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だるまさんがころんだ

すーい、とそれは地上に影を作りながら飛行していた。

それに攻撃を仕掛ける強者は居ない。

この見渡す地で、頂点にいるそれは敵を気にする事などない。

ソワソワとなにかに急かされながら、それは飛行してきた。

自分と繋がりのある何かが側に来ている。

開けた大地に人が疎らに見える。

その中のひとつに、彼女は惹き付けられた。

急降下。

エモノに向かって翼を畳む。

落ちる。

墜ちる。

堕ちる。

沫や地面に!と言う瞬間に翼を広げフワリと地面に降り立つ。

脚の下に、獲物がいた。

周りが硬直している。

ふんふんと匂いを嗅いで幸せに浸る。

歓喜。

にぎにぎすると、それの感触が伝わる。

ひゃほー!

幸せの元が、そこにある。

あむ

甘噛、強く噛むとペシペシ攻撃が来たが、気にせずあむあむする。

上手い。巧い。旨い。美味い。甘い。

気がつけば、簀巻きになっていた。

なんだ? これは?

「あーん」

ん?

何かの実が口の中。

もぐもぐ。

「スライム、焔封じといてね」

もぐもぐ?

子供が微笑む。

「さぁ、リリン。お仕置きの時間だよ?」

脚の下にいたはずの、獲物が!

タラリ。

これは?

タラリ。

ゾクゾク寒気が?

視界の端で、母様が焦りながらすっ飛んで来てるのが見えた。

お、怒られる!

ママンのお仕置きを自覚して、簀巻きから縄脱けを器用にこなしそして一番安全な背後に隠れる。

あれ?

一番安全な背中は小さかった。

「リリン、今のすごいね」

うん?

何で名前を知ってるの?

ママンの羽の風圧が流れていく。

急降下してきたママンは、優雅に着地して甘える声をあげた。

「リリス、相変わらずきれいだね」

鼻先を撫でられ、甘えた声で答える。

「お前のリリンはすごいね。縄脱けする竜なんて初めてだよ?」

ママンの機嫌は直ったらしい。

ごろごろ甘えている。

側に近付いた気配に、視線を向けると人間がいた。

軽い威嚇を発し様としたとき、子供が振り返る。

ビクン

人間が触れる。

「これで子供か」

「見事な鱗だな」

むう。動けない?

何で?

「ぶえっくしょん」

鼻からスライムが飛び出す。

「…………リリン。ぶえっくしょんって」

ママンの呆れた瞳にビクビクしながら、小首を傾げると子供が撫でた。

「お転婆娘だね」

子供の瞳が優しく細められた。



「ビィの最終目標が、来てるのって」

マロンが眉間にシワを寄せる。

「あ、いやいや、見に行くのは卵! 孵化したばかりの雛!」

ブツブツ繰り返す。




☆ ☆ ☆


「だーるーまーさーんーがーころんだ」

ビィが振り向く。

動いてはいけません!

足音を立ててもいけません!

そして、ビィの側に誰よりも速く移動します。

ビィに見つからないように。

「だるまさんが」

ドスドスドス

む、誰の足音?

ビィが振り向く。

ドキドキ

「……ころんだ」

くるり

ボスとスライムが顔に張り付いた。

「……スライム忍び足覚えたの?」

一番に側にいくと撫でてくれます。

むう、スライムめ

「んじゃ次は隠匿ね」

ぽーんと放り投げられるスライム。

「続きいくよー」

ドスドスドス

は、あたしの足音?

「ーーころーんだ」

ドスドスドス

タラリ

スライムが横を忍び足でアルキツツ、隠匿しながら通りすぎます。

振り向いたビィの顔にへばり付きすりすりしています。

「隠匿も完璧だね」

むう、スライムめ!

ドスドスドス

ううーー

トストス

すさすさ

おや?

「リリンすごいね」

ビィが撫でてくれます。

キラリ!

あたしはやればできる子!

忍び足で馬が歩いています。

騎鳥は気配を消します。

むむ

ライバルは多い。



「お前たち、あれに混ざってこい」

隊長が無茶ぶりをしている。

「あれ? ビィとだるまさんがころんだ?」

獣たちが、器用に忍び足を披露している。

「竜があっという間に覚えた。やってこい」

「う」

「忍び足する馬って」

強制参加させられ、横を忍び足でスタスタ歩く馬に苦笑いする。

「あいつは調教師で食べていけるな」

忍び足で疾走する馬軍団。なんか嫌な部隊ができそうだと隊長は渋い顔をしたが、自分の乗る馬が使うならまあいいかと、思う事にした。



☆ ☆ ☆


遊び疲れてビィが寝付いた頃、隊長は予定表を見ていた。

「あの子供、毎日遊びに来ないよな」

「ビィが宿題出していたからしばらくは来ないだろう」

トコトコ歩いていく小さくなった馬。

「かくれんぼで、隠れなかったからな」

あの巨体を隠すにはもっと深い森が必要だ。

みんな器用に隠れるなか、竜の子は頭しか隠れなかった。

馬も鳥も、小さくなったからだ。

因みに人間の大人は、知恵を働かせ隠れた。

「それは良いが、馬、元に戻れるのか?」

小さくなったまま寛いでいる。

「まあしかし、人間から隠れるには良い経験だろう」

隠れながら振り向いたら、竜の子が!と言う状況で竜が見つかる。

何で?と首をかしげ、他が小さいと自覚しあたふたした。

そして母様がとても巨体を事も、馬がスライムと同じサイズに成って隠れたのを目の当たりにしている。

メラメラ対抗心をあげているのを見るのは微笑ましい。

「ま、最後に人間は近づいたらダメと言われていたから人里には出ないだろう」

ディジーがそう教えていた。

自分はビィにベッタリなのにである。

「所で馬がスキル覚えるの知っていたか?」

「知らんよ。そりゃ良い馬は何かあるとは思った事はあるが、あんなに見事な忍び足やら隠匿やら披露したーーあの馬、ほとんど公爵様から支給されたんだよな。なら公爵様の財産だな」

馬の産出地として元々定評はある。

「あれが乗ったら、次の主の言うこと聞かんだろ」

隊長が自分の馬に振られていた。

まあビィは、竜に大はしゃぎしていたので獣たちのジェラシーに無頓着だ。

「……なあ、宿題クリアしたら見せにくるんだよな? きっと」

「会いに来る口実だから来るだろうな」

視界の端でなにかが歩いている。

馬じゃない。

忍び足で、ビィのテントに潜り込もうとする所をひょいと捕まえる。

「隠匿はまだみたいだな」

きゅーと、甘え声を出す。

竜に甘えられて、見逃してしまいそうになる。

「ダメダメ、お前を見逃すとあいつらも入りたがるだろ」

ビィのテントの回りは、様子を伺う小さくなった獣たちがウロウロしている。

ラ、ライバルが!

「そうそう、夜這いは禁止」

その夜の見張りは、メキメキ看破スキルが上がり竜の生態に詳しくなった。



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