表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/87

抜け毛の雷獣

さてどうやって逃げましょう?

偽スライムは、乙女を観察する。

何故かビィを探してさすらって居たら捕まりました。

おかしいです。

何故か探知されています。

侮れません。乙女!

「マロン、お茶ちょうだい」

おっとますたーが来ました!

ますたーは何だか疲れています。

「ビィ、あなた毛だらけよ? ああ、雷獣に絡み付いて来たのね」

絡み付く! 何と! 私に絡み付いて?

「ん、ちょっと問題が」

「あら、なあに?」

乙女はごく自然にますたーを抱き寄せます。

うむむ、自然です。よく観察して覚えなければ!

は! その為に何時も乙女に遭遇してしまうのでしょうか?

「あの子達、皮膚病蔓延中」

!?

「あら、抜け毛の季節じゃなかったの?」

「……毛刈りしてお薬塗らないと多分ダメ?」

「お薬も飲ます?」

乙女の指が、ますたーの髪を撫でます。観察、観察。

「多分、僕しか触らしてくれないだろうから全部刈って塗りまくっても時間が」

「ポーション飲ませれば?」

「すぐ再発しちゃうよ」

「……原因はダニの大量発生でも?」

ますたーは毛だらけよ? ダニつきまくってる?

ちょっと嫌。

「薬品」

「なんですって」

マロンが固まる。

「フフフ、任せて!」

でんでろどろろん!

乙女の背景に何か凄いものが!

「あっという間に中和するわ」

瞳が輝いていますね。

「さあ頑張るわよ! スライム!」

あれ?

がっしりと捕まれました。

「ビィは毛狩りして、なに簡単よ?」

マロンはフフンとポーズをとります。

「ビィが一言、毛が欲しいの。ちょうだい でも一人だと時間がかかるから他の人にも刈らせてってね。はい! リピート」

「毛が欲しいの? ちょうだい?」

小首を傾げたビィに、マロンがむにゅっと飛び付いた。

「いやぁん! どの毛でもあげちゃう!」

ディジーが見上げたまま固まっています。

視線が交差したとたん、慌ててペコリとお辞儀をして逃げていきました。

「あ、ディジーお待ち!」

ディジーはとんずらを披露。

乙女が舌打ちしています。

「あら」

スライムが尻尾を振りながら逃げまくっているのが見えた。

…………。

なにしているのでしょう? あれは。

「スライムが増殖」

乙女の呟きに、ビクンと反応した腕の中の偽スライム。

タラリ。

「そうよね。忙しくてもう一人自分が欲しいわ。ついでに私だけのビィも欲しいわ」

乙女のただ漏れ欲望が聴こえる。

私も私だけののますたーが欲しいの!

でも独り占めは無理!

「わかっているわ、ビィが沢山いても本物はたった一人よ。そしてみんな同じ一人がいいと言うのよね。だってビィはビィでしかないのだもの」

独り占めできないもどかしさ。乙女は遠い瞳を見せる。

「では、ぷにぷに! 行くわよ!」

ぷにぷに? ぷにぷにって私?

マロンにネームセンスはなかった。




☆ ☆ ☆



「その辺りの木に触ると、被れるぞ」

隊長に注意されて、マロンは振り返る。

「被れる? やだ、自然界の被れ?」

「自然だが、人の手が入っているな。獣がこの先にいかないように植えられたと思うが」

「……ビィが皮膚病対策に乗り出したわよ」

「死ぬよりはましだろう」

「どういう事?」

隊長は山を指差す。

「火の山だ。この先の窪地にはガスが貯まっている。知らずに吸えば動けなくなり骨になる」

こんと、地面を蹴る。

「人間の着けた印がある」

朽ちた杭の残骸が並んでいる。

「修繕だなぁ。お前たち!」

大人がワラワラ働く。

「つまり動物の保護と言うよりは人間への警告のためね」

今回のように人の集団が調査に来る。その警告。

棘のある枝、葉も鋭く人が触れば苦労するだろうか。その群生地の中を突っ込んで危険な窪地にはわざわざ降りない筈だ。

そうなると迂回して、自然に安全な高台をまわる。

「獣がいやがる臭い花でも植えるしかないかしら」

マロンはため息をついた。



☆ ☆ ☆



ディジーです。ますたーが雷獣の毛を刈っています。

ますたーに「毛ちょうだい」のお願いを断れる強者は居なくみんな刈られています。

「はい、スライム」

スライムが治してますが、あれ毛を刈る必要あるのでしょうか?

よくわかりませんが、ますたーが幸せそうなので放っておこう。

スライムは擬態した尻尾をフリフリしながら光っています。

アッシュがお手伝いをしています。

毛を袋に詰めているだけですが。

あれはあれで楽しそうです。

暇ですね。

ちょっと耕してみましょう。

ザクザク一筆書きに、おや? 何か空気の色が違います。

マロンが倒れてました!

簀巻きにしてビィの所へ移動。

!?

ギャー、人間がポロポロ倒れています!

なんですか!

ディジーの救助活動により隊は難を逃れた。

調査結果は、通常よりガスが多いらしく普段安全な場所も危険な事が判明。

火の山へのルートはなく調査は進むのを断念した。

それはビィが行きたがっていた場所にいかない選択。

しかし隊を危険にさらしていかねばならない場所ではない。

数年ぶりの繁殖調査だとしても。

次回の調査でも十分なのだ。


「で、ビィは消えたと」

「これとこれは居るわ」

これとこれとはスライムとディジーだ。

「あ、ぷにぷにも居るわよ」

ぷにぷにはもう諦めたように、捕まっている。

「……レーガル様は」

「竜を連れて行ったわ」

「……それを見送ったのか」

声に怒りがこもる。

「試練だもの。彼は竜の試練を受けに行ったわ」

竜の試練。

竜種により試練の内容は違う。

「聖竜の試練はなんだったんだ?」

「ご両親にご挨拶して、だそうです」

げふと、アルが青くなる。

「成る程、娘さんを下さいとご挨拶か、そりゃ行かないと駄目か」

「俺、次回するのか、それ」

アルが黄昏ているが無視された。

「これとこれは何故に置いていかれたのだ?」

「私たちを守るように指示が出てるわ」

「何が危険なんだ?」

マロンがちろりと視線を泳がす。

「雷獣は何かしたらビィにしばかれるから大丈夫だろう」

「獣は問題ないわ。問題なのは人間よ?」

ビィがペチペチすれば、獣は腹を見せる。

人は違う。

「ビィの天敵は人間よ」

それは目を反らし続けてきた禁句だ。

「人嫌いになって世界征服とかまじやめてくれ」

隊長の呟きも無視された。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ