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襲撃は嵐のごとく、されど繊細に

「いよいよ決行の時がやってきました、夜です」

「……本当にこんな作戦で良いのか? オレがやること最初の一撃だけなのだが……」

「大丈夫です、陽動さえしてもらえれば後はこっちでやるので」

「分かった、幸運を祈るよ」


 悪いが不幸体質のお前がまともに隠密行動できるとは思えないからな、俺とプラチナ、そしてティーアがいればまあなんとかなるだろう。戦闘をする気は基本的にないし。


「じゃあ、俺は先に行こう。はっ!!」


 内乱の真っ最中の要塞城イヴにビクテロが向かって行く、あいつのやることは一つだ。要塞の門にビクテロの不運をぶつけてぶち壊すだけ。


「あの隕石ならいけるだろ」


 そしたらビクテロはシルバータンカーに乗って離脱、この作戦での仕事は終わりだ。


「んで、その隙に俺達は忍び込むってわけだ」

「本当にここから行くの?」

「コン!」


 俺たちがいるのは要塞城を囲む崖の上、隕石の出現を確認したら速攻で崖から降りて外壁に穴を開けて忍び込む手はずだ。


「来た!!」

「本当に空から星が降ってきた……あの人すごいんだ……」

「いやいやお前だって相当だからな」


 隕石が見えた!! あれだけ派手なことしたら流石にみんな注意はあっちに向くだろ。


「おうおう……このタイミングの隕石にたいしてすぐに迎撃できるのかよ。常在戦場の心得ってやつか? 攻撃は六つ……要注意はそこだな」


 内乱前のイヴには武具の名前で呼ばれる強者が六人いたとか記録にあったっけ……そいつらが王の死をきっかけに真っ二つになったのが内乱だったはず……少なくともそいつらとだけは会いたくないな。


「場所は確認した、じゃあ行くぞ」

「コン!!」


 崖から滑り落ちるような形になるが危険はない、プラチナが鉱石の階段を用意してくれる。


「壁も頼む!!」

「コン!!」


 オリハル狐より硬いものなんて存在しない、それならオリハル狐に壊せないものも存在しないんだよ。


「コキュ!?」

「え? なんで!?」


 オリハル狐で壊せない壁!? そんなものあるの!?


「ご主人様……厚さと重さは……硬さではではどうにもならないです……あてでは……壊せません……」

「馬鹿な!?」


 まっずいぞ……大前提の忍び込みができない!?


「えい」

「え? ティーア?」

「うん、溶けるね。これなら掘り進めそうだよ」

「壁を毒毛糸で溶かしてらっしゃる……?」

「うん、溶ける毒だからもしかしたらと思ったけど……やっぱりいけるね」


 ジュワーって溶けてるわ……あの球マジでやばい代物なんじゃないだろか……見る見るうちに穴が空いていくな……


「これで通れるね?」

「ティーアさんマジパネエっす……」

「変なこと言ってないで行こうよ」

「あ、はい」


 よーし、これで忍び込めた訳だな!!


「……おいおい、なんで居るの?」

「壁を破壊することで警報を刺激するとは考えなかったのか? この城に何の用だ賊」

「はは……ちょっとユーホ様に会いに……」

「そうか、ではお前の首をユーホ様に届けるとしようか」


 うわあ……初めっから戦闘かよ……!?


「このツヴァイヘンダーに相まみえた幸運を噛みしめて死ぬが良い!!」

「げえ!? 武器の名前!?」


 よりによって武器の名前持ちの奴が来やがった!? 会いたくねえやつの筆頭じゃねえか……!?


「子どもでも容赦はせぬぞ……さらばだ」

「あ、あの!? これを!?」

「鐘だと……まさかそれはユーホ様の……!?」


 はい時間いただきました、アイテム使用には十分だぜ?


「あむっ……うまっ……」

「む? お前何を……!?」

「あぶねえ……準備させないのは反則だぜ……」


 サンドイッチ食う時間はあった、それならもう俺の時間だ。


「えっと……ツヴァイヘンダーさん?」

「何をしたか知らんがもう惑わされんぞ……死ね!!」

「あっぶね……」


 良い感じにデバフが回ってきたな、ちゃんと見える……


「避けたか……だがまぐれは二度も続かぬと知れ」

「大丈夫、二度目はないから」

「弩か……そんなものに意味はない。撃ってみるがいい、切り払ってやろう」

「撃たせてくれんの? ありがとう」


 装填するのは普通の矢、さすがにプラチナの矢は破壊範囲がデカすぎて俺も巻き込まれる。


「食らえよ」

「ふん、やはり弩など遅すぎるな。このように簡単に切りうばあ!?」

「爆発するとは思わなかっただろ?」

「なん……だ……ただの矢だった……はず……火薬なぞ……着いて……いなかった……ぞ!?」

「特別製なんだよ、悪かったな」

「くそ……まさか……こんなところで……私が……」


 よーし倒れてくれたな、人間相手だと跡形もなく吹き飛ぶかと思ってたけど意識を失う程度で欠損もなしとは……この世界の人間強靱すぎる……


「ティーア、プラチナ、早く行こう。もしかしたらまた誰か来るかもしれない」

「うん」

「はいっ!!」


 さあ探すぞ……













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