51.【ルディ・レユアン】調薬方法
前回のあらすじ
・みんながたくさん採取してくれたせいでひたすら下準備しているよ
・今から【解剖】を習得するんだってさ
・これ調薬してなくね?
《ここまでの行動経験よりアビリティ:【解剖】を習得しました》
《ここまでの行動経験よりアビリティ:【解剖Lv1】が【解剖Lv21】に上がりました》
《アビリティ:【解剖Lv20】よりスキル:【解剖学】を取得しました》
『イノケンティウス』の解体___というか解剖を始めて早3時間が経過した。
何事も初めてのことはうまくいくはずもなく1時間半以上は悪戦苦闘していた。
しかしこの【解剖】というアビリティの熟練度が上がるにつれて、どのように解剖すればいいのかが直感的に分かってくる感覚がある。
さらに熟練度が上がったことによりスキル:【解剖学】を取得してからは解剖の応用方法の知識を流れ込んできた。
そのためなのか後半の解剖では8割から4割まで失敗することがなくなりだいぶ問題がなく進めることができてきた。
だけどもともとなのか『イノケンティウス』の精鱗自体がドロップする確率がかなり低い。そのため、解剖が成功するほうがあまりなかったが、それでも俺を含めた16人が同時に同じ作業を進めればある程度の失敗があったとしても、精鱗を落とすことがあった。
それでも他二つの素材の量と比べるとあまりにも少ないというのが少々気がかりなところではあるのだが……。
「まぁ、ある程度は取れてきたからまだましか」
分裂体に解剖と【聖樹草】の葉の切り離しを任せることにした。
余談ではあるのだが【解体】と【解剖】にはとある違いがある。
両方とも魔物から素材をドロップさせるために必要なアビリティではあるのだが本質が少し異なる。
【解体】は倒した魔物や敵に発動すれば確実に素材やアイテムを落とす技術であり、熟練度が上昇するにつれてドロップするレアリティや量が変わってくるようだ。
【解剖】は生きている・死んでいる魔物や敵関係なく素材を落とす技術のこと。習得時点ではドロップ確率は20%程度しかないのだが、熟練度を上げていけばドロップ確率が上昇し獲得量に変動がおきる。
【解体】【解剖】どちらが優れているのかと問われると【解体】のほうが実は優位ではあるのだ。
それはアビリティという技能が基本的に職業や行動経験による習得が主ではあるのだが【解体】に関しては冒険者組合でスクロールのように提供されているらしい(もちろん有料なのだが)。
しかし【解剖】は職業:【医者】などで習得できるアビリティであり、職業補正なしで習得するならば解剖方法の一つを一定量こなしそれなりのドロップを出さないと習得することがないのでそこも厳しい技能の一つなのだ。
だが、そんな【解剖】にもメリットはある。それがこのようにドロップアイテムを自身で選択できるという一点だ。まぁぶっちゃけこういった特殊な状況のみ使うようなものなので基本的には【解体】のほうが優秀であったりする。
かく言う俺もこの後【解体】を習得しようとは思ってしまったからな。仕方ないね!
つかペティも冒険者組合で習得したらしいからな、習得するべきアビリティだったんだなぁ。
少しの後悔を抱きながら、テントへ戻っていった。
ようやくだ、ようやく下準備が終わって本格的に調薬を開始することができる。
今手元にあるのは【清らかな聖冷水】【聖樹草の葉】【『イノケンティウス』の精鱗】の三種類。
さらにはテーブルの上には調薬道具がずらっと並べられている。
そして、テントの中なのに精霊たちが辺りを飛んでいる。
どうやら精霊たちは好奇心旺盛で自分のしたいように行動している種族である。多分、ここで調薬していることに興味があるようで『イノケンティウス』を解剖している時点から何体かウロチョロしている。
見ていて楽しいものなのかねぇ?まぁ楽しそうに見ているから気にしないでいいかな。
正直一発で成功することはないと思っているがアビリティを習得するためにも一度頑張ってみますか!
まずは【聖樹草の葉】を薬研と呼ばれるもので細かく切り刻む。
最初に魔力を込めた状態で葉をむしったため葉に含まれている魔力や聖気をもれることなく作業を行うことができるため、素人でも雑にやってしまってもある程度は問題なかったりする。
この作業のコツは力を籠めすぎないことらしい。理由はよくわからないけどね。
薬一本必要な葉を5枚切り刻んだところで同時に【清らかな聖冷水】がはいった試験管を用意しておいた。
ある程度切り刻んだ状態を確認すると俺は【聖樹草の葉】5枚を薬研から取り出し、次の作業へと移っていった。
乳鉢を手元によせると、乳鉢に細かく切り刻んだ【聖樹草の葉】を5枚分いれていく。
これを今度は乳棒を使って葉をきれいにすりつぶすのだが、この時に【清らかな聖冷水】を半分入れて完全に液体状にさせていく。
ここで切り刻んだ【聖樹草の葉】を残ることなくきれいに液状化させていかないと薬の完成度がかなり下がってしまうので気を使わなければならない。
「この、ちからを、入れすぎ、っず!しっかりだまをなくすのって意外と難しいなっ!」
俺にはよくわかっていないがこの時にだまをなくすために力を込めすぎても良くはないらしく、適切な力配分で混ぜていかないといけないらしい。
というか、理由も共に文献に記載してほしかったていうのがあるんだが…………まぁ今とやかく言ってしまっても意味がないだろうけどさ、ここまで大変だと愚痴の一つや二つこぼしてしまってもいいんじゃないかねぇ?
だいたい3分ぐらい混ぜ合わせていき、先ほどまでの細かく刻んだ葉の原型はもはや見当たらず完全に液体になったといえるだろう。
ここまで来るとあとやる作業は後2工程で完成だ。
残り半分の【清らかな聖冷水】に【『イノケンティウス』の精鱗】1枚を混ぜ合わせる。
だが、その前に【『イノケンティウス』の精鱗】を一度小さく砕くという作業をおこなう。
一度蒸留水を使って、乳鉢・乳棒を共洗いしておく。少しでも混ざらないように繊細にあつかうのが調薬の基本なのです。
共洗いした乳鉢と乳棒に【『イノケンティウス』の精鱗】をぶちこんで、粉々になるまでつぶしていく。
ここで意識することはまぁ粉になるまでただただ叩けばいいので先ほどまでの作業に比べて比較的……というかかなり楽ではあるので助かるんだよね。
そして叩くこと1分、鱗1枚だった精鱗の形が完全に粉状になったことを確認したので次!
この粉状になった【『イノケンティウス』の精鱗】を沸騰させた【清らかな聖冷水】の中へ投入し、粉状の精鱗を溶かしていく。
この時に気を付けるのはすりつぶした【聖樹草の葉】と同様に完全に液体化せていくことを心掛けないといけない。
まぁ地味に熱いのではあるががんばって溶かしていく。
溶かすのに大体2分ぐらいかけていき、ようやく目視で溶け切っていると判断して最後の作業へ移る。
あとはもう簡単。
すりつぶした【聖樹草の葉】に溶かした【『イノケンティウス』の精鱗】を混ぜ合わせるだけ。
ただここで気を付けなければならないのがゆっくりと入れていかないといけないらしく、2つの試験管にガラス棒を用いて混ぜていかないと完成度に差が生まれてしまうようだ。
と、ここまで来ると
「完成したみたいだな………」
と、完成したのがこちら。
【ルディ・レユアン(35%)】
病名【イラ・ミルトン】を治すための特効薬。完成度が高ければ高いほど完治率が上昇する
《行動経験によりアビリティ:【調合】を習得しました》
【鑑定】した結果、完成度のかなり低い特効薬ができた。
それに反応するようにアビリティ習得の知らせが届いた。
あとはまぁ作りまくって完成度100%に近づけるしかないのだ。
「さて、こっからが正念場だな!残りは………11時間だな」
こうして俺はさらに特効薬作成に集中していったのだった。
残り時間 1日と11時間
今話のまとめ
・【解体】と【解剖】は違います
・調薬の仕方はまじめです
・薬は完成度により完治する確率が変わります




