ぐるぐる巻き
御蔵橋を渡る時、お堀の水底に沈む自転車が見えた。
わざわざ捨てに来たのかしら?と高月渚は思った。
橋を渡り、左へ行くと住宅街に入った。
しばらく歩いてもまだ、お城の石垣が見え、櫓が視界に入ると高遠忍の「着いたぞ」という声が聞こえたので、振り返ると少し古びた大きな一軒家が建っていた。
表札は高遠。
「おっきいお家だね」
「そうか?まあ、借家だけど」
玄関までが少し遠かった。
広い庭だったが花などは植えられていなかったが、何故かちらりと見えた庭に大きな穴が掘ってあった。
高遠忍は玄関のドアをガラガラと引き、「ただいま」と言った。
高月渚は鍵かけてないんだ、と思った。
そして元気な声で「お邪魔します」と言おうとしたのだが、彼女はお邪魔までしか言えなかった。
家の中から伸びてきた長いものに腰をぐるぐる巻きにされ、叫び声すら上げられず、彼女はあっという間に闇へと引きずり込まれていった。
高遠忍は高月渚を追いかけ、自宅の一番奥の部屋に来た。
襖を開けると、中にはベッドに腰を掛け笑みを浮かべる同居人と、その同居人の長い髪に腰をぐるぐるに巻かれ、宙づりにされスカートを握りしめる高月渚がいた。
「芙蓉、下してやれ」
高遠忍の声に高月渚は「高遠君」と反射的に叫んだ。
「大丈夫か?」
高遠忍は天井に届きそうになっているさかさまの高月渚に聞いた。
「高遠君、助けてー、パンツ見えちゃう」
そんなことか。
「大丈夫だ、見えていない」




