疲れているのだろうか?
「ねえ、ママ。やっぱりウエディングドレス着たい?白無垢嫌」
九ちゃんは目の前にある高月渚のしゃぶりつくしたくなるような美味しそうな鎖骨に目をやり、懇願するような声音でおずおずと聞いた。
「うーん、白いドレス着たいかなー。ドレスなんて結婚式でしか着れないし」
「高月渚」
「なにー?」
「なにーじゃないだろう。結婚する流れになってるぞ」
「えっ、なってる?」
「なってる」
「なっとるの」
「いいよー、結婚するんだしー」
「しないだろ、いい加減にしろ」
「ママ、酒吞童子タキシード着なくていい?酒呑童子窮屈嫌いなの」
「そうなんだ」
それくらい我慢しろ。
高月渚を嫁にできるんだぞ。
高遠忍の脳裏に無意識にそんな言葉が浮かび、彼は自分で自分の発想に驚愕した。
何だ、それ。どういう展開でそうなった?
わからない。疲れているのだろうか?
嫌体調は万全だ。
昨日もよく眠れた。
朝ごはんもしっかり食べた。
「結婚式の主役は花嫁であろ?酒呑童子など何を着てても一緒であろ」
「そんなことないもん。酒呑童子イケメンだもん。足も長いし何着たって似合うもん」
「我もウエディングドレスがええの」
「芙蓉ちゃんも?やっぱり白いドレス着たいよねー」
「我ではないわ。主のよ」
「私?」
「当たり前であろ。お色直しは紫のドレスがええの」
「九ちゃん赤がいいー」
「肩から腰までぱっくり開いてて背中が丸見えなやつな」
「恥ずかしいよー」
「何を言っとる。一生に一度じゃぞ」
「そうだけどー」




