怒ってない
「何を怒っておる、忍」
「怒ってない」
「えっ、高遠君怒ってるの?」
「怒ってない」
「陰陽師、、ママいないから、嫉妬してるんでしょー?」
「してない、母親ならいる」
「でも、ママみたいに、おっぱい大きくないでしょー?羨ましいんでしょー」
「羨ましくない」
「酒呑童子きっと、喜ぶよー、酒呑童子おっぱい大きい女の子が大好きなのー」
「そうなんだ」
九ちゃんは高月渚の胸にごろごろと甘えだした。
高遠忍は忌々しいものでも見るように赤い髪を見ながら「酒呑童子本体はまだ知らないんだな」と聞いた。
九ちゃんは無邪気に「うん、知らないよー、九ちゃん最近酒呑童子と会ってないしー」と言い、高月渚の胸に埋まったまま動こうとしない。
「あー、おっぱい気持ちいいー」
「そう?良かったね」
「高月渚」
ダメだ。
基本的に高月渚は小さい子が好きなのだ。
家では末っ子で、親戚でも一番下だったから、小さい子の面倒などみたことはなかった。
せいぜい友達の弟か妹とたまに遊ぶくらいだ。
だから自分に子供が出来たら、うんと甘やかして、可愛がりたいと思っていた。
それにこればっかりは仕方がないと高月渚は思う。
こんな可愛らしい子が、言ってることはとんでもないが、「ママ」と可愛らしいまん丸の飴玉のような声で自分を呼び、自分に一心に甘えてくるのである。
これを可愛いと思わないでいられる人間などいるだろうか。
可愛いものに抗える人間などいない。
自分をじっと見つめる美しい高遠忍を見つめ返し、高月渚は自分を完全に肯定した。




