手刀
「埒が明かんな。もう酒呑童子に決めてもらうがよかろ」
「芙蓉」
「どのみち酒呑童子には会わねばならんじゃろ、爆弾を解除してもらわんとならんからの、酒呑童子に気に入られたら、その時はその時じゃ。なあに、命以上のものなんて取られりゃせん、我らも一緒に行くしの」
「本当?芙蓉ちゃん」
高月渚はがばっと顔を上げ、高遠忍と目が合うと、後ろに稲妻が走ったように肩を震わせ、目を伏せた。
「そうだね、じゃあ、お見合いしよ、ママ」
「お見合い?」
「うん、お見合い」
「それはええの。やれ、九とやら」
「なにー?」
「酒呑童子が渚を気に入らなんだら、潔く諦めてもらうぞ、ええな?」
「いいよ、気に入るに決まってるし。気に入ったらお嫁さんだよ。ママになってもらうからね」
「好きにせい」
「芙蓉」
「大丈夫じゃ」
「じゃあ、九ちゃん、そろそろ帰るね、お見合いママいつがいい?ママの都合に合わせるよ」
「じゃあ、今週の土曜日でいい?部活お休みだから」
「うん、いいよ。おしゃれしてきてね」
「うん、わかった」
「約束ね」
そう言って九ちゃんは右手の小指を出してきた。
高遠忍が止める間もなく彼女は右手の小指を九ちゃんの小さな右手の小指に絡ませたので二人は指切りのポーズを取り高月渚は「指切りげんまん」と歌いだしたので、彼は思わず、二人の間を切り裂くように手刀を下した。
「痛いよー、何すんの、陰陽師」
「痛くない。お前は、また抜け目ないな」




