃあ、帰るねー、ママ、待ってるからねー」と言いガラス障子に消えていった。
「忍、そろそろ山に行かんと、あと今日、日替わりでオランジーナが五十八円じゃ。買うて来い」
「わかった」
「ごめんね、私もそろそろ帰るね」
「ああ、じゃあ、行こう」
「うん、お邪魔しました。ごめんね。芙蓉ちゃん。お騒がせして」
「別に。我は面白かったぞ」
「あっ、そう言えば、ウサちゃんは?今日学校にも来てなかったよね?」
「ああ、朝から見ない、まあ、そのうち帰ってくるだろ」




