50.調薬……だよね?
前回のあらすじ
・特効薬の名前は【ルディ・レユアン】意味は『楽園を取り戻すための薬』
・作業は滅茶苦茶大変です
・まだまだ続くよ!調薬が
あの作業から2時間後ようやく3000枚の【聖樹草の葉】を適切な状態で切り離すことに成功した。
だいぶ慣れてきたのか集中すれば失敗することはだいぶなくなってきたものの、繊細な技術を有するためなのか何回か失敗してしまうことがあった。
だけども分裂体が集めてくれた【聖樹草】は俺たちが探索しながら集めていた数の三倍は優に超えていたため、たとえどれだけ失敗しても問題がない程度の量が集まっている。
しかし、まぁたくさんあるからって多く失敗してしまっては本末転倒。この特効薬【ルディ・レユアン】での作業は一つ一つが集中して行わなければならないようなものばかりである。
さらにこのMP消費作業に関して言えば【魔の権威】の適応範囲外のため、このような大量作業にはかなり不向きではあるのだ。
「いやぁ、ほんとまさか【魔の権威】の範囲外のことだとは思わなかったわ。一応マナポーションを買い占めていたけど完成まで足りんのかね?」
【魔の権威】の効果はMP消費の事案に関して10分の1まで減少することができるという魔法職が戦闘するうえであれば最高であるスキルなのである。
だが、このスキルには抜け穴みたいなものが存在している。それが調薬や鍛冶、裁縫までの生産系分野の職業がこの適応範囲から外れてしまうようだ。
そもそも生産職は基本的にはプレイヤーの技術がモノをいう職業にはアシストガイドなどがあるにはあるのだがこういった節約スキルなどは若干適応されていないものが多く存在している。
まぁ、本物の調薬もこんな感じなんだろうなぁとは思うけども。
で【魔の権威】もこの適応範囲外スキルに含まれてしまっているため、MPの節約ができないということになってしまう。
幸い消費するMP自体が微々たるものなので他プレイヤーと比較すれば一度でかなり多くの作成を行うことができる。
「にしてもこの技術重視の感じ、生産職が少ないのもこういう理由なのかもしれないなぁ」
この特効薬作成で気づかされたのは生産の難易度の高さだ。生産職は基本アシストガイドやサポートNPCなのにより武器や防具さらにはポーションを作成するのが本来の生産職の姿だったりするのだ。
まぁ、各生産関連のアビリティのレベルを上げまくればサポートなしでも十分に作成することができたりするので生産職の上級者はソロで生産を行っていたりしている。
いまだアビリティを持っていない俺はこうやって地道にやるしかないのだが、この作業を終えて気が付いたことがある。
「これ一度失敗してもいいから作成しておいてアビリティを習得しておいたほうがよかったのかもしれないな」
実はこれアビリティがあるときとないときの生産成功の確率にかなりの差が生じているのだ。
それはこの調薬の作業全てに作用される。まぁ採取の部分は関係しないのだけどもね。
そのためもし何でもいいから一度薬を作ってしまえば、ここら辺の技術を要するところが多少緩和されたりする。だが今回調薬する【ルディ・レユアン】はアビリティ【調合】が高いレベルになっていたとしても完成できるかどうかわからないかなり難易度の高い特効薬であったりするのだ。
そんなこともつゆ知らず、ゲシェムは特効薬調合のための下準備をさらに進めていくのであった。
さてと次の素材の下処理は………っと、これだ【『イノケンティウス』の精鱗】という素材だ。
この素材は半精霊半魔物の性質をもつ『イノケンティウス』の鱗という普通に考えて想像がつかないだろう?俺もそうだ。
ただどんな素材なのか、まだドロップしていないからわからない。
ここダンジョンで落ちるのが魔核や魔石しかないため、このような特殊な素材は基本的にはドロップしない。が、ダンジョン内でも特殊な素材をドロップさせる方法があったりする。
それが生け捕りという手段だ。
「えっと、この『黒死牢』の解除の仕方は………なるほど?こういう構築なのか」
この俺が知っている限りファウストしか使えないだろう【悪魔魔法】__いや悪魔襲来で悪魔どもが使っていたのも多分それも混じっていたんだろうけど__この構造自体は複数の属性魔法が混じって構築されている。一見すればエフェクト的にはかなりきれいな感じではあるのだが、俺からしたら一つ一つのサークルがいろんな効果を混ぜまくった複雑な構築をあらわしており、解析にはかなり難しい代物であったりする。
幸い『黒死牢』の解除の方法を先に見せてもらったので、施錠と解錠の部分だけは解析し覚えることができたので【魔導陣】で解錠することは可能になっている。
「今度、種族魔法について調べてみようかな。そしたら使えるかもしれんし‥…」
実際【悪魔魔法】である『黒死牢』の解錠はできるのだ。ほかの種族魔法が使えるかもしれないのだ、つか実際にもペティが魔導書ではあるものの【龍魔法】を使えるようになっているという点を踏まえると使える可能性もなきにしろあらずということだ。
まぁ、とっとと先へ進もうかね。
「えっと‥………『黒死牢 解錠』‥……っとよし!うまくいったな」
と現れたのが負傷状態である『イノケンティウス』だ。でこの生け捕りした『イノケンティウス』からどうやって精鱗を採取するのかというと
「物理的に獲るってどういうことだよ」
この方法しかない。基本的には【解体】【解剖】というアビリティがあり、それを用いることによって倒した魔物から素材をドロップしていく。
だが、今回は生け捕りにしている魔物をアビリティなしで素材ドロップを試みるという鬼畜な難易度を示している。
「うへぇ考えただけどフェードアウトしてぇ……。ま、まぁやってみるか、手元にあるアルカナが………15枚ちょうどか。じゃ、全部使って『双児分裂』×15」
俺は分裂体を15体生成した。
なぜMPを使いたくない俺が分裂体を大量に生成したのか。これは俺が【解体】もしくは【解剖】のアビリティを取得していないため、最速爆速で取得し熟練度をあげる。そして【アルカナ返還】を使用することでアビリティの熟練度を獲得することができる。
これは俺もつい最近気づいたことなんだけども、この『双児分裂』は基本的には経験値というものがない。そのため【アルカナ返還】ではレベルが加算されるわけではない。
だが、アビリティつまり技術的な面や経験そのものは本体である俺自身に更新される。これはかなりおもしろいが基本的には経験の部分はあまり反映されることがないが、一部例外がある。
それが今回行っている分裂体(関西弁野郎)がメリドを操作している点だ。
これは本体である俺自身が全く操作していないというのと完全別行動を任せているため【アルカナ返還】を利用した場合に限ってはその経験がステータスとは異なる部分で継承されるっぽいみたいだ。
まぁ、あいつがやられていない限りの話ではある。まぁペティにも頼んでアルカナを生成するためのMPをもらったのでやられない限りは【アルカナ更新】を使ってもらってなんとか生きてくれるだろ?
それに俺の分裂体なんだしよほどのことがない限り消滅されるとも思えないしな。
とまぁ、また脱線したような気がするがはよ始めていこうか
「よっしゃ、俺たちは今からこの『イノケンティウス』の【解剖】を行う!あくまで精鱗のドロップが主目的だ!ファウストのおかげで素体はいくらでもいるようなものだ!では解剖開始!」
と、俺を含む16人の男どもは神秘な湖の近くで焔の魔物を解剖しているという謎の絵が生まれたのであった。
残り時間 1日と15時間
今話のまとめ
・みんながたくさん採取してくれたせいでひたすら下準備しているよ
・今から【解剖】を習得するんだってさ
・これ調薬してなくね?




